• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

フィリピン、操業停止に揺れる鉱山城下町

かみ合わない主張が引き起こす無関心

2017年1月31日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 世界で5番目に鉱物資源が多く眠っているとされるフィリピンで、昨年誕生したドゥテルテ政権の鉱山政策が注目を集めている。環境活動家のジーナ・ロペス氏が鉱山開発を監督する環境天然資源省(DENR)の長官に就任。環境問題を錦の御旗に掲げ、操業停止命令を相次いで出しているためだ。鉱山の問題を巡る環境団体、鉱山会社の言い分は真っ向から対立し、解決の糸口は見えていない。操業停止に揺れる鉱山城下町サンタクルスに赴き、その実体を探ってみた。政権の狙いや資源マーケットへの影響については、2月6日号の特集「元素が買えない 自国優先主義が招く危機」で詳しく解説する。

 「この真っ赤に染まった川を見て下さい」。環境天然資源省(DENR)長官のジーナ・ロペス氏は昨年9月、ニッケルを含む地層が川に流出した画像を見せながら、国内全41の鉱山に対する監査結果を発表していた。うち30に基準違反があると糾弾。生中継で流れた発表の様子は、フィリピンの鉱山政策の変化を国民にまざまざと見せつけた。

 6月にロドリゴ・ドゥテルテ大統領の指名を受けて就任したジーナ・ロペス氏は、マヌエル・ロペス前駐日大使も輩出したロペス財閥の出身。大手テレビ局ABS-CBNを経営する傍ら、環境保護活動に身を投じてきた異色の経歴を持つ。

 現地で環境調査を続けるNGO(非政府組織)、FoE Japanの波多江秀枝さんは水質汚染や木の伐採による悪影響、農作物の減収などを鉱山会社が引き起こしていると訴えてきた。「監査をパスした企業も、問題が全くないわけではない。もっと追及を続けてほしい」とロペス氏の活動に発破をかける。

 一方、監査で基準違反を指摘された企業は強く反発する。カラスカル・ニッケル・コーポレーションのポール・タン・コーポレートマネージャーは監査チームの言動に不満を持ったという。「鉱員がたまたま1人だけヘルメットをかぶっていないだけで、説明を求めてくる。問題を本質的に捉えることができていない」。

 鉱山会社は法令により利益の1・5%以上を現地住民の奨学資金や学校・インフラの建設、農家のための農機具の購入などのために使うことが求められている。マークベンチャーズホールディングスのイシドロ・アルカンタラ会長は「ロペス氏は最初から反対ありきのNGOの報告ばかり受けているから、実体が見えていない。環境破壊はもっと悪質な企業が引き起こしている問題。私たちの活動は地元住民も歓迎している」と話す。

サンタクルスの鉱山近くのジナボン・バランガイで働くマウドさん。降雨時に川から流れ出す赤い水が気がかりだ。

 いずれも住民の生活の保護を訴えるNGOと鉱山開発会社。その背景を取材するため、北部にある鉱山集積地帯の1つ、サンバレス州サンタクルスを訪れてみた。サンタクルスの周辺にある4つの鉱山は操業停止中。鉱山の内の1つを訪れてみると、銃を提げたガードマンに素気なく追い返されてしまった。このガードマンは鉱山から最も近い集落、ジナボンというバランガイ(最小行政区)に住んでいるという。

「集落の住民の半数が鉱山に関与」

 踵を返してジナボンを訪れると、自警団のロベルト・マウドさん(53)が複雑な胸中を語ってくれた。ジナボンの400人ほどの住民の内、約半数が鉱山に勤務。日給は最低350フィリピンペソ(約800円)。農家と比べて7~8割高いという。住民の健康被害については「集落内では聞いたことがない」と言い切った。一方、米農家でもあるマウドさんは、降雨時に赤く染まる川の水が気がかりだ。川の水が溢れ水田にしみこむと「土が硬くなり、米の品質が落ちる。」と語る。鉱山の存在、そして操業停止命令については「賛否両論。ただ、もうみんな仕方の無いこととして鉱山を受け入れていると思う」

コメント1件コメント/レビュー

地味ながら良記事(2017/02/02 15:13)

オススメ情報

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「フィリピン、操業停止に揺れる鉱山城下町」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

地味ながら良記事(2017/02/02 15:13)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本には、まだ中国が決して勝てないものがある。それは、優れた「中間層」の人材だ。

丹羽 宇一郎 伊藤忠商事元会長