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2年分のインクを搭載した複合機の狙い

飽和市場にみる戦い方

2016年12月5日(月)

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日本企業は顧客を絞り込むことが苦手がちだ。市場が飽和状態のなかでは顧客を明確に絞り込めば、新しい顧客を掘り起こせる可能性がある。

 そろそろ年賀状を準備する時期になった。先日、自宅のプリンタを買い換えようと大手家電量販店売り場に行くと、際立って高額な複合機を見つけた。旧型機と比べても価格は3倍以上と、大幅な値上げだ。複合機といえば量販店でも価格下落が激しく、大幅な値上げは珍しい。

 その複合機はエプソン販売が10月に発売した「EP-M570T」だ。旧型から大幅に機能が追加されたわけではない。唯一変わったのが、2年分相当となるインクがついていることだ。一見すると大幅な値上げだが、使い込む消費者にとっては5年間で75%割安になるという。

 この商品は、多くの企業が値崩れに苦しむなかで参考になる点が多い。

 ポイントは明確に顧客層を絞り込んだこと。日本企業は苦手とすることだが、エプソンは1日10枚以上印刷するヘビーユーザーに絞った。

 ヘビーユーザーにとっては頻繁なインク交換が手間だった。そこでエコタンクと呼ぶ従来よりも大きいインクを搭載し、1万4000枚印刷できるようになった。従来なら49回のインク交換が必要な量だが不要にした。

 実はメーカーにとっても旨味のあるビジネスモデルだ。2年分を先払いしてもらえることで、机上の計算通りの収益計画を立てられる。

 ヘビーユーザーの全員がインクを補充する時に純正品を購入してくれれば問題ない。だが現実には安価な汎用品のインクを使われることも多い。プリンタ事業は製品本体に加え、インクの売り上げは重要な売り上げのひとつ。本来であれば得られるはずの収入をみすみす逃していることになっている。

 このエコタンクは新興国発のアイデアだった。インドネシアで従来品の複合機を発売していたところ、改造して大型タンクを取り付ける人が増えてきた。エプソン販売のCPMD部の新川晶久課長は「販売店の隣に改造専門店ができてしまい一般化してしまった」と苦笑する。「だが故障してしまうと正規販売店へ持ち込まれる。修理代が高額だとわかると引き取らず、在庫の山となり問題となった。そこで純正品としてエプソンが大型タンクを搭載して販売。このノウハウを日本に持ち込んだ。」

 調査会社IDCジャパンによると、2015年の国内インクジェット製品総出荷台数は前年比9.9%減の492万台。2012年の622万台をピークに3年連続で減少している。競争も激化し、販売価格も下がりつつある。そんな市場だからこそエプソンのように絞り込めば浮揚の糸口が見えて来る可能性がある。

エプソン販売が10月に発売した「EP-M570T」。

コメント3件コメント/レビュー

まずは、「苦手がち」などというおかしな日本語を使わないようにしていただきたい。(2016/12/05 10:02)

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「2年分のインクを搭載した複合機の狙い」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まずは、「苦手がち」などというおかしな日本語を使わないようにしていただきたい。(2016/12/05 10:02)

プリンターは自らおかしな商売を続けたことの反動でしょう。どう考えても純正インクの値段は高すぎる。本体は安く作っているが、すぐに壊れる。適正な性能の製品を適正な価格で提供するのが、メーカーとして取るべき態度ではないのでしょうか? こういった企業は早晩淘汰されることを望みます。(2016/12/05 09:04)

 プリンタの件は、これまで気がつかなかったメーカーのミス。10年以上前に、使っていたEPSONのプリンターが停止。理由がなんとブラックインクだけが切れたから。なんで一色が切れたら全部止まるわけ?他の色でも、白黒コピーをすれば、少しは読めるようになるのに。同時に、インクが切れなきゃ万事OKだったはず。だから大きくするか、同色を複数組み込めるようにすれば、いまごろ新製品と称する必要もなかった。
 つまるところユーザーの意見を聞かなかったメーカーのミス。あいかわらず外圧が生じないと理解できない、いかにも日本の会社。(2016/12/05 07:03)

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