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沸騰するセキュリティー市場に噛めない日の丸勢

2018年2月13日(火)

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 日経ビジネスは12月18日号でスペシャルリポート「取り残される日本企業 五輪控え、最新セキュリティー機器が活況」を掲載し、日本のセキュリティー関連企業が、国際認証、プライバシー、法令という3つの壁を乗り越えられず、東京オリンピック・パラリンピックを控えたバブルにも乗り遅れている現状を詳報した。欧米やイスラエルの企業が台頭しているセキュリティー市場だが、日本企業も遅れを取り戻そうと策を練っている。その鍵を握るのがパートナー探しだ。

 「去年とは反応が全然違ったね」。2017年10月に東京ビッグサイトで開かれたテロ対策特殊装備展(SEECAT)。去年までは「日本企業も官公庁も頭が固い」とぼやいていた海外セキュリティー企業が、展示会での好評にホクホク顔だった。その理由を「東京五輪が迫ってきて、尻に火が付いているんじゃないか」と推測する。この推測が正しければ、セキュリティー関連機器の需要が膨らむ一方で、日本のセキュリティー関連企業がこの需要に十分に応えられていないということだろう。

日本にやってくるセキュリティーバブル

オランダのスキポール空港でいち早く導入されている、先進の手荷物チェック機器。パソコンなどをカバンの中に入れたまま検査できる。

 その典型例が、空港での手荷物チェック機器だ。国土交通省は東京五輪に向けて急増する訪日観光客に対応するため、金属だけでなくセラミックナイフや手製爆弾も検知できる「ボディスキャナー」、自動で要注意の手荷物を仕分ける「スマートレーン」などの先進機器に対し、購入費の50〜100%を補助する方針を掲げている。ある海外セキュリティー企業大手の日本営業担当者は「バブルがやってきている」と表現する。こうした機器の導入が進めば、携帯電話やノートパソコン、飲料などをカバンに入れたままチェックできるようになり、乗客の利便性も高まる。

 国交省はこの補助金の対象となる機器について「欧米の基準を参照にする」(航空保安対策室)としている。欧米の基準とは、米国運輸保安局(TSA)、欧州民間航空会議(ECAC)による先進機器の基準を指す。2001年の米同時多発テロ事件を契機に、両機関は空港のセキュリティー機器の安全性を審査する活動に取り組む。重要なのは、空路で繋がる他国にも認定を受けた機器を導入するよう求めていることだ。結果的に、これから更新が相次ぐ日本での航空保安機器はTSAやECACの認証を受けている欧米メーカーの製品が主流になると見られている。

 大きな営業上の後押しになるTSAとECACだが、日本のセキュリティー企業による取得事例は極めて少ない。両認証の基準が公表されていないことが最大のハードルだ。製品の仕様を決める前に欧米の学会や展示会で審査員と接触し、非公式に情報を集める地道な活動が欠かせない。海外進出が進んでおらず売上規模が少ない日本のセキュリティー企業にしてみれば、こうした効果が目に見えにくい営業活動になかなか踏み出せない。

 TSAは認証機器を公表していないため、日本企業の認証事例は明らかになっていないが、ECACの認証リストには1つだけ日本企業による製品が掲載されている。セキュリティーゲートの国内最大手、クマヒラ(東京・中央)による液体検査装置だ。クマヒラは、日立製作所と並び、ECACと各メーカーの年次会合に参加している数少ない日本企業でもある。

 クマヒラの液体検査器は超音波などを利用する従来製品と違い、赤外線の吸収率で液体爆弾の材料を判別する。赤外線は検査時間を大幅に短縮できる反面、感度が低く、容器の色や素材などで結果が変わってしまう難点があった。吸光スペクトルの特徴点を多数組み合わせて判断する方法を開発して感度を高めることに成功し、実用化にこぎつけた。この技術は大阪大学の糸崎秀夫名誉教授の特許を買い取ることで実現したものだ。

 基礎技術を製品化する段階においても、糸崎氏の人脈が大きく貢献した。ECAC側との折衝の間に立ち、国際条約で規制されている爆発物の検証も、英国の国有実験施設を糸崎氏が紹介することで実施できた。長年セキュリティー関連の学会で活動し、赤外線検査という新たな手法も確立した糸崎氏というパートナーを獲得したことが、クマヒラの勝因だった。認証取得の結果、クマヒラはスペイン、ポルトガルなど欧州で相次いで代理店契約が成立。既に十数台の導入が決まっているという

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「沸騰するセキュリティー市場に噛めない日の丸勢」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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