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巨大な治水施設が地下神殿となったワケ

地下に造られた巨大な水瓶・首都圏外郭放水路(後編)

2018年10月30日(火)

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巨大なコンクリート柱が立ち並び、なにやら荘厳な雰囲気を漂わせる巨大な地下水槽。今回、取材に訪れている治水施設・首都圏外郭放水路の調圧水槽だ。地下神殿のような趣きのおかげで、テレビ番組やミュージックビデオなどのロケ地としても使われる。しかし、首都圏外郭放水路の施設はこれだけではない。その全貌に“防災の鬼”渡辺実氏が迫る。

 前編に続き、国土交通省 首都圏外郭放水路管理支所 管理第一係長の長康行氏にご案内いただく。

 いよいよ施設に潜入だ。まずは河川からの水を取り込むための巨大水瓶「調圧水槽」だ。ここは“地下神殿”の異名を持つ。管理支所の事務所からは地上を歩いて移動。眼前に外郭放水路グランドが広がる。サッカーやゲートボール場として使われる広場の隅に、うっかりすると見過ごしてしまいそうな小さな建物があった。コンクリートで囲われた地下鉄の入り口のような外観だ。

「ここが調圧水槽の入り口です」と長氏はドアに鍵を差し込んだ。

 地下に続く入り口に一歩足を踏み入れると、そこからは別世界だ。ひんやりした空気が体を取り巻く。

 長氏を先頭に、階段を降りる。深く下るにつれ、スチール製の手すりや階段がジンワリ湿ってくる。

「これは結露ですね。湿度が高いのでこうなります」(長氏)

 116段の階段を降りきる。深く下った分、見上げる光景は壮観だ。地下神殿と呼ばれる理由がよく分かる。天井に向かって伸びるコンクリート柱は幅2メートル、奥行き7メートルの楕円形。

地下神殿の異名を持つ調圧水槽。真ん中に小さく“防災の鬼”渡辺実氏

「これが何本あるんですか」(渡辺氏)

「全部で59本です。一本の重さは500トンあります」(長氏)

「なるほど、そのくらいの重さがないと浮いてきちゃうわけだ」(渡辺氏)

 地面の下は思ったより不安定だ。常に地下水が湧いており、地下に埋めたものに圧力がかかる。そのために浮き上がろうとする力が働くのだ。巨大貯水槽も放っておけば浮いてしまう。これを防ぐために500トンのコンクリート柱で抑え込む必要があるのだ。

「揚圧力という力のために地下構造物が浮こうとするわけです。東京駅とか上野駅の地下部分は浮かないように100トンくらいのアンカー杭を何本も地盤に打ち込んでいますね」(渡辺氏)

コメント4件コメント/レビュー

こんな巨大な施設が地下に作られていたのも驚きです。

民間運営見学システムで見学できるのもすごいですね…
トンネルは不可ですが、地下神殿たる調圧水槽を(基本)毎日公開とは。(2018/10/30 11:32)

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「巨大な治水施設が地下神殿となったワケ」の著者

渡辺 実

渡辺 実(わたなべ・みのる)

防災・危機管理ジャーナリスト

株式会社まちづくり計画研究所代表取締役所長、日本災害情報学会理事、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長。国内外の災害現場からジャーナリスティックな提言を行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

こんな巨大な施設が地下に作られていたのも驚きです。

民間運営見学システムで見学できるのもすごいですね…
トンネルは不可ですが、地下神殿たる調圧水槽を(基本)毎日公開とは。(2018/10/30 11:32)

巨大な地下ダム、強力なポンプ、洪水対策の決定打!みたいに書かれていますが、既存の河川の放水量で足りない一部をバイパスすることで災害を防げるわけですよね。ちょっと計算してみると、豪雨時の降水量からすると、ダムにしろポンプにしろごく限られた面積に短時間で降った雨量でも、すぐに満杯になってしまう容量なわけで、降雨量と河川と放水路の流量とのバランスを明らかにすることがこの施設の防災機能を検証・評価するポイントのように見えます。そこに触れられていないので、効果の信ぴょう性が今一つ実感できませんでした。(2018/10/30 10:41)

『いずれ寿命が来ます。』では分からない。設計寿命があるだろうに。百年としても、その後はどうするのか?一旦壊して作り直すのか、それとも補修しながら千年でも保たせることが出来るのか。何年か前に熊本でダムの撤去工事がニュースになっていたが、地下ダムの撤去は地上のダムよりも厄介だろう。土木にしろ建築にしろ、寿命が来た時の対応まで考えた構造にしないと、後年度負担はやたらと大きくなってしまう。(2018/10/30 08:44)

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