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深夜だけ現れる、東京・丸の内の洞窟

再開発工事と景観、両立のこだわり

2017年6月9日(金)

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トンネル内はセグメントと呼ばれる枠で覆われ、宇宙船内の様な雰囲気

 高層オフィスビルや大型商業施設が軒を連ねる東京・丸の内。まさに日本の中心であるこの街は、今も再開発が進められ成長の途中にある。ただそれは目に見えるところだけで起こっているものではない。仕事を終えたサラリーマンが帰路につき、オフィス街の人通りがまばらになってきた頃、丸の内は人知れず成長を始める。

 丸の内のメインストリートである仲通り。通り沿いには有名ブランドの路面店が立ち並び、イルミネーションなど様々なイベントが催される活気あふれる通りだ。丸の内といえば三菱地所が再開発を進める地域。同社は将来のオフィスビル再開発や首都直下地震などの災害に備え、冷暖房設備や通信網などを通わせる「洞道」と呼ばれるトンネルを整備している。仲通りの地下では、今この洞道を掘り進めているところだ。昼間は土を掘る重機のようなものは見当たらないし、通行禁止になっているわけでもない。想像がつかないが、道行く人たちが何気なく歩いているこの通りの真下に巨大な地下空間が広がっているというのだ。記者は今回、その中に入らせてもらった。

 午後9時ごろ、通りが通行止めになり大きなクレーン車が入ってきた。何が始まるかと思うと、クレーン車が通りの表面を持ち上げ始める。よく見ると仲通りは表面の一部がパネル状になっており、それが畳のように敷き詰められている。どうやらその下に地下空間が広がっているようだ。

 感心させられたのはパネルの模様だ。仲通りは石畳の作りになっているが、石畳とパネルの境目でちゃんと模様が続くようになっている。パネルが普通の鉄板などなら少し見ただけで違いがわかるが、これは注意して見ないとわからない。そこには再開発によって街をより魅力的にするという目的をこなしつつ、現在の街の景観も損ねないようにという企業の努力が見て取れる。

巨大縦穴、人も掘る

 景観維持へのこだわりは通りのパネルだけではない。今回のような土木工事であれば現場にクレーンなど必要な機材を置いて壁で囲い、拠点を作るのが一般的だ。しかし景観を守るため、作業の度に大きな機材を持ってくるかたちをとっている。これなら昼間に通りを通行止めにしなくて済む。効率的なのはもちろん現場に必要な機材を置くやり方で、昼間も作業ができれば全体の工期は短く済みコストも抑えられる。手間やコストを犠牲にして、丸の内メインストリートの美しい景観は保たれているのだ。そんなことに感心している間にパネルの移動が終わると、そこには地下30メートル近くある巨大な縦穴が現れた。

 洞道はシールドマシンという掘削機を使って掘り進められる。現れた縦穴(立坑)は、シールドマシンを発進させる深さまで運んだり、シールドマシンの操作室などの設備を設けたりするためのものだ。階段を伝い、建物でいう地下1階部分まで下りていくと、まず目に入るのが大小さまざまな太さの配管。これは現在、街の電気や通信などのインフラを支えている配管だ。配管が傷ついて街の機能を停止させてしまわないよう、配管が通う部分については恐竜の化石を発掘するかのごとく途方もない手間をかけ、人の手で丁寧に掘り出されたのだという。

 地下水の影響であたりは湿っぽく、水滴が滴っている。地下2階、3階部分へと降りていくと、ついにシールドマシンを見つけた。シールドマシンの工法は、円筒状の掘削機で前方の土砂をゆっくり掘り進めていくというものだ。掘り進めた分だけセグメントと呼ばれる枠をはめ込み、トンネルを作っていく。トンネル内は、地上から下ってきた途中の土臭いイメージとは打って変わり、土木工事現場と言われると違和感を覚えるほどきれいだ。セグメントが作り出す幾何学模様によって、まるで宇宙船の通路にいるような印象だった。

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「深夜だけ現れる、東京・丸の内の洞窟」の著者

浅松 和海

浅松 和海(あさまつ・かずうみ)

日経ビジネス記者

2013年日本経済新聞社入社。整理部で2年間紙面編集をしたあと、証券部で化学業界や株式相場を担当。2017年4月から日経ビジネス記者に。ウリ科が苦手。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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