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車載電池のグローバル市場揺さぶるCATL旋風

迎え撃つ日系電池各社はどのように闘うか

2018年6月14日(木)

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昨年秋に開催されたフランクフルトモーターショーには、メルケル首相が視察に訪れた(写真=ロイター/アフロ)

 欧州のCO2規制が強化される中(2019年時点ではCO2の排出量が95g/kmと規制され、それが段階的に厳しくなる)、加えてディーゼルの規制強化により、EVシフトが着実に進んでいる。特にドイツのダイムラー、BMW、そしてフォルクスワーゲン(VW)のいわゆるジャーマン3が率先してEVシフトに積極的な投資を進めている。各社はそれぞれ、2025年を目途に、プラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)の合計で生産台数の25%程度を占めることを目標としている。

ドイツ政府のトップ外交

 しかし、ドイツの憂鬱は自国内に電池産業がないことであり、この件に関してはメルケル首相も嘆いていた。ただ嘆いているだけでは何も進まず、首相はトップ外交を精力的に進めているのも事実である。

 そのトップ外交の一つが、ドイツ国内に電池産業を根付かす働きかけである。これに呼応すべく、自動車各社が電池事業を自社内に抱える戦略に打って出た。といっても、電池セルの生産を手掛けるのではなく、セルは電池メーカーから調達し、モジュール(セルの集合ブロック)以降を自社内で開発から組み立て生産までまかなうビジネスモデルだ。

 ダイムラーはACCUMOTIVEを完全子会社化して、モジュール以降の電池パックとバッテリーマネジメントシステム(BMS)を全て自社で内製する方針に移行した。従来は、独ボッシュのようなTier1にパックシステムまで任せてきたジャーマン3であった。ところが、任せれば任せるほど、自社内に技術の蓄積ができない、差別化のための開発ができない、さらにはコスト低減もできないという3重苦を背負っていることに気が付いたからだ。

 もっともホンダでいえば、1990年に発効した米国ゼロミッション自動車(ZEV)規制を受けて、筆者は電池研究室をホンダ内に創設した。研究開発段階では、電池はセルメーカーからの調達としていたが、モジュール以降は付加価値が高いこと、設計自由度を自在に活用できること、そしてBMSも自社で開発することにより電池の最適な使い方を担う制御技術の確立、コスト低減も同時に図ることができるという背景から、そのようなビジネスモデルを展開してきた。1997年にHVで世界初の商品をプリウスで具現化したトヨタも、全く同様な開発プロセスを選択してきた。

 ともかく、技術開発力があればモジュール以降の開発は自社でできるわけだから、差別化やコストダウンの必要性が高ければ高いほど、自前開発のニーズも大きくなる。ジャーマン3の方向転換は、ここ3~4年の間で進んだ。

コメント4件コメント/レビュー

車メーカーが電池メーカーとせっかく立ち上げた合弁会社をどんどん切り捨てているよう
に見えていましたが、今回の記事で、(車メーカーにとって)価値の高いモジュール化以降を抑えて、過当競争になるセル生産は電池メーカーがシェア争いをしやすくして(車メーカーの系列にかかわらず売って戦ってもらい)コスト低下に任せるという業界の流れなのかなと理解しました。全個体電池などの高容量、低価格の次世代電池にならないとEVが普及しないのは明らかなので、電池メーカーも、車メーカーも今はかじ取りが難しいですね。中国メーカーは自国分だけでも吸収できる(政策のゴリ押しがある)ので投資できるようですが、液晶パネルや古くは半導体(DRAM)の例に見るように、レッドオーシャンとなる見込みの分野に金をつぎ込むのは日系メーカーの誰しも避けたいところ。EVの時代はやがて間違いなく来るが、次世代電池の開発ができるまでは普及が足踏みするのも仕方ない時なのでしょうね。EVの時代が来た時にFCVの必要性がどれほどあるか、(FCVがEVを超える価値を提供できるのか)が改めて問われるのでしょう。(2018/06/15 10:59)

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「車載電池のグローバル市場揺さぶるCATL旋風」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

車メーカーが電池メーカーとせっかく立ち上げた合弁会社をどんどん切り捨てているよう
に見えていましたが、今回の記事で、(車メーカーにとって)価値の高いモジュール化以降を抑えて、過当競争になるセル生産は電池メーカーがシェア争いをしやすくして(車メーカーの系列にかかわらず売って戦ってもらい)コスト低下に任せるという業界の流れなのかなと理解しました。全個体電池などの高容量、低価格の次世代電池にならないとEVが普及しないのは明らかなので、電池メーカーも、車メーカーも今はかじ取りが難しいですね。中国メーカーは自国分だけでも吸収できる(政策のゴリ押しがある)ので投資できるようですが、液晶パネルや古くは半導体(DRAM)の例に見るように、レッドオーシャンとなる見込みの分野に金をつぎ込むのは日系メーカーの誰しも避けたいところ。EVの時代はやがて間違いなく来るが、次世代電池の開発ができるまでは普及が足踏みするのも仕方ない時なのでしょうね。EVの時代が来た時にFCVの必要性がどれほどあるか、(FCVがEVを超える価値を提供できるのか)が改めて問われるのでしょう。(2018/06/15 10:59)

EVにシフトしたからと言ってトヨダに勝てると思うのは甘すぎる。

現在、テスラが抱えている問題がそもそも「自動車量産技術」という、まさにトヨタに代表される既存大手プレイヤーの得意領域だからだ。つまり、「電池とモーターさえあれば自動車(EV)なんて簡単に造れる」という思い込みこそが大きな間違いだ。

トヨタがEVを造ることは簡単。だが、新規プレイヤーは違う。まずは「自動車」を造れる様にならないといけない。また、既存プレイヤーにしても、誰が一番効率的に優秀な「自動車」を量産できるかが重要であって、特にEVに先行メリットがある程の技術的難易度はない。トヨタ先行はEVシフトじゃ崩せないよ。

あるとしたら、今までの自動車の延長線上には無い、新しくて高難度な技術だろう。すぐにトヨタが追い付けるようなものではだめだ。(2018/06/14 14:26)

中国は先端産業に関しては、中国内生産とパートナーへの技術移転を条件に進出を許可し、中国側のパートナー企業が力を付けたら合弁相手企業すら競争相手に国際市場に打って出る。世界一の規模を誇る中国市場を得るためには、何でもやる。特に西欧諸国は政府も企業も中国の軍事的な驚異に曝されていないので『ビジネス第一』で積極的に中国に売って出る。日本政府が同様に対応できないのは、一つには中国の『脅威』であり、二つ目には数年後には強力な競争相手になる可能性が高いことにある。日本政府には、常に『独裁中国を今以上に強力な国にして良いのか?』という懸念があるため、ドイツのように思い切ったアプローチが出来ない。逆に、英独仏の様に中国市場を手に入れるためならどんな協力もする国々が10年後20年後に後悔する日が来ないことを祈りたい。(2018/06/14 13:06)

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