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なぜ中国は米軍の潜水ドローンを拿捕したのか

忍耐力の低い米中の「偶発事件」に備えよ

2016年12月21日(水)

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「暴君トランプ」と「狂犬マティス」は中国の挑発をいなせるのか(写真:AP/アフロ)

 中国の人民解放軍海軍が南シナ海で米軍の無人潜水探査機(ドローン)を「違法に奪取」した。12月15日のことである。米国側はすぐさま返還を要求、18日には中国側も返還に応じることを決定したが、いったい中国側は何を考えて、このような大胆な真似をしたのだろうか。今後の米中関係の行方を占ううえでも、気になるところだ。

フィリピンと中国の係争水域で

 米国防総省の発表では、15日、アメリカ海軍の海洋調査船「バウディッチ」が南シナ海のフィリピン・ルソン島沖、スービック湾から北西93キロの地点で、無人潜水探査機(ドローン)2機による海洋調査を実施、探査機を回収しようとしたところ、中国海軍の潜水艦救難艦がボートを出して1機を奪ったという。バウディッチは無線で返還を要請したが、救難艦は応答せずに探査機を持ち去った。

 米国側によればドローンは海水の塩分濃度や透明度などを調査するものだが、これは潜水艦航行時のソナーデータに役立つ情報でもある。潜水艦の航行、作戦に必要とされる情報といえば、軍事情報になるが、機密というほどのものはない。国防総省の発表でも、今回の調査は、民間用のドローンを使って非機密情報を収集していたという。

 無断でこのドローンを拿捕した中国国防部は「中国海軍は15日午後、南シナ海海域で正体不明の装置を発見し、船舶の航行の安全と人員の安全を守るために、救難艦の責務としてこの装置の識別検査をしたのだ」と主張した。

 だが、目の前に米海軍の調査船があり、無線で返還を呼び掛けているのに持ち去ったとなれば、この主張も口実にすぎないとわかる。中国国防部側は識別検査の結果、無人潜水探査機であると判明したので米国に返還すると決定した、と説明。「中国側は米国側とずっと連絡を保っているのに、米国側が一方的に問題を公開し、騒ぎ出したのは不適当であり、問題をスムーズに解決するのに不利となった。我々はこのことに遺憾を表明する」と開き直った。

 さらに中国国防部は「強調すべきことは、長年、米軍は頻繁に中国当面海域で偵察や軍事測量を行ってきているが、中国はこのことには断固反対しており、この種の活動を停止することを米国側に要求する。中国側は引き続き米国側のこうした活動に対し警戒を維持し、必要な措置をもって対応する」とけん制した。

 米海軍海洋調査船が寄港していたスービック湾沖という現場は、本来フィリピンの排他的経済水域内だが、スービック湾西200キロの地点にあるスカボロー礁はフィリピン、中国が領有権を争う係争地である。米国側はこの周辺海域を国際水域、つまり公海や自由海に準ずるものとして認識しているが、中国側にすれば現場は中国の排他的経済水域ということになる。排他的経済水域内の科学目的調査は沿海国への「妥当な考慮」が必要となっている。

 この海域の認識はともかく、軍の船が領海領空のボーダーに近いところで調査を行えば、沿海国にとっては苛立つものだし、情報収集艦が接続水域や領海に入ってこないように、追尾し、監視して追い払おうともするだろう。中国の情報収集艦もしばしば尖閣諸島などの接続水域に入り、ときに領海を横切ることもあったので、日本もきりきりしている。ただ、日本は抗議するが、実力行使を行ったことはない。

コメント21件コメント/レビュー

米国は国際水域とか公海とか理由をつけて台湾海峡に艦隊を航行させたり「海洋調査」を行ったり台湾に武器売却を行うなどの挑発をして来たがかねてそれを苦々しく思っているので時には警告しておく必要があると判断したのではないか? 冷戦下東シナ海や南シナ海を中国封じ込め政策のエリアにして来たが、そろそろ考え直す時が来たのではないか?(2016/12/24 10:10)

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「なぜ中国は米軍の潜水ドローンを拿捕したのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

米国は国際水域とか公海とか理由をつけて台湾海峡に艦隊を航行させたり「海洋調査」を行ったり台湾に武器売却を行うなどの挑発をして来たがかねてそれを苦々しく思っているので時には警告しておく必要があると判断したのではないか? 冷戦下東シナ海や南シナ海を中国封じ込め政策のエリアにして来たが、そろそろ考え直す時が来たのではないか?(2016/12/24 10:10)

「現場の暴走では?」は本当でしょうか?
 
 前にも書きましたが、
 自衛隊が時折、公開する中国空軍戦闘機の写真で落下式の増加燃料タンクは付いてま
せん。対照的に、中国が公開する日本の戦闘機の写真にはすべて落下式の増加燃料タンクは
付いたままです。

 これは事前に中国軍機は落下式の増加燃料タンクを切り離して投棄し、身軽になったうえ
で接近した・・と思われます。
 
 増加燃料タンクは投棄式でもそれなり高価です。正当な理由無く操縦士の判断で勝手に
投棄することは許されない筈です。現場の暴走ではなく然るべき命令系統によって現場に
命じられたと解するしかありません。

 問題はその命令が何処から出てるか?軍の統制は取れていないのか。それとも
習軍事委員会主席が承認した上での行動か。計りがたい点です。
 加えて、射撃管制用レーダー照射事件の時、外交部が”コッチではなく国防部
に聞いてくれ!”と言わんばかりの回答をした時の様に、こういった行動は外交や通商等の
他の官庁との調整されているのか。軍だけの国内根回し無しの行動か。もわかりません。

昭和の日本軍の内情を見るような気もするのですが(2016/12/21 22:46)

ここのところ筆者に何か切れ味の鈍さを感じるが、何かあったのか?
本事件で誰もが感じたことは、筆者が言うところの「中国は黙っていない」ではなく、「相変わらず軍を掌握できていない習政権」である。それが真実であるかどうかは別にして。
このような受け取られ方をすることを中国政府が予測できなかったとは思い難い。
あえてそれを晒したい勢力の意思が働いたのではないのか?(2016/12/21 17:48)

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