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トヨタの現場の神様が9・29にやったこと

記者がAIや機械が人を越えられないと思うワケ

2018年3月2日(金)

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 先日、かねてより記者が憧れていた人物を取材する機会を得た。トヨタ自動車副社長の河合満氏、70歳。2017年4月1日付の人事で豊田章男社長から、副社長に大抜擢された「中卒の現場育ち」(ご本人いわく)である。

副社長になった今も現場に通い詰める河合氏

 なぜ憧れていたかというと、純粋にその生き様が格好いいと思っていたから。河合氏は中学卒業後、トヨタの企業内訓練校であるトヨタ技能者養成所(現トヨタ工業学園)に入学、66年にトヨタに入社した。生産現場で技能をトコトン磨き、現場の人たちから尊敬される現場の知識(知恵)と人間力が買われ、幹部に引き上げられた。副社長となった今も、オフィスを本社ではなく、本社工場の鍛造工程近くの事務所エリアに置いているという。

 そのすぐ横には「鍛造風呂」と名付けられた巨大な浴場(全長28m、幅9mの浴室の中に全長4m、幅2.7mの浴槽が3つあるという)がある。鍛造工程の作業で汚れた体を洗い流すために設置されたもので、河合氏が入社した頃からあるそうだ。

 河合氏は毎朝、この風呂に入ってから現場へと向かう。本社には、出席しなければならない会議の時以外はほとんど行かない。

 「僕はね、『風呂のない所には行かん』と言っているんですよ。現場の臭いを感じられる場所じゃないと、どうも体調が悪くなりそうでね」

 トヨタの現場の神様――。その神様が話す内容には、日本中の生産現場に携わる人たちにぜひ届けたい、たくさんの「思想」や「姿勢」が含まれていた。ここでは、それらを自称「現場大好き人間」である記者の目線で厳選し、発言をありのままに記そうと思う。

 なお、河合氏が一貫して語っていたのは「人の大切さ」だ。昨今、世間を騒がせているAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、自動化の意味を考えながら読み進めていただくと、河合氏の思いをよりご理解いただけけるのではないかと思う。

問題がなくても現場を回る

 2017年9月29日、あるニュースが日本中を駆け巡った。日産自動車による不正検査問題だ。それは当然のことながらトヨタ社内にも届いた。だが、河合氏は落ち着いていた。

 「現場を50年も歩いていると、うちがどういう検査をしているかは分かっていたので自信を持っていた。あの日はちょうど金曜日の夜。9月最終の。鮮明に覚えている。その時に、(豊田)社長から『うちは大丈夫か?』とメールが来た。で、僕は即行で『大丈夫です』と答えたんです」

 「僕は10月の最初の休みに必ず山に登るんです。ちょうど紅葉がきれいなので。10月の第1週の月、火は絶対に休むと決めていて、毎年1月1日にそこの休みを申告している。誰が何と言ったって、社長がダメだと言ったって休むと(笑)。それを今年も入れておったんです」

 「現場の人に『来週は山に行くんですよね』と言われて、『おう、月、火は休むでな』と話していました。ところがそれ(不正検査問題の報道)が金曜日にあったので……なんかね。いや、僕は間違いないと自信は持っとったんですよ。それ(完成検査工程)も時々、チェックしてるから。間違いないと思ったけど、みんなが動揺してるかなという思いがあって、秘書に『会社に行く』と言って、月曜日の朝にそこを回ったんです」

 「(そうしたら現場が)『河合さん、何しに来たんだ?』って。『お前らが動揺しとるかなと思って激励に来たんだ。ありがとな』って言ってずっと工程を回りました」

 「トヨタは現地・現物ということで、そういうことに関しては常に誰かが見ているというのがあるから、上が(急に)行って『大丈夫か? やっとけよ』っていうのはあまりなくてね。社長も時々現場へ『行くぞ』って行くし。僕が連れていくんだけど、誰にも言わんで連れてくの。すると現場は『(ぽかんと口を開けて)あー』ってなる(笑)」

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「トヨタの現場の神様が9・29にやったこと」の著者

池松 由香

池松 由香(いけまつ・ゆか)

日経ビジネス記者

北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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