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「リアルな物件内見はもういらない?」

ゲーム以外に広がるVR市場

2017年8月23日(水)

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 大勢の人たちが公園などでスマートフォンを片手に歩き回り、時に立ちすくむ。拡張現実(AR)技術を使った「ポケモンGO」のブームで広がったそんな光景も、最近はすっかり見なくなった。気づけば昨年7月の配信から一年が過ぎた。仮想現実(VR)が体感できるソニーのゲーム機「プレイステーション(PS)VR」が登場したのも昨年。2016年は「VR・AR元年」と言われるようになった。

 記者の中ではポケモンGOとPSVRの印象が特に強かったので「VR・AR=ゲーム」というイメージを持っていた。今年に入ってからは、普段取材する機会の多い不動産業界でも頻繁にこれらのワードを目にするようになった。

マンション建設予定地に仮想映像

 野村不動産のマンションとしてお馴染みの「プラウド」シリーズ。7月にオープンした「プラウドシティ越中島」のモデルルームでVRを取り入れている。実際に体験させてもらった。ヘッドマウントディスプレー(HMD)を頭に装着すると、目の前に大きな植物のオブジェで飾られた豪華なエントランスが広がる。少し歩いて移動することができるので、奥行きなども直感的にイメージしやすい。

ホロレンズ(左)を装着することで現実空間である建設現場に完成予定のマンションの仮想物体を重ねて表示する

 場面が切り替わると今度は部屋の中。こちらも実際に物件を内見しているような感覚になる。現実空間に作ってあるモデルルームが必要ないのではと思ってしまうほどだ。このモデルルームでさらに新味があったのはマイクロソフトの「HoloLens(ホロレンズ)」だ。モデルルームを出て、実際の建設現場でホロレンズを装着する。するとフェンスに囲まれた何にもない空間に完成予想のマンションが仮想物体として表示され、そこに存在しているかのように見える。マンションの規模感が一目瞭然。これはモデルルームにある縮小版の模型ではわからない。現実の風景と仮装の映像を組み合わせるという意味ではARに似ているが、こちらは複合現実(MR)と呼ぶらしい。

 三菱地所グループや東急リバブルが取り入れているのがナーブ(東京・千代田)の「VR内見」システムだ。三菱地所グループなどユーザー企業の社員が、専用の360度カメラとスマホアプリを使ってVR映像を撮影し、物件のVR映像をアップロードできる。映像は主に店舗での営業に活用されるが、メールなどで送付することでお客が自分のパソコンやスマホで見ることもできる。

 三菱地所レジデンスのマンション「ザ・パークハウス 国分寺四季の森」は物件だけにとどまらず、そのモデルルーム自体がパソコンなどで閲覧できるVRコンテンツになっている。受付スペースから始まり、周りを見渡しながらモデルルーム内を移動できる。Googleのストリートビューと似ているが、VR上の受付から資料請求ができたり、物件の模型をクリックすればそのまま詳細情報が表示されたりするのがポイントだ。このVR上に様々なコンテンツを載せたコンテンツを作ることができるサービス「Smart360」はエージェンテック(東京・千代田)が手がけている。金淙採社長は「事前にお客さんの物件への理解が深まり、営業担当者の負担が大幅に減る」と話す。

 記者はマンションを買ったことがないが、モデルルームに行けば営業担当者が丁寧に物件を紹介してくれるわけなので、下見であっても少し覚悟のいる行為なのだと思う。事前にモデルルームの雰囲気を覗けたり、物件情報を予習できたりするのはお客にとっても精神的なハードルを下げる効果があるだろう。

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「「リアルな物件内見はもういらない?」」の著者

浅松 和海

浅松 和海(あさまつ・かずうみ)

日経ビジネス記者

2013年日本経済新聞社入社。整理部で2年間紙面編集をしたあと、証券部で化学業界や株式相場を担当。2017年4月から日経ビジネス記者に。ウリ科が苦手。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官