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選ばれるEVはどれか? テスラは生き残れるか?

2020年に主戦場となるエコカーと材料業界

2016年11月24日(木)

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 11月10日のコラム「トヨタがEVを投入せざるを得ない事情」では、トヨタ自動車が電気自動車(EV)投入を決断した背景にある環境規制の影響とともに、エコカー領域での覇権争いで先頭を行きたいというトヨタの思惑が見えることを記述した。

 9月29日にパリモーターショーの会場では、独ダイムラーが2025年までに10車種のEVを市場に投入することを発表している。EV向けの新ブランドは「EQ」とするとのこと。25年までの新車販売台数のうち、15~25%をEVにすると目標値を掲げた。その布石として、19年までに最初のEQブランド量産EVとしてSUV(多目的スポーツ車)を市場に投入すると言う。価格帯は4万~5万ユーロを目標にしているようだ。

 同じパリモーターショーで、仏ルノーは2012年に発売した小型EV「ZOE」を改良し、1回の満充電で400km走行できるようにしたEVを年内にも発売することを表明している。LG化学製のリチウムイオン電池(LIB)の改良開発版をベースにした、エネルギー量が41kWh(ZOEでは22kWh)のLIBを搭載するとのこと。

 そして先日、世界最大級の自動車販売台数を誇る独フォルクスワーゲン(VW)がEVへの本格的参入の詳細を発表した(日本経済新聞、11月19日付)。世界各国での環境規制が強化されつつある中、1年2カ月前の排ガス不正問題発覚をきっかけに、電動車両(xEV)へ大きくカジを切る決断をした。

 同社の方針によると、2025年の新車販売のうち最大25%をEVにするとのことで、ダイムラーと同様、何ともチャレンジングな目標を明らかにした。そのため、EVと電池システムの生産体制の構築を図り、ドイツ国内で9千人の雇用確保を図ると言う。代わりに既存生産体制を大幅に見直すことから、20年までに全世界で3万人(従業員の5%規模)、ドイツ国内では2万3千人(同8%規模)の大規模なリストラを断行するとのことだ。

 これらの事実を鑑みれば、自動車産業界のパラダイムシフトに向けた大きな転換点を迎えたといえるだろう。生産規模で世界トップを狙うトヨタとVWの2大巨頭がEVへの本格参入を決め、そして世界ブランドのトップを走るダイムラーがスタート位置に着いた。さらにダイムラーのEV開発強化の表明以前に、ブランド力ではダイムラーに負けない独BMWも2013年からEV事業に参入している。このようなEVの流れは、自動車業界内はもちろん、電池業界、そして部材業界に大きな影響を及ぼすことになる。

群雄割拠となるEVワールド

 米カリフォルニア州が定めるゼロエミッション自動車(ZEV)規制では、現在もZEV規制対象メーカーである米ゼネラルモーターズ(GM)、米フォード、欧米フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)、トヨタ、ホンダ、日産自動車の6社に加えて、2018年にはVW、BMW、ダイムラー、現代/起亜自動車、マツダが追加で対象となる。

 そのマツダだが11月初旬、2019年までに北米でEVを発売し、21年以降にはプラグインハイブリッド(PHV)を併せて北米に投入すると発表した。ハイブリッド車(HV)をはじめとするエコカーでは、トヨタとの技術提携のもとで既に「アクセラHV」を市販しているが、EVでもトヨタとの連携を軸に開発を加速することになる。

 一方、富士重工業は当初18年からのZEV対象企業となっていたが、他メーカーに比べて世界販売台数が小規模と言う理由で、15年時点でのロビー活動の結果、対象メーカーから外れた。結果としては、25年時点での対象企業となることで7年の猶予ができたことになる。しかし、その富士重工も、21年にはEVを市場に投入することをターゲットとして既に準備を始めている。

コメント9件コメント/レビュー

消費者目線で考えた場合、EV購入に二の足を踏ませるのは、やはり“電池への信頼不足”だろう。
タブレットでもノートPCでも、最大の問題は“電池の劣化”である。
充電頻度が増える一方で、連続使用時間が短くなっていくのは苦痛でしかない。
まあ、スマホやタブレットなら買い換えるのもそう大変ではないが、自動車となると。
その意味からは、トヨタの水素自動車(燃料電池車)のほうが魅力的だ。
今は高価格でスタンドが絶対的に少ないため普及速度は遅いが、次世代機関ということでは二次電池車ではなく燃料電池車に可能性があると思う。(2016/12/24 15:56)

