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製薬企業が薬を作らなくなる日

半導体産業の轍を踏まないために

2017年6月28日(水)

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(c) SCIENCE PHOTO LIBRARY /amanaimages

 消費者には見えないところで、製薬業界の“地殻変動”がじわじわ起きている――。筆者は今年4月、医師や薬剤師向けの月刊誌の編集部から『日経ビジネス』に異動してきた。これまでは発売後の新薬の情報を伝えてきたが、その新薬を生み出す側の製薬業界を取材するようになった今、各社の開発パイプラインはもちろん、研究開発体制や医薬情報担当者(MR)の置かれた状況などが10数年前とは大きく変化していると感じる。

 最も大きな変化の一つは、研究開発の中心が「低分子化合物」から「バイオ医薬品」へと移ったこと。2000年代前半までは、高血圧や糖尿病、高脂血症といった患者数の多い疾患を対象とした「低分子化合物」が世界の医薬品売上高ランキングの上位を占めていた。だが低分子化合物の開発は飽和状態に達し、研究対象はがんや希少疾患にシフト。特定の免疫システムやたんぱく質をターゲットとする「バイオ医薬品」の占める割合が増加の一途をたどっている。

 製薬業界の情報分析サービスを提供しているエバリュエートファーマ社は、2022年の世界の医療用医薬品の売上高は1兆1200億ドルに達し、うち29%をバイオ医薬品が占めると予測している。現在、世界で多く使われているバイオ医薬品には、関節リウマチ治療薬の「ヒュミラ」「エンブレル」、抗がん剤の「リツキサン」「アバスチン」「オプジーボ」などがある。

 化学合成で製造する低分子化合物は、量産しやすい半面、生体内の正常な細胞に入り込んで副作用を起こすリスクがある。一方、バイオ医薬品は特定の細胞や原因物質をピンポイントで狙うようにつくられているため副作用が起こりにくいが、その分、バイオ医薬品を見つけるのは容易ではない。さらに、微生物や培養細胞といった“生き物”を使って製造するため、品質管理や安定供給が難しい。

 1つの薬が世の中に出てくるまでには、大きく分けて、

  1. 薬の候補物質を見つける「探索」
  2. 候補物質の毒性や有効性などを調べる「非臨床試験」
  3. 健康な人や対象疾患の患者に投与して有効性や安全性などを調べる「臨床試験(治験)」

――というプロセスがある。これまで製薬企業は、1.から3.まで一貫して自社で行ってきたが、開発の中心がバイオ医薬品に移って以来、1.の探索過程は創薬ベンチャーや大学が担い、製薬企業はそれを導入し、2. 3.の臨床試験に入る段階で製造をアウトソーシングする流れが生まれつつある(もちろん自社で創薬から製造まで手掛けるケースもある)。

コメント4件コメント/レビュー

まとめの部分に関して。

日本のバイオベンチャーが伸び悩んでいるという点、これはバイオに限らずどの分野においてもその傾向が続いていますよね。短期的な評価にとらわれがちな風潮に起因するのか、一度失敗したら再チャレンジが許されにくい文化によるものか。根深いと思います。
ただ、社会が成熟し低成長になってから時間が経っているので、そろそろ起業志向の若者~中堅が興したベンチャーが色々成果を出し始めるのではないかと期待もしています。

医薬品の市場規模が縮小している要因は、高齢化ではありません。薬価削減を推し進める中医協主導の政策によるものです。
なお、薬価を叩いて浮いた分社会保障財政が助かると思いきや、中医協委員には医師会が座っており、「浮いた分を俺たちによこせ」と頑張っておられるので、診療報酬に上乗せされ全体の費用は減りません。むしろ高齢化によって肥大する一方です。
今後も抗体医薬品がどんどん出てきますが、そのうちあり得ない安い薬価を付けられて世界中の製薬企業が日本市場から逃げ出すのではないかと心配しています。(2017/06/28 11:34)

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「製薬企業が薬を作らなくなる日」の著者

内海 真希

内海 真希(うつみ・まき)

日経ビジネス記者

2009年日経BP社入社。医師・薬剤師向けの専門誌である日経メディカル、日経ドラッグインフォメーションを経て、2017年4月から日経ビジネス記者。電機、製薬、医療制度などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まとめの部分に関して。

日本のバイオベンチャーが伸び悩んでいるという点、これはバイオに限らずどの分野においてもその傾向が続いていますよね。短期的な評価にとらわれがちな風潮に起因するのか、一度失敗したら再チャレンジが許されにくい文化によるものか。根深いと思います。
ただ、社会が成熟し低成長になってから時間が経っているので、そろそろ起業志向の若者~中堅が興したベンチャーが色々成果を出し始めるのではないかと期待もしています。

医薬品の市場規模が縮小している要因は、高齢化ではありません。薬価削減を推し進める中医協主導の政策によるものです。
なお、薬価を叩いて浮いた分社会保障財政が助かると思いきや、中医協委員には医師会が座っており、「浮いた分を俺たちによこせ」と頑張っておられるので、診療報酬に上乗せされ全体の費用は減りません。むしろ高齢化によって肥大する一方です。
今後も抗体医薬品がどんどん出てきますが、そのうちあり得ない安い薬価を付けられて世界中の製薬企業が日本市場から逃げ出すのではないかと心配しています。(2017/06/28 11:34)

>高齢化により医薬品の国内市場規模は縮小しており

いつも高齢化で医療費が膨張とばかり聞かされていたので、このコメントは新鮮でした。立場と状況によって、同じ現象でも見かたも言うことも変わりますね。

それとも医者や看護師の人件費や施設費は増えているけど、工業製品にかかるお金は縮小しているということなのでしょうか。(2017/06/28 10:50)

「半導体産業の轍を踏まない為に」は大袈裟な表現と言える。半導体企業は世界のトップレベルのシェアを誇っていたが、医薬品では「十把一絡げ」の国全体として米国に次ぐ位置にはあったが、それは先進国で世界第二位の位置を占めていた事の「ついで」に手にしただけの地位であり、トップの武田ですら世界のトップ10に入っていない。そいいう意味に於いても、日本の製薬産業には危機感が欠如している。製薬需要のピークを過ぎた事は分かっているが、先進医薬品はその多くが輸入品であり、ジリ貧と分かっていながら「自社は何とか生き残りたい!」と踠いているだけだ。烏合の衆が合同しても何のメリットも引き出せないかも知れないが、危機感を持つ会社同士だけでも統合すれば「トップ10に入り」程度は簡単に実現出来る。折角基礎研究では中国をはるかに凌ぐ成果をあげているのだから、その延長線上で協力して未来の医薬品で世界の一角を占める地位は手にして欲しいと思う。ペプチドリームや京大の再生医療などを核にして統合できれば開発費の規模でも世界レベルを手に出来るのにと思う。今時、「タケヤリ」では世界に伍する事は出来ないのだから。(2017/06/28 10:06)

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