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「客ごとに値段が違うお店」許せますか?

勃興するダイナミック・プライシングに思うこと

2018年10月9日(火)

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 企業取材をしていて、ダイナミック・プライシングという言葉をよく耳にするようになった。直訳するならば「動的な価格設定」。モノやサービスの価格を、需要と供給のバランスなどに応じて変動させる取り組みのことだ。

 価格の変動自体は決して目新しい話ではない。盆や正月に航空料金やツアー旅行の料金が割高になるのもそう。居酒屋などで客の少ない夕方早めの時間帯を「ハッピーアワー」などと称し、割引を実施しているのも一例だろう。

 ただし、従来は営業担当者などが自身の経験や勘に基づいて値決めする場合がほとんどだった。一方、いま注目を集めるダイナミック・プライシングのキモはAI(人工知能)の活用にある。販売実績などの膨大なデータをAIに学ばせることで、最適な価格を自動的に、より高い精度で割り出せるようになったのだ。

 ダイナミック・プライシングはいま、離陸期を迎えようとしている。三井物産は今年6月、ヤフーと組んでダイナミック・プライシングを手がけるための新会社を設立した。すでに17年にはプロ野球・福岡ソフトバンクホークスの一部試合で、需給に応じて入場価格を決める実験を始めたという。

 国土交通省と日本交通グループも10月から、時間帯によって迎車料金を変える実証実験を始めている。電力業界では需給が逼迫する夏の昼間などには料金を上げるといった課金体系の検討が進んでいる。

一物一価の終焉

 「物々交換をしていたような昔には、価格って変動して当たり前のものだったと思うんです」

 そう話すのは、AIを活用したホテル向けの宿泊料金提案サービス「マジックプライス」を提供する空(東京・千代田)の松村大貴CEO(最高経営責任者)だ。

 「ところが……」と、松村CEOは自説を語る。「大量供給・大量消費の時代になって、売り手と買い手がモノやサービスの対価をその都度交渉していては効率が悪くなった。そのうちに、いつしか価格は固定され、20世紀は一物一価の時代となったのです」

 AIの登場により、21世紀は再び「価格は変動して当たり前」の世界に回帰する可能性が出てきた。私たち消費者はこれからの数年で、モノやサービスの価格をめぐる歴史の大きな転換点に立ち会うことになるかもしれない。

 と、そこまで大げさな出来事かどうかはわからないが、言われてみれば、たしかに「いつでも価格が一定」というのはおかしな話だ。モノやサービスにどれだけの価値を感じるかは、その時々によって異なるからだ。

コメント36件コメント/レビュー

視点が面白い。また記者の気概が感じられて将来の特集記事が楽しみだ。
ところで記事の内容については,個人的には異論がある。そもそも「一物一価」というのは「幻想」だと思っている。経済学でも「時間」もしくは「時」の扱いについてかなり恣意的で暗黙の前提があったように感じていた。その前提が急速な技術革新によって揺らいで来たということだろう。これは20世紀物理学における「アインシュタイン的転回」とでもいうべきな流れの質的拡大の一つかもしれない。「時間や空間の相対化」「(光という)物理的制約の厳然たる存在」「理想と現実の間の不確定性(あるいは不確実性)という『障壁』」…ということで,記者氏の探求はひょっとすると「ノーベル経済学賞」に通じるかもしれない。(確率は極めて低い,不確定性が無視できないレベルかもしれない…壁抜けができるレベル)
 記者氏の努力と野望が大きなブレークスル―につながることを期待する。(2018/10/15 13:35)

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「「客ごとに値段が違うお店」許せますか?」の著者

藤村 広平

藤村 広平(ふじむら・こうへい)

日経ビジネス記者

早稲田大学国際教養学部卒業、日本経済新聞社に入社。整理部勤務、総合商社インド拠点でのインターン研修などを経て、企業報道部で自動車業界を担当。2016年春から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

視点が面白い。また記者の気概が感じられて将来の特集記事が楽しみだ。
ところで記事の内容については,個人的には異論がある。そもそも「一物一価」というのは「幻想」だと思っている。経済学でも「時間」もしくは「時」の扱いについてかなり恣意的で暗黙の前提があったように感じていた。その前提が急速な技術革新によって揺らいで来たということだろう。これは20世紀物理学における「アインシュタイン的転回」とでもいうべきな流れの質的拡大の一つかもしれない。「時間や空間の相対化」「(光という)物理的制約の厳然たる存在」「理想と現実の間の不確定性(あるいは不確実性)という『障壁』」…ということで,記者氏の探求はひょっとすると「ノーベル経済学賞」に通じるかもしれない。(確率は極めて低い,不確定性が無視できないレベルかもしれない…壁抜けができるレベル)
 記者氏の努力と野望が大きなブレークスル―につながることを期待する。(2018/10/15 13:35)

AIでビッグデータを解析して売上or利益を増やす事が目的だから、ダイナミックプライシングはあくまで一手段に過ぎず、もう少し広く見た方が良いと思います。
この記事の例でいうと、傘を雨天時に価格を上げるよりは、雨天になる事を予期して売り場を変える(ダイナミック売り場変更)、雨天になる事を予期してデジタルサーネイジで客に知らせる(ダイナミック広告)とかの方が売り上げが伸びそうです。
また、ビールについては、同じ銘柄を週に4本買っている人が居たら5本目は値引きする事でもう1本買わせるとか、新商品は3本まで値引きでアピールとかが考えられます。
まあ、下手するとただの安売りになってしまいますが。
いずれにせよ、AIの活用方法は色々あった面白そうというのは確かだと思います。(2018/10/11 11:48)

場所や時刻、購入方法で価格が変わるのは当たり前という感覚になっていましたが、このように理論立てて分析していくのは良いですね。さらなる分析に期待します。(2018/10/11 08:48)

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