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なぜ中国メディアは「江歌事件」に殺到するのか

日本で起きた留学生殺人事件が“国内問題”を覆い隠す

2017年12月13日(水)

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 久しぶりに刑事事件の裁判を傍聴した。日本ではあまり関心は高くないが、中国のネット世論を騒然とさせている江歌事件の初公判が12月11日に東京地裁で行われた。私は傍聴券の抽選に当たり、検察側、弁護側の冒頭陳述及び争点などを聞くことができた。

 この公判には、ネットテレビ番組「局面」など中国メディア15社前後が殺到しており、傍聴できるかどうかもわからないのに、日本にわざわざ本社から長期出張で記者を派遣するメディアも少なくなかった。私が抽選に当たったというと1万円で買いたいという人もいたくらいだ。フェニックステレビの地裁前生中継は昼の時間帯だけで100万人以上のネットユーザーが閲覧していたという。

 いったいなぜ、ここまで報道が過熱しているのか、今、中国では山ほど深刻な社会事件が起きているのに、この異国・日本で起きた留学生の痴情のもつれによる殺人事件に、中国社会の関心が集中するのか。そのわけを今回は少し考えてみよう。

痴情のもつれに巻き込まれ…

 江歌事件の概要を改めて説明したい。簡潔にするために被害者も容疑者も敬称を略す。2016年11月3日未明に東京都中野区で、法政大学に留学していた女子研究生・江歌が、女友達で大東文化大学留学生の劉鑫の元彼であった大東文化大学大学院の院生・陳世峰に殺害された事件だ。

 3人はいずれも中国人留学生で2016年に東京で出会った。劉鑫は2016年5月から陳世峰と3カ月同棲していたが2016年8月に性格が合わずに別れ、その後、9月から同郷(青島市)のよしみで仲良くなった被害者の江歌のところに同居していた。だが、陳世峰は、劉鑫をあきらめきれず、ストーカー行為を繰り返していた。11月2日午後、中野区の江歌・劉鑫が同居しているマンションに陳世峰が現れ、このとき一人で家にいた劉鑫は江歌に微信で相談、江歌は警察に通報するようにいったが、劉鑫は警察に通報しなかった。江歌が帰宅して、陳世峰に帰るよう説得。その後、江歌は大学へ行き、劉鑫はアルバイトに出かける。陳世峰は劉鑫のあとをつけ、電車の中で、微信で劉鑫の下着姿の写真を添付送信して、復縁しないとこの写真を両親に送り付ける、といった脅迫を行った。

 事件はその夜に発生した。検察側の冒頭陳述によれば、その後、陳世峰はナイフと着替えを準備して再び、江歌のマンションにいき、部屋の一階上の三階外階段のところで、二人の帰宅を待ち伏せていた。ちょうど午前零時を回ったころで、二人は一緒に帰宅した。劉鑫は先に部屋の中に入り、江歌はポストの確認などした後、遅れて上がってきた。陳世峰はドアの外で、江歌ともみ合い、ナイフで左首を刺したほか、14カ所にわたって顔や手、背中などを刺した。江歌は出血多量で、搬送先の病院でなくなった。陳世峰は、着替えたのち、タクシーで逃走した。陳世峰の大学院の研究室には、ナイフの包装が残っており、検察側はこの包装の中身が、犯行に使われたナイフだとしている。

コメント21件コメント/レビュー

(2017/12/13 08:54)

1つの価値観ではあるので否定はしませんが、あまり法理論には明るくないように見受けます。さて、そこから離れますが、過度な相手を刺激する態度も良くないですが、土下座までして謝るべきというのは行き過ぎです。もっとも悪いのは彼女ではなく、ナイフを持って現れた男なのですから。(2017/12/31 09:26)

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「なぜ中国メディアは「江歌事件」に殺到するのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

(2017/12/13 08:54)

1つの価値観ではあるので否定はしませんが、あまり法理論には明るくないように見受けます。さて、そこから離れますが、過度な相手を刺激する態度も良くないですが、土下座までして謝るべきというのは行き過ぎです。もっとも悪いのは彼女ではなく、ナイフを持って現れた男なのですから。(2017/12/31 09:26)

「劉鑫って典型的な『中国人』だよなあ」という感想を持ちました」に対して強く共感できますが、決して古代からこんな感じではないと思います。
 
 なぜかというと、同じく中華文化圏の人々であっても、世界中の評価は違うんでしょう。その違いの原因はおそらく中国共産党の影響だと思います。たとえば、台湾と香港はぎりぎり共産党管轄外で、道徳的な批判は明らかに少ないです。中国「儒教」の伝統思想にものすごく「自律」を強調しているのに対し、中国共産党は人間性の「欲望・悪」を最大限に拡大した。その結果、現在の中国に至りました。
 ただし、こんな「苛烈な社会を生き延びてきた」からこそ、江歌さんみたい心の暖かい人が全国に感動させました。みんな江歌さんと江歌のお母さんを守りたいと思います。

 ↑
 以上 25歳中国人女性の感想でした。(2017/12/20 16:17)

>「殺人事件を道徳問題で論じることは、中国に法治がない証拠だ。中国のメディアは、そこをおかしい、と問題提起しなくてはいけないのではないか」

法治の外で議論したって良いだろう.
おかしいのは,感情的意見に乗っ取り法に反するほぼ全て,であり,
殺人事件自体に感情的意見を言うことは,おかしいことではない.

また,刑事事件に感情を載せるべきかどうかは妥当に議論があるところであるので,殺人事件を道徳問題で論じること自体は,将来の可能性の議論として,おかしいことではない.

法治と言っているが,法は作るものであり変えるものであるので,将来に向けてはなんの議論もして良い.現在の法に限定して議論するなら,それは始皇帝の法,独裁者の法,としか言いようがない.(2017/12/20 12:35)

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