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痴漢に疑われた時、役立つ保険

2017年11月27日(月)

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 「この人、痴漢です!」。先日山手線に乗っていると、ドア付近で女性が叫んでいる。背広姿の男性の腕をつかみ、激しい口論となっていた。

 もちろん痴漢をしていたなら、法に基づき罪を償うべきである。被害者の心身に大きなダメージを与える卑劣な犯罪は許すべきではない。だが、怖いのはえん罪だ。満員電車の中で本人に覚えのない告発を受けるケースもあると聞く。満員電車に乗るビジネスパーソンにとって日々つきまとうリスクとなっている。

 もし駅員に「混乱を避けるため、事務室に来て下さい」などと言われてついていくと、そのまま警察官に引き渡され、警察署で勾留される可能性が高い。弁護士法人プロシードの多田猛弁護士は「逮捕後、最大20日間まで勾留は延長できる。起訴後も保釈が認められなければ何カ月も勾留され続ける可能性がある」と指摘する。えん罪で本人が罪を認めずに無実を主張すると「罪証隠滅・逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある」となってしまう可能性が高いからだ。

 ではどうすれば良いのか。多田弁護士は「その場で正々堂々と自身の無実を伝えるとともに、メモ用紙に自身の名字と電話番号だけを記載して渡す。自宅まで押しかけられると危険なので、住所を記載するのは控えた方が良い。駅事務所には行かずそのまま立ち去れば良い」と指摘する。

 弁護士がこうアドバイスするには理由がある。数カ月間も勾留されてしまうと、業務に支障をきたすばかりか、有給休暇を使い切り退社扱いになりかねない。痴漢だと騒いだ女性へも「故意と立証されない限り損害賠償は難しい」(多田弁護士)という。疑いが晴れて損害賠償を求めても負け、職までも失ってしまう可能性があるからだ。

 リスクが大きい割に一般的な会社員は無防備だ。そんなときに味方になってくれるのが弁護士保険。問題が発生した場合に補償の範囲内で、弁護士を紹介されたり、アドバイスを受けられたりする。日本ではまだ馴染みがないが欧米では一般的になりつつある。

 日本の代表例として、プリベント少額短期保険が提供する弁護士費用保険「Mikata」がある。月額2980円を支払うと、補償の範囲内で法律サービスが受けられる。加入者には保険証を発行している。痴漢を疑われた場合には保険証を見せて「弁護士から改めて連絡する」と伝えれば良い。「痴漢のえん罪以外でも個人にふりかかる問題は色々ある。『あとは弁護士から連絡する』という台詞を言えるだけで問題に巻き込まれても落ち着いて行動できる」(プリベント少額短期保険)。すでに1万1000件の加入があるという。こうした保険に入っていれば、万が一の際にも落ち着いて行動できそうだ。

毎日利用する電車はえん罪リスクが潜んでいる(写真はイメージ。写真撮影:菅野勝男)

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「痴漢に疑われた時、役立つ保険」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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