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「選ばれるEVはどれか? テスラは生き残れるか?」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

消費者目線で考えた場合、EV購入に二の足を踏ませるのは、やはり“電池への信頼不足”だろう。
タブレットでもノートPCでも、最大の問題は“電池の劣化”である。
充電頻度が増える一方で、連続使用時間が短くなっていくのは苦痛でしかない。
まあ、スマホやタブレットなら買い換えるのもそう大変ではないが、自動車となると。
その意味からは、トヨタの水素自動車(燃料電池車)のほうが魅力的だ。
今は高価格でスタンドが絶対的に少ないため普及速度は遅いが、次世代機関ということでは二次電池車ではなく燃料電池車に可能性があると思う。(2016/12/24 15:56)

私は電気自動車の先行きには悲観的です。理由は電池の価格が下がらないと考えているからです。全ての工業製品が量産効果で価格が劇的に下がるわけではないはずです。おそらく、リチュウム電池は資源量の関係で劇的に価格が下がることはないでしょう。現にここ何年かは金属リチュウムの価格は上昇していると聞いています。
△燃料電池車も同様です。白金を大量に使用している燃料電池の価格が下がるはずがありません。白金の使用量を劇的に減らすか、使用しないものが出てくれば別ですが、現在そのような基礎技術が開発されたという報道は目にしていません。基礎技術の開発もなく、10年程度で実用的なものがでてくるはずはないので、当分燃料電池は安くならないしょう。
△結局、プラグインハイブリッド(PHV)しか選択枝はないと思っています。まあ、空気中のCO2と水素からメタンを作ってそのれを燃料にする天然ガス車がゼロエミッション自動車と認められれば別でしょうがね。日産が最近出したノートのようなシリアルハイブリッドが有望だと私は考えています。三菱のアウトランダーもシリアルハイブリッドだったと思います。ホンダのアコードもそれに近いものだったと思います。シリアルハイブリッドのよい点は、大雑把に言えば電気自動車の電池を減らして発電用エンジンを積んだものだからです。日産や三菱がPHVをシリアルハイブリッドで出してきたのは電気自動車の技術蓄積があるからだと思います。
△トヨタが最初にシリアルハイブリッドにしなかった理由は分りません。想像では、モータだけで走る車というものを車と認められなかったのかなと思います。シリアルハイブリッドの方が構造も簡単だし、エンジンを発電にしか使わないので、エンジンの効率も上げやすいはずです。それに将来的には電池が劇的に安くなれば、エンジンを外せばそのままEVになりますしね。(2016/11/24 21:45)

EV車がスタンダードになるかどうかは二次電池(蓄電池)の性能しだい。
現在の二次電池にはいくつかの技術的限界があり、よく知られている通り「充電時間の壁」「劣化の壁」「容量の壁」「安全性の壁」「レア資源の壁」「コストの壁」だ。
コストの壁は量産化により打ち破れるが、量産化はレア資源の壁をさらに高くしてしまうため、やはり技術のブレイクスルーが不可欠だ。

もう数十年にわたって世界中の研究者が二次電池のブレイクスルーに挑んできた。その結果が現状の不満足だ。「青色LEDの奇跡」は起きない見るのが現実的だろう。
十数年も前から「○方式が有望だ」という記事は散見されるが、続報はない。現状を総括してもらえないだろうか。
トヨタやホンダが「水素発電が最終着地点」と見てEVに二の足を踏んでいたのも、この二次電池の限界を悲観しているからだろう。

一方で、ドイツをはじめ欧州メーカーが○年までに○%をEVに、などとぶち上げるのは、二次電池の技術的な壁を打ち破る目途がついたからなのだろうか。
この「ドイツの強気の正体」についての丁寧な解説記事や論説を見たことがない。
調査報道をお願いしたい。

加州のZEV規制については、法規制による環境保護の試みとして評価できる。ただし試みには、だ。類似の規制を各州、各国が採用するような動きがあるというが、どんな状況なのだろう。
この規制方式が公平なのか、環境保護に有効なのか、丁寧に検証した記事を期待したい。
また、欧米企業のロビー活動の詳細についても調査をお願いしたい。(2016/11/24 15:42)

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