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拡散するブレグジット・リスク

漂流する英国と分裂するEU

2017年2月1日(水)

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EUからの完全離脱の方針を表明する英国のメイ首相(写真:REX FEATURES/アフロ)

 金融市場の最大の関心事が、先月20日に第45代米国大統領に就任したトランプ氏の外交・経済政策であることは論をまたない。株式市場はダウが2万ドルを突破するなど上昇の勢いを保ってきたが、従来の政権との非連続性が明白で予測が困難な、そしてイスラム国からの入国禁止など非人道的姿勢をも正当化しようとするトランプ流の「政治戦術」に対し、世界中が強い警戒感を抱いているのは明白であり、そうした緊張感が経済に及んで「新地政学リスク」として市場の波乱要因になることは十分想定される。

 同大統領の政策には、同盟システムの軽視と単独行動主義という特徴がみられる、と新アメリカ安全保障センターのラップフーパー氏は指摘している。アジアの経済的価値には無関心で、欧州に対する同盟意識は薄く、中東のパワー・バランス変化にも無頓着である。今年のダボス会議では多くのパネリストがプーチン大統領の名前を連発していたと伝えられるが、それもトランプ大統領に対する懸念の別表現だろう。主要メディアと対立している以上、いわゆる「ハネムーンの100日間」も予断は許さない。

トランプ大統領「弾劾裁判やむなし」の可能性

 トランプ大統領に関しては、弾劾リスクを指摘する声も増えている。現職大統領の罷免と言えば昨年のブラジルのルセフ大統領のケースが記憶に新しいが、米国においても反逆罪、収賄罪、または重大な犯罪や非行行為によって下院の過半数に拠る賛成で訴追され、裁判を行う上院の弾劾手続きでその3分の2の賛成があれば、有罪として大統領は罷免されることになっている。

 過去には1868年にジョンソン大統領が、1999年にクリントン大統領がそれぞれ弾劾裁判を受けたが、双方ともに無罪となって罷免を免れている。1972年のウォーターゲート事件でニクソン大統領も弾劾裁判で罷免が確実視されていたが、自主的に辞任したために罷免とはならなかった。

 最低の支持率で就任したトランプ大統領に仮にロシア関連文書の存在が明るみに出たり、目に余る非行行為が表面化したりすれば、米国民の間にも「弾劾裁判やむなし」とのムードが生まれる可能性は高い。共和党内にさえ、ペンス副大統領の方がリーダーには適役との声もあると言われ、下院・上院での反トランプ意識が弾劾への道を拓く可能性は高い、と1984年から昨年まで過去9回の大統領選挙の結果をすべて当てたアメリカン大学のリヒトマン教授は述べている。

 とはいえ足許の米国経済の腰は強く、入国制限措置を契機とする新大統領への失望感が押し下げているドルや株価の下げ幅も、恐らくは限定的だろうと筆者は考えている。新大統領の主軸の無い場当たり的な政策が市場に跳ね返るリスクに関して機関投資家はまだ未消化の状態にあるのは事実だが、先月書いたように(「2017年のカギを握る米国長期金利と米中関係」)、長期金利の急上昇や米中関係の急速な悪化が見られない限り、市場の安定感は簡単には崩れまい。

 だが「トランプ・リスク」に「欧州政治リスク」が同期して国際秩序が不安定化し、国際経済が混迷に向かう懸念が強まるような事態になれば、機関投資家も長期的シナリオを修正する必要が出て来るかもしれない。

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「拡散するブレグジット・リスク」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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