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「黒い水」を飲んでいた限界集落の挑戦

2017年5月1日(月)

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 5月1日号の日経ビジネスのスペシャルリポート「限界突破集落」では、高齢者が過半数を占め、コミュニティーの消滅が危惧される「限界集落」の中で、住民や地元企業の工夫で「限界」を超えようとする挑戦を取り上げた。

 都心に住んでいる人間には想像しにくいことかもしれないが、限界集落の中には最低限のインフラすら揃わないまま生活を送っている住民がいる。大分県豊後高田市の中黒土集落もその1つ。つい6年前までマンガンを基準の32倍含む「黒い水」を生活用水として使ってきた。集落を変えたのは住民自らが管理する小型浄水設備だ。

11世帯が暮らす中黒土地区では、火山灰の影響で黒く濁った水を飲み続けていた。

 「風呂の底が見えた!!」

 大分空港からクルマで1時間、国東半島の両子火山群の中にある中黒土集落(大分県豊後高田市)。ここで奇妙な歓喜の声が上がったのは2011年のことだった。

 この年、初めて集落に水道設備ができたのだ。それまでは上の写真右側の「黒い水」を生活用水として使っており、風呂の底も見えなかった。住民が管理する小型の浄水設備が稼働した後は、左側のきれいな水が使えるようになった。

 集落の長老の1人、冨山寿満さん(87)によると、中黒土は平家の落人がつくった集落と伝えられており、西南戦争に出征した水戸藩士も後に加わった。戦前は20世帯以上が住んでいたが、現在は11世帯15人。13人が65歳以上の限界集落だ。国東半島の火山から飛んで来た灰がマンガンを多く含んでおり、土壌が黒い。これが周辺の地域名の由来であり、生活の悩みのタネでもあった。

 厚生労働省によると、日本全国で水道が使えない住民は全体の2.2%(2014年度)。こうした集落には清浄な水源があり、井戸や湧水を利用していることが多い。一方、中黒土の地下水にはマンガンが混ざり、含有量は水道の基準の32倍に上る。鉄も7倍だ。

マンガン中毒疑いの症状も

 この水質では農業ができず、中黒土の住民は炭焼きなどを生業にしてきた。生活用水は、井戸水をタンクに貯水して暫く放置。マンガンなどを沈殿させた後、上澄みを利用していた。しかしこれでは、残留するマンガンなどの影響で、洗濯物は茶色に染まってしまう。住民はシャツなど白い衣服は着られなかった。飲食用にも使っている住民の中には、マンガン中毒の症状と疑われる関節痛を抱える人が多かった。クルマを使える一部の住民は隣接市の湧き水で飲料水を汲んでいたが、往復で1時間もかかっていた。

 限界集落に水道という大きな投資ができない自治体は多い。地方公営企業法の定めにより、水道事業は独立の特別会計で運営されているからだ。一般会計で赤字の穴埋めをする例もあるが、収益の見込めない地域への水道新設はハードルが高い。

コメント5件コメント/レビュー

コメントへのコメントになってしまいますが、「災害の少ない土地に安上がりに作り直す方がどれ程資金の有効利用になり、且つ将来の災害リスクを下げられる」に賛成です。

私の住むところは、今想定し得る自然災害では直下型地震以外のリスクが皆無同然といえる地域ですが、公示価格は高級住宅街とされる芦屋の2倍ぐらいです。ここへ、コメント氏が行政から「移住」を指示されたらすぐ応じますよね? 「そこに住み続ける事は別々に考えるべき」だと言われているのですから。

もしご自身は躊躇するのでしたら、画餅を自己証明しただけのことです。某政党の軍隊不要論同様、ユートピアの世界。
土建屋にカネを使う方が、社会的にコストが安いから議会はそれを選んでおり、行政は議会の決定事項を遂行しているだけなのです。

もっとも、冒頭のとおり私は賛成です。強行法規を作りたいという政党がいるなら応援します。一時的に土建コストが上昇しますが、長期的には衛生面の維持コストが下がるので建設国債発行に馴染む案件です。(2017/05/08 09:42)

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「「黒い水」を飲んでいた限界集落の挑戦」の著者

寺岡 篤志

寺岡 篤志(てらおか・あつし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞で社会部、東日本大震災の専任担当などを経て2016年4月から日経ビジネス記者。自動車、化学などが担当分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

コメントへのコメントになってしまいますが、「災害の少ない土地に安上がりに作り直す方がどれ程資金の有効利用になり、且つ将来の災害リスクを下げられる」に賛成です。

私の住むところは、今想定し得る自然災害では直下型地震以外のリスクが皆無同然といえる地域ですが、公示価格は高級住宅街とされる芦屋の2倍ぐらいです。ここへ、コメント氏が行政から「移住」を指示されたらすぐ応じますよね? 「そこに住み続ける事は別々に考えるべき」だと言われているのですから。

もしご自身は躊躇するのでしたら、画餅を自己証明しただけのことです。某政党の軍隊不要論同様、ユートピアの世界。
土建屋にカネを使う方が、社会的にコストが安いから議会はそれを選んでおり、行政は議会の決定事項を遂行しているだけなのです。

もっとも、冒頭のとおり私は賛成です。強行法規を作りたいという政党がいるなら応援します。一時的に土建コストが上昇しますが、長期的には衛生面の維持コストが下がるので建設国債発行に馴染む案件です。(2017/05/08 09:42)

このような限界集落は日本中に存在するはずですが、公的なサポートで集落を維持していくリミットはどこなのか、即ち住人がいる限り飲み水などの生活インフラの提供が必要かを考える必要があると思います。全体のお財布は一つです。(2017/05/02 19:37)

この記事で紹介されている取り組みは素晴らしいと思います。

しかし、一番下のコメントの方が仰るように、そもそも、人は移動しないという前提で地方の問題を論ずるのは考え直すべきだと思います。いやでも世の中は変化していくのですから、立ち行かなくなった土地からは出ていくことを考えるべきです。もちろん、移動に伴う痛みに十分配慮する必要はありますが、それでも移動してもらう方が、長い目で見れば全体として幸せなんじゃないでしょうか。経済を考えても、立ち行かなくなった集落を支えることは、税金という形で、稼いでいる地域からお金を移転しているのですから、過渡的な措置と考えるべきです。(2017/05/02 11:27)

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