幹部が語る「マクドナルドが復活できた理由」

上席執行役員・マーケティング本部長の足立光氏に聞く

  • 河野 紀子
  • 2017年02月08日

 2017年2月6日、日本マクドナルドは、1月の月次売上を発表した。既存店の売上高は前年同月比12.3%増、客数は11%増、客単価は1.2%増だった。客数の増加は13カ月連続。また、単価は14カ月連続で増えており、ファミリー層の回復や、ドライブスルーの増加が下支えしている。

 2月9日に発表予定の日本マクドナルドホールディングスの2016年12月期の業績は、売上高2250億円、営業利益50億円と3期ぶりの黒字を見込む。

 2016年には、「名前募集バーガー」や限定のトッピングによる「マックの裏メニュー」、森永ミルクキャラメルのシェイクなど、従来にないような商品が相次いで発売され、マーケティングの効果が目立った。ポケモンGOのコラボレーションも話題をさらい、消費者の目には明らかにマクドナルドの露出が増えたように映ったに違いない。

 記者はマクドナルドのマーケティング戦略について、同社のマーケティング責任者である足立光氏に取材する機会を得た。その際のコメントを基に、マクドナルドの施策について振り返る。

 足立氏がマクドナルドに入社したのは、2015年10月だ。当時は、前年の鶏肉の使用期限切れ問題や年初の異物混入騒動の影響で売り上げの減少が続き、2期連続の赤字を見込んでいた。足立氏の目には、当時のマクドナルドはどう映ったのか。

日本マクドナルド上席執行役員でマーケティング本部長を務める足立光氏。一橋大学商学部卒業後に、P&Gジャパン、ブーズ・アレン・ハミルトン、ローランドベルガーを経て、ドイツのヘンケルグループに属するシュワルツコフヘンケルで社長を務める。2007年よりヘンケルジャパン取締役 シュワルツコフ プロフェッショナル事業本部長を兼務し、2011年からはヘンケルのコスメティック事業の北東・東南アジア全体を統括。その後、ワールド執行役員国際本部本部長を経て、2015年10月より現職(写真:陶山勉)

 「チャンスを十分に生かしてないなと思いました。というのも、どんなに事件があって大変だとは言っても、それでも100万人、200万人のお客様が毎日来ているわけです。アプリも2000万近いダウンロードがあります。『Twitter』や『Facebook』のフォロワー数もすごい数があって、知名度も抜群だし消費者にはマクドナルドについて何かしらの思い出があるんです。そんな資産があるわりには、あまり使っていない印象でした」

 「単一ブランドで、必ずお店がある。そうすると店舗体験がブランドの基礎です。そこに、お客様を呼んでくるための何か楽しい仕掛けが必要なわけです。私が入社した時、既に数百店舗の改装が済んでいたので、お客様に来ていただければ、『変わったな』と思ってくれるはずだと。何か変えたというよりも、昔に戻ったという方がおそらく正しいでしょう。そこで、楽しくてわくわく感のあるようなものをばんばんやっています」

 たしかに、2016年は名前募集バーガーやトッピングによる「裏メニュー」などは、顧客参加型の商品でわくわく感を掻き立てるものだった。足立氏は商品の力だけでなく、その「伝え方」に力を注いだという。

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