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「海水」で生まれ変わった沖縄・久米島

地方創生、成功のカギはオンリーワン創出

2016年11月28日(月)

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沖縄の離島、久米島。透明度の高い海はダイバーに根強い人気がある

 沖縄本島から約100km西方に位置する久米島(沖縄県久米島町)。人口1万人弱の小さな離島が今、世界から注目を集めている。

 きっかけとなったのが、海底から汲み上げられる海洋深層水の有効活用だ。久米島では2000年、水深約600mの海底にパイプを設置。パイプを伝って1日当たり約1万3000tもの海洋深層水を取り出している。海洋深層水の取水設備は北海道や富山県などにも設置されているが、取水量は最大でも同4000t程度。久米島の取水量は突出して多い。

 海洋深層水はただの海水ではない。大きく分けて3つの特徴がある。1つ目は低温性。表面近くの海水は太陽光の影響を受け、22℃~30℃と季節によって水温が変化するが、海洋深層水は年間を通じて8℃前後と低位で安定している。

 海洋深層水には植物の成長に必要な窒素やリン、ケイ酸といった栄養分が多く含まれているのも特徴だ。さらに、細菌などの微生物、汚染物質の数値は表層水の100分の1程度と、清浄性にも優れている。

 久米島では海洋深層水を有償で民間企業などに提供。海洋深層水の特徴を生かしたまちづくりを進めている。

 「世界にも例がないユニークな試みということでこれまでに約180カ国から視察団がやってきた。おかげさまで『海洋深層水の島』というイメージが定着できました」。海洋深層水の活用事業を取りまとめる久米島町プロジェクト推進室の中村幸雄室長はこう胸を張る。

世界唯一の発電所

 海底から引き上げた海洋深層水は、まず海洋温度差発電所で活用される。温かい表層水と冷たい深層水との温度差を利用し、沸点の低い媒体を気化させ続けることでタービンが高速回転、電気を得る仕組みだ。久米島の海洋温度差発電所は出力100キロワット級。世界唯一の実証運転設備として今も電気を作り続けている。

水深約600mの海底から引かれた取水パイプ(写真上)。深層水だけでなく深海魚が引き上げられることも。下の写真は世界で唯一稼動する海洋温度差発電所

 海洋温度差発電所は近く、1メガワット級の実用設備へと切り替えられる予定だ。中村室長は「久米島全体の電気消費量は6メガワット程度。将来的には島内の電気をすべて海洋温度差発電でまかない、エネルギーの完全自給自足を目指している」と語る。

 発電所を通った海洋深層水は様々な産業で利用されている。海ぶどうとクルマエビは久米島が全国トップシェアを誇る水産品だが、いずれも海洋深層水の活用なしには大量養殖を実現できなかった。

 「成長が遅いと出荷の時期がずれ込むし、早すぎても粒の間隔が広がってしまう。光を当てすぎても横枝が生え、きれいに粒がそろわない。そんな外的環境に左右されやすいデリケートな商品だからこそ海洋深層水が必要なのです」

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「「海水」で生まれ変わった沖縄・久米島」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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