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ドイツ連立交渉決裂で高まる伝統的政党への不信

メルケル首相の「神々の黄昏」(中)

2017年11月24日(金)

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 欧州最大の経済パワー、ドイツの政治が麻痺しつつある。政権与党が9月24日の連邦議会選挙で得票率を大幅に落とし、大連立政権が崩壊しただけではない。キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)、自由民主党(FDP)、緑の党が連立政権を構成するために続けてきた交渉も、11月19日に決裂した。連邦レベルで、政党が連立政権樹立に失敗したのは、この国で初めて。獲得議席数が過半数に満たない少数与党政権、もしくは選挙をやり直す可能性まで浮上してきた。この未曽有の事態は、伝統的政党の統治能力の欠如と、民主政治の機能不全を浮き彫りにしている。
連立交渉の破綻を発表するメルケル首相(picture alliance/アフロ)

 11月19日深夜に連立交渉の席を立ったのは、FDPのクリスティアン・リントナー党首。無精ひげを生やし、睡眠不足のために眼の縁を赤く腫らしていた。彼は「これだけ時間を費やして交渉してきたのに、他党との間に信頼感を築けなかった。まだ200件を超える対立点が残っている。連立協定書の文案は、緑の党の筆跡が濃すぎる。我が党の原則を曲げてまで政府に参加するよりは、政府に参加しない方がましだ」と述べた。

FDPと緑の党の対立

 FDPは、自由放任主義と小さな政府を重んじるネオリベラル的な性格を持つ党で、多くの企業経営者や、自営業者から支持されている。同党は2013年の連邦議会選挙で5%の最低得票率を取れず、連邦議会から締め出される屈辱を味わったが、弱冠38歳のリントナー氏が精力的に選挙戦を戦い、今回、連邦議会へのカムバックを実現した。

 リントナー氏は、旧東ドイツ支援のためにこの国の全ての納税者が払っている連帯税の廃止を主張して、財政状態の悪化を懸念する他党と対立。

 また彼はエネルギー政策をめぐり、緑の党と正面衝突した。緑の党は、2030年までに石炭・褐炭火力発電を廃止し、ディーゼル及びガソリンエンジン車の認可を禁止するよう求めていた。これに対しFDPは、「エネルギー政策において環境保護を重視しすぎると、ドイツ産業界の競争力を弱める」として、化石燃料の早期禁止に反対している。

 またFDPは、緑の党が掲げる、難民の受け入れに比較的寛容な方針についても難色を示した。リントナー党首は、「新しい連立政権では、緑の党の影響力が強すぎる。この党と連立したら、FDPを連邦議会に送ってくれた有権者を失望させるだけだ」と判断して、政権参加を断念した。

 メルケル首相は11月20日「FDPの離脱は、極めて遺憾だ。連立協定の内容の75%については合意できており、あと一歩という所だったのだが……」と失望を露わにした。彼女の言葉には、「緑の党はかなり譲歩したのに、FDPが妥協を拒んだ」というリントナー氏への批判が暗に込められていた。近年、メルケル氏の政策には緑の党に近いものが目立った。寛容な難民政策、脱原子力発電政策はその例である。つまり連立交渉の席上では、CDU・CSUと緑の党が歩み寄り、FDPが孤立していたのだ。

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「ドイツ連立交渉決裂で高まる伝統的政党への不信」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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