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メルケル氏、首相承認に30人を超える造反

親EUの外相、財務相は独市民の賛同を得られるか

2018年3月27日(火)

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過半数を上回ることわずか9票でようやく信任されたメルケル首相(撮影:熊谷 徹)

 2018年3月14日、ベルリンの連邦議会議事堂。居並ぶ議員たちの投票によって、キリスト教民主同盟(CDU)党首のアンゲラ・メルケル氏が、連邦政府首相に選ばれた。メルケル氏は直ちに宣誓式を行い、連邦大統領によって首相として認証され、第4次メルケル政権がようやく始動した。

首相投票で33人が造反

 ドイツでは、昨年9月の連邦議会選挙から、171日間も政権の空白状態が続いた。第2次世界大戦後、この国で、選挙から政権の誕生までに6カ月近くかかったのは、初めてのことである。昨年の選挙では、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)という伝統的な政党が得票を大きく減らして後退し、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が一気に第3党になった。ポピュリズムの高まりという地殻変動が、政権誕生を大幅に遅らせたのだ。

 実はこの日の首相選挙でも、ある「異変」が生じた。今期の連邦議会の議席数は709なので、メルケル氏が首相に選ばれるには、過半数つまり355票を必要とする。大連立政権を構成するCDU・CSUとSPDの議員のうち、この日投票に参加したのは、397人。つまり連立与党の議員が全員メルケル氏に賛成すれば、彼女は余裕をもって首相の座に就ける。

 しかし蓋を開けてみると、メルケル氏の首相就任に賛成した議員の数は、364人にすぎなかった。メルケル氏の得票数は、過半数を9票しか上回らなかった。つまり連立与党に属する議員のうち33人が、メルケル氏の首相就任に反対したのだ。

 連邦議会のヴォルフガング・ショイブレ議長がこの投票結果を読み上げると、議場には一瞬氷のような沈黙が流れた。だが、すぐにCDUの議員たちが立ち上がってメルケル氏に拍手を送って祝福し、気まずい雰囲気を打ち消した。

造反者はSPDか?

 33人の造反は、政権の船出に苦い後味を残した。首相選挙は秘密投票なので、誰が投票用紙に「ナイン(メルケル氏の首相就任に賛成しない)」と書いたのかはわからない。ただし、投票結果が判明した時、SPDの議員の中には、拍手をしない者が目立った。SPDの左派に属する議員の間には、「CDU・CSUとの連立を続けると、有権者がSPDに寄せる信頼がさらに減る」として、大連立への反対姿勢を崩さない者が多かった。したがって、ドイツのメディアは、造反組の33人には、SPD議員が多かったものと推測している。

 SPDの議員たちが感じる失望は、理解できる。彼らは、昨年の9月以来、当時党首だったマルティン・シュルツ氏が右往左往するのに振り回されてきた。

 そもそもSPDは、選挙後、野党になるはずだった。連邦議会選挙でSPDの得票率は、結党以来最低の水準に落ち込んだ。このためシュルツ氏は、「大連立政権には加わらず、野に下って党を再建する」と宣言した。しかし、メルケル氏は、自由民主党(FDP)と緑の党との4党連立に失敗。再選挙の可能性も浮上し、政権の空白状態が長期化する危険が強まった。シュルツ氏は連邦大統領から「党の利益よりも国益を優先してほしい」と請われると、野党になる方針を撤回し、大連立に賛成した。一貫性を欠くシュルツ氏の態度に、SPDの多くの党員が唖然とした。

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「メルケル氏、首相承認に30人を超える造反」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官