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アフリカで考えた、虐待の現実と「真の女子力」

性的虐待やHIVとの戦いに今、我々は何を為すべきか

2017年11月27日(月)

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若い女性たちをエンパワメントする仕組みをいかに構築していくか、強く問われている(写真:AP/アフロ)

 世界では、未成年に対する性的虐待や暴力があとを絶たない。

 今年、日本でもベトナム国籍女児に対する殺人事件が報道されたが、殺人に至らなくとも、性的虐待や暴力が被害者に与える傷跡は大きく、レイプは特に「魂の殺人」と呼ばれることもある。

 被害者は、世間体や将来を考えて黙って泣き寝入りすることが多く、特に、未成年は言いたくても他人に伝えることがなかなかできない。加害者が家族や親戚、知人であればなおさら表沙汰にされず、なかなかその実態を掴むのは困難と言われる。

22か国調査から浮かび上がる実態

 性的虐待・暴行に関する日本初の実態調査として1998年に行われた『子どもと家族の心と健康』調査があるが、その結果を知って心が痛んだ。回答を得られた18歳以上39歳以下の女性1282名、男性299名のうち、なんと39%の女性、10%の男性が18歳までに性的虐待・暴行を受けていたという。しかも、13歳未満(小学校卒業以前)までに被害を受けた割合は、女性16%、男性6%もいるのだ。

 世界でも様々な調査が行われてきたが、中でも2009年に22か国での65調査をメタ分析した論文は国際比較としても有意義である。それによると、18歳未満に性的虐待を受けた人の割合は22か国平均で女性20%、男性8%。なんと女性の5人に1人が若くして性的被害を受けていた。男性も12人に1人の割合で被害を受けている。

 中でも18歳未満に性的虐待・暴行を受けた女性の割合が高い国は、オーストラリア(38%)、イスラエル(31%)、スウェーデン(25%)、アメリカ(25%)、スイス(24%)。これらと比較しても、上述の日本の調査結果は高い値を示している(調査方法が異なるので単純比較はできないが)。

 さらに、この22か国の調査を地域別にみると、18歳未満に性的虐待・暴行を受けた男女の平均値はアフリカが最も高い。中でも南アフリカの女性に対する性的虐待は44%。半数近い女性が被害を受けている。

 もちろん、この値が高くとも低くとも、性的虐待・暴行を受けた被害者の心の傷は深く、なかなか癒されることはない。中にはこの心的外傷で、社会での人間関係も築けず、一生を台無しにされた人もいる。

 さらに、この性的虐待・暴行は、心的外傷のみならず、実際に身体を蝕み、死に至らせる病を導くこともある。その病とは、かつて「殺人ウィルス」とも呼ばれたHIVである。

 以前に比べて報道されなくなったので、HIVはもはや脅威ではないと考えている人が多いと思うが、今でも世界には推計3600万人以上の感染者がおり、毎日平均3000人を死に追いやる病である。最近騒がれていたエボラ出血熱の流行による死亡数(3年間で約1万1000人)と比較すると、HIVの威力は明らかである。

 予防できる病気でありながら、新たに毎日5000人が感染している。うち1000人以上が、本来なら夢や希望で溢れる世代、15-24歳の思春期女子と若い女性である。

 アフリカには、この思春期女性の新規HIV感染率が同世代の男性よりも10倍以上高く、また、国全体の新規HIV感染者のうち80%が若い女性という国もある。HIVに感染していながら、自分が感染していることを知らない女子が8割という国もある。

 その結果、HIVは今でもアフリカ女性の多くを死に追いやり、特に15-44歳の女性の死因のトップであり続けているのである。

コメント5件コメント/レビュー

記事に感銘しました。こうした状況は事実を装飾なくそのまま伝えることでかえってインパクトが増すと感じます。
遠いアフリカとはまったく違う環境の日本でも、性的な搾取は行われています。何不自由なく見えても日本の若い女性達(に限りませんが)の自尊感情、自己効力感はとても低いと感じます。
こうした取り組みを日本でも活かせないかと、若者に関わる職に就いている身として自問しています。(2017/12/18 18:13)

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「アフリカで考えた、虐待の現実と「真の女子力」」の著者

國井 修

國井 修(くにい・おさむ)

「グローバルファンド」戦略・投資・効果局長

国際緊急援助NGO副代表として、ソマリア、カンボジアなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、外務省、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所、同ソマリア支援センターなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

記事に感銘しました。こうした状況は事実を装飾なくそのまま伝えることでかえってインパクトが増すと感じます。
遠いアフリカとはまったく違う環境の日本でも、性的な搾取は行われています。何不自由なく見えても日本の若い女性達(に限りませんが)の自尊感情、自己効力感はとても低いと感じます。
こうした取り組みを日本でも活かせないかと、若者に関わる職に就いている身として自問しています。(2017/12/18 18:13)

記事内容には衝撃を受けました。
何故、アフリカでAIDSが蔓延し続けるのかを明確に記載されていて
驚きでした。
日本で、ひろく普及している女子力の飛んでもない勘違いを正さないと
従軍慰安婦の問題も含めて、世界に発信する資格を失います。

教育よりも、実践が本当に大事なんだとの気付きも有りました。
VMMCとAIDSの因果関係がもう少し理解できないでいます。
推測のエビデンスは記事内に十分有りますので、十分かもです。

本当に素晴らしい記事だと思いますが、オブラードに包まないと
ダメな部分も有るのかな。。。
そこまでしないと、ダメな緊急事態を思ってかとも思えます。
様々な取り組みへの支援を通じて、何かしたいと思います。(2017/11/28 09:52)

知人の身内に虐待を受けた人がいることを最近知り、個人的に遠い次元の話が一気に身近な問題になったばかりのタイミングでこの記事を見て、あまりにも恐ろしい現状に戦慄を覚えました。
そのため残念ながら、最後まで記事を読むことができませんでした。
「兵器」としての手段となっているとは考えてもみなかったです。
全く関係などない人間にそのようなことをする理由がわかりません。
シリアルキラーのように「殺人」を犯すことが「戦争という大義」の下に平気で行われる現状に絶望します。
いわゆる「先進国」も「更新国」もない、一様に下劣な社会なのだと思い知らされました。
そして私たちもその社会の一部だという点では何ら変わりはないのでしょう。(2017/11/27 12:49)

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