• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

燃料電池車を生んだホンダ基礎研究所の実力

ホンダジェットやASIMOは成功か失敗か?

2018年7月12日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 一方、ホンダの3代目プレリュード(1987~1991年)には、量産乗用車では世界初となる機械式四輪操舵システム(4WS)が搭載された。この4WS機構は、後に和光研究センターでの走行制御機構の研究開発を更に加速させたエグゼクティブ・チーフエンジニアの佐野彰一氏とチーフエンジニアの古川修氏(2002年に芝浦工業大学の教授に転身)との開発成果である。全国発明表彰や内閣総理大臣賞を受賞してホンダの技術力の高さを世に問うことになった。

 筆者が感銘を受けたのは、米国自動車技術会(SAE)から4WS機構が表彰されたことであった。当時のSAEは、自動車業界の技術分野では最大の権威を誇示していた学会であったこともあり、ホンダの社内壁新聞に、この受賞が大きく報道された。これをきっかけに、この二人も筆者が尊敬する対象となった。

車載用電池研究の着手も

 筆者は1990年に和光研究センターに異動したが、研究テーマを探索していた同年9月、米国ZEV法規が発効した。ホンダに対しても大きな規制対応が迫られたこの時、和光研究センターで電気自動車(EV)用の電池、モーターなどの重要コンポーネントの研究開発がスタートした。

 誰が電池研究のリーダーを務めるかの議論がなされていた時に、先の佐野彰一氏が「錆と電池」という用語をホンダの中で発信してくれた。結局、以前に錆問題を電気化学的アプローチにより問題解決した筆者の実績が買われ、電池研究開発のリーダーを任されることになった。佐野氏の影響力が大きいことを実感した一幕であった。

 この研究開発は、全く何もなかったところから、人材を集めるなど、すなわちゼロベースからのスタートだった。設備としては、電池開発に必須な充放電電源システムや恒温恒湿槽、いわゆるチャンバーなどに投資した。

 基礎研究所で着手した電池研究の成果は、1993年には同社和光研究所へ全面移管した。そして本格的実用化を目標に、95年1月1日付で栃木研究所へと、組織と機能を全面的に移管した。その後、99年には車載用リチウムイオン電池(LIB)の研究開発も、筆者がプロジェクトとしてスタートさせた。しかし2002年頃になると、研究所の経営陣が「車載用としてのLIBは実用には至らない!」と発し、そこから研究開発の流れが大きく変わった。その発言を幾度となく否定し続けた筆者も限界を感じ、結局、2004年9月に韓国サムスンSDIの役員として転じた話は、本コラムでも記述した通りである。

ASIMOの二足歩行ロボット開発中止

 ASIMO(アシモ)の人型ロボットも和光研究センターの成果である。「人はなぜ二足歩行できるのか?」と問う人間研究からスタートし、これも30年近い研究開発のもとで実用化への可能性を提示している。

 1990年後半、ASIMOの研究室へ出向いた時は、今のASIMOよりは大きな体型で開発が進められており、ゆっくりと動いていたのを思い出す。当時の研究室を束ねていたのが先に登場した古川修室長、そしてプロジェクトリーダーとしての開発責任者は広瀬真人氏(後に研究職としてはトップの主席研究員に)であった。

 2000年に公式に発表したASIMOは、Advanced Step in Innovative Mobility(新時代へ進化した革新的移動性)の略である。開発の動機は手塚治虫の鉄腕アトムがヒントになっている。完成度の高さから世界から評価され話題となった。

オススメ情報

「技術経営――日本の強み・韓国の強み」のバックナンバー

一覧

「燃料電池車を生んだホンダ基礎研究所の実力」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

私たちは、ひどいニュースのあまりのひどさに 麻痺しつつある。

小田嶋 隆 コラムニスト