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もしあなたが豊田章男だったら…

名門に生まれたからこその「苦悩」

2016年12月6日(火)

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 日経ビジネスの自動車担当になってから、もうすぐ1年になる。トヨタ自動車によるダイハツ工業の子会社化、三菱自動車の燃費不正問題と日産自動車による買収、トヨタとスズキの提携…。2016年の自動車業界は、幸か不幸か、さまざまな「事件」が立て続けに起きた。

 記者がこれらの会見に出席する時、常に注目しているのが経営者の「姿勢」だ。姿勢には、発言の内容はもちろん、発言する時の言葉の選び方や言い方、声のトーン、ふと見せる表情、手振りなどの動作が含まれる。映像を通して見るよりも、その場にいることで得られる情報ははるかに多い。姿勢に着目すると、その経営者の本心が見えるような気がするし、その空気感も含めて読者に伝えられれば、読者にさまざまな感じ方をしてもらえるのではないかと思っている。

章男社長だけは素顔が見えない

 ところが、何度、会見で同じ場を共有しても、「本当のところはどんな人なんだろう。何を考えているのだろう」と、むしろ謎が深まった人物が一人だけいた。トヨタ自動車の豊田章男社長だ。

 10月12日に開かれたトヨタとスズキの業務提携検討を発表する場では、鈴木修会長に発言権を譲ったり、発言中の鈴木会長を敬うように見つめたりする場面が何度も見られ、人の良さを感じることができた。でも、なぜかその人の良さを信じることができない。「本当は何も話すことがないのではないか」「修会長に任せた方が、独特の『修節』で記者の質問をやり過ごせるから、あえてそうしているのではないか」などと、どうしても勘ぐってしまうのだ。

 そんな時、章男社長の素顔を知る絶好のチャンスがやってきた。12月1日、日本科学技術連盟(日科技連)が開催した品質管理シンポジウムで、BSジャパン「日経プラス10」でメインキャスターを務める小谷真生子氏を聞き手に章男社長がトークショー形式の講演をすると聞いたのだ。出席者は日科技連の会員が中心。記者は「メディアばかりが相手の会見とは違って、素顔の章男社長を知ることができるかもしれない」と参加を願い出た。

 その予想は結局、的中することになる。

「自動車の明るいミライへの挑戦」と題されたトークショーの様子。小谷氏はBSジャパンの番組で撮影した映像を断片的に見せながら、章男社長の経営の考え方に迫った(写真:栗原克己)

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「もしあなたが豊田章男だったら…」の著者

池松 由香

池松 由香(いけまつ・ゆか)

日経ビジネス記者

北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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