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空騒ぎに終わったドイツ中道左派の“乱”

不透明性の時代にドイツ人はポピュリズムを拒否し、安定を望む

2017年5月25日(木)

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シュルツ・フィーバーを起こしたものの…(写真:ロイター/アフロ)

 今年9月に行われる独連邦議会選挙の行方が見えてきた。BREXIT(英国のEU離脱)の決定、トランプ大統領の誕生、ロシアの脅威などにより不安定性が高まる時代に、ドイツの有権者が、欧州で最も経験の豊富な政治家、メルケル氏を首相に選ぶことは確実だ。社会民主党(SPD)を選ぶという実験を好むとは考えられない。

 一方、ドイツでは右派ポピュリズム政党が低落傾向にある。欧州政治の軸は、もはや保守と革新の対立ではなく、グローバリズム対ナショナリズムの対決に変わりつつある。

3つの州議会選挙で勝利

 なぜメルケル4選は、ほぼ確実なのか。その理由は、今年に入ってドイツの3州で行われた州議会選挙で、メルケル氏が率いるキリスト教民主同盟(CDU)が勝ち、SPDが敗れたことにある。特に、この国で最大の人口を抱えるノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州議会選挙でCDUが大勝し、SPDと緑の党の連立政権を崩壊させたことは、有権者の「心模様」をはっきりと表わしている。

 5月14日に行われたNRW州議会選挙においてCDUは、前回の選挙に比べて6.7ポイント得票率を増やした。これに対しSPDは7.9ポイント、緑の党も4.9ポイント得票率を減らして惨敗した。SPDの得票率31.2%という数字は、過去最低である。

ノルトライン・ヴェストファーレン州議会選挙での主要政党の得票率
資料・NRW選挙管理委員会

 人口が全国で最も多いNRW州の議会選挙は、全国的な政局の行方や国民感情を映し出す鏡として、報道関係者と世論調査機関が最も注目する地方選挙だ。

 NRW州は、かつて鉄鋼業などの重厚長大産業や石炭産業で栄えた。この歴史を反映して、NRW州はSPDが地盤としてきた。SPDは労働組合を重要な支持層としてきたからである。この州では、1966年からの51年間のうち、2005年からの5年間を除いて常にSPDの首相が君臨してきた。その牙城で、SPDは史上最低の得票率を記録し、権力の座から放逐される屈辱を経験したのだ。

有権者を失望させたSPD

 ドイツの州議会選挙では常に、州政府のパフォーマンスと、中央政府つまり連邦政府のパフォーマンスに対する有権者の判断が反映される。

 まず州政府レベルでは、SPDのハンネローレ・クラフト首相率いる左派連立政権に対し、有権者の不満が高まっていた。 

 最大の争点は、治安の悪化だった。たとえば2015年の大晦日にケルン駅前の広場で、北アフリカからの難民ら数千人が、人混みに紛れてドイツ人女性ら約1000人の身体を触ったり、財布を盗んだりする事件が起きた。

 この広場には200人を超える警察官がいたにもかかわらず、犯行を防ぐことができなかった。また夜間の人混みの中での犯行だったために、警察が犯人を特定する作業も難航し、有罪判決を受けたのは6人にすぎない。

 この事件は、2015年に難民が流入するようになって以降の「体感治安」の悪化をドイツ人に痛感させる契機となった。

 また2016年12月に、過激組織イスラム国(IS)を信奉するチュニジア人、アニス・アムリが、ベルリンのクリスマス市場に大型トラックを突入させ、11人を殺害し55人に重軽傷を負わせた。

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「空騒ぎに終わったドイツ中道左派の“乱”」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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