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「年下上司」と「年上部下」でもうまくいく

年功序列型人事が見直されつつある日本の新しい「働き方」を見た

2017年7月7日(金)

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年齢が上がるほど高い地位に就けた日本の人事システム。少子高齢化社会を迎え、これまでのような昇進の仕組みが維持できなくなった。「年下上司」の下でも「年上部下」がいきいきと働ける環境を整えることこそが、企業の競争力を高める手段となりそうだ。

 「いつかはクラウン」──。1980年代にトヨタ自動車の高級セダン「クラウン」のCMで一世を風靡したフレーズだ。「課長になればマークII。部長になればクラウンに乗れる」。クルマが地位や豊かさの象徴となっていた時代で、その憧れを反映したものだった。

 この考えの根底にあるのは年功序列型の組織だ。長く勤めるほど高い役職に就ける。上司は年上で、部下は年下という時代が長く続いた。だが少子高齢化社会を迎えたいま、若手社員が増えない。階層が下がるにつれ人員や組織数が増える「ピラミッド型組織」を形成できなくなってきた。ピラミッド型組織を維持するためには中高年層が一般職を務めなければ維持できない。

 こうした動きから、年下上司の下で働く中高年層が増えている。年上部下となった中高年も決して卑屈になることなく、いきいきと働けている。そのためには自分の役割をしっかりと理解していたり、専門職としてスキルを磨いてきたりしなければならない。

 様々なパターンがある。例えば、新規事業に挑む年下上司を支援する年上部下がいる。関西の不動産会社、ウィルの岡田洋子氏(50歳)だ。上司となったのが堀内祥次氏(38歳)。実は堀内氏は岡田氏が採用担当として約15年前に採用した。堀内氏は神戸大学を卒業し、ウィルで不動産の営業を続けてきた。MVPを獲得するなど活躍した。2013年にウィルで新規事業として学習塾「志信館」を運営することになった。白羽の矢が立ったのが堀内氏だった。

 堀内氏が塾長となり、開校したものの運営がギクシャクしだした。堀内塾長は営業力があったものの、若さゆえに大学生の講師をまとめきれず、運営がうまくいかなかったのだ。そこで立て直し役として送り込まれたのが岡田氏だった。岡田氏は「まさか自分が採用した子の下で働くとは思わなかった」と明かす。

 岡田氏はウィルの創業メンバーで、経理以外の業務はすべてこなしてきた経験がある。「新規事業は起業と同じ。これまでの経験はきっと役に立つ」と考え、出向した。

 岡田氏は前に出ることなく、堀内塾長を支えることに徹している。岡田氏は創業メンバーで採用担当だったため、社内の上層部とも付き合いが深い。そこで堀内塾長が頑張っていることを伝えるとともに、必要な人員や資金の要請もお願いする。「側面的なサポートでできることは何でもやる」(岡田氏)。

 岡田氏の言葉通り、岡田氏は堀内塾長の妻とも仲が良く、毎日帰りが遅い理由を説明したり、堀内塾長に結婚記念日には花束を買って早く帰るように促したりする。岡田氏は「女性ならではの気遣いで、塾長の仕事をサポートできたら」と考える。ウィルは開校3年目となり、軌道に乗り始めている。

ウィルの岡田洋子氏(写真右)は堀内祥次氏(同左)の下でこれまでの経験を活かし、年上部下として活躍する(写真:菅野 勝男)

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「「年下上司」と「年上部下」でもうまくいく」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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