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サウジが目指す原油価格は80ドル以上

値上がりする要因はダブル

2018年5月29日(火)

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サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相(左から4番目)(写真=ロイター/アフロ)

 資源エネルギー庁が5月23日に発表した21日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は1リットル=149円10銭で、前の週から2円値上がりした。5週連続の上昇で、14年12月下旬以来の高値である。主因は、ドル建てで取引されている原油の国際市況が強含んでいるため。しかも、ドル/円相場がこのところ円安ドル高方向に揺り戻しており、ガソリンなどエネルギー関連品目の円建て価格を押し上げる方向に働いている。

 では、国際市場で原油価格はこの先どの程度まで上昇するのだろうか。需給バランスと地政学的リスクの両面から考えてみたい。

 原油価格のアップサイドリスクが高まったことを筆者が強く認識したのは4月中旬だった。衝撃的だったのは、ロイター通信が4月18日に報じた内容である。ドバイ・ロンドン発のこの記事によると、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアは、原油価格をその当時の水準だった1バレル=73ドル台(代表的油種の1つである北海ブレントの場合)から、80~100ドル台に押し上げたい意向なのだという。

サウジアラムコの上場にらみ?

 OPEC(石油輸出国機構)・ロシアなどによる原油の協調減産が継続する中で、「先進国の原油在庫の水準を5年間の平均まで抑える」という当初設定した目標がほぼ達成されたものの、これらの国々が減産を縮小する兆しはない。「ここ1年間、サウジアラビアはOPECの中でも率先して原油高を追求するようになった」「それまではイランの方が原油高を主張していたが、今はサウジアラビアがイランよりも高い価格を目指している」「サウジアラビアはさらなる値上がりを目指すもようだ。関係筋は、最近の非公開会議で当局者らが1バレル=80ドル、場合によっては100ドルが望ましいとしていたと明らかにした」と、この記事には書かれていた。

 サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は2月24日の時点では、19年には原油の生産制限を緩和する余地ありと示唆していた。4月11日には、原油市場の供給過剰が生じれば傍観せずに対応するものの、「合理的でない水準」に価格が上昇することも望まないと述べていた。

 そうした発言の流れがあったため、上記のロイター「80~100ドル」報道は、筆者には唐突だった。記事に話を戻すと、サウジアラビアが原油市場でのスタンスを変えた動機・狙いは、①虎の子である国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を控えて同社のバリュエーションを上げる、②ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が唱える経済改革計画「ビジョン2030」などに必要な資金を調達する、以上2つのようである。

 すでに述べたように、OPECやロシアなどの協調減産の姿勢が緩む兆しは、まだない。サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は4月20日には、世界の原油在庫水準はかなり減ったものの、まだ十分ではないとの認識を示し、「忍耐強くならなくてはいけない。早まったことはしたくない。自己満足したくない」などと述べた。

コメント3件コメント/レビュー

日本の大手マスコミは石油価格にあまり関心が無く、地方では車で通勤する者が多く、その一人である者にとっては、非常に不満です。

本コラムでは戦争リスクは何故か触れていません。
その辺りが低評価の理由でしょうが、今現状では、戦争リスクは先物取引き上での話であり、産油国の思惑(当然、自国の紛争への備へはあるにしろ)には、産油国域外の情勢はあまり考慮しないのかなぁと素人ながら思います。

そう言った意味で、個人的には現状のガソリン価格の高騰の理由の一端が分かり、戦争リスクによる高値は産油国も当面容認することが予想され、本当に有意義です。

1つの雑誌(?)で多角的な情報提供は、やはり情報媒体を手に取る側としては大変助かります。
他の戦争に絡んだ分析も是非とも掲載して欲しいです。
日経でもこのオンラインは、日本の大手マスコミでは見られない論調の方の執筆もあり、ありがたく思っております。今後も期待しています。(2018/06/01 07:21)

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「サウジが目指す原油価格は80ドル以上」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本の大手マスコミは石油価格にあまり関心が無く、地方では車で通勤する者が多く、その一人である者にとっては、非常に不満です。

本コラムでは戦争リスクは何故か触れていません。
その辺りが低評価の理由でしょうが、今現状では、戦争リスクは先物取引き上での話であり、産油国の思惑(当然、自国の紛争への備へはあるにしろ)には、産油国域外の情勢はあまり考慮しないのかなぁと素人ながら思います。

そう言った意味で、個人的には現状のガソリン価格の高騰の理由の一端が分かり、戦争リスクによる高値は産油国も当面容認することが予想され、本当に有意義です。

1つの雑誌(?)で多角的な情報提供は、やはり情報媒体を手に取る側としては大変助かります。
他の戦争に絡んだ分析も是非とも掲載して欲しいです。
日経でもこのオンラインは、日本の大手マスコミでは見られない論調の方の執筆もあり、ありがたく思っております。今後も期待しています。(2018/06/01 07:21)

「エネルギー安全保障」を考えるとき「時間軸をどう取るか」が一つの大きな課題になる。これは「安全」をどのレベルで「保障」したいのかに依存する。「千代に八千代に」が理想だが,人智を超える。このレベルではもちろん「誰の」というのも問題になる。一応,「日本国憲法」が存続し,この理念を基盤とする「国家」が存続する時間スケールというのが最大視野だろうか。(最近の情勢はこの視野が来世紀まで広がるかどうかを不安にさせるが…)この視野では「石油の枯渇」は物理的意味ではなく経済的問題だ。だとすれば,この記事で議論される「1バレル80ドル」というサウジの戦略目標は極めて恣意的で示唆に富んでいる。この点を分析している本記事は外交・安全保障上からも興味深いのだろうと思う。私が思うポイントの1つは「1バレル80ドル」から算出される「収益」をサウジが国家として「必要」としているということだ。言い方を変えれば「サウジが石油に(死活的に)依存する国になった」ということだ。これはサウジにとって「石油」が相手に対すると同時に自分にないしても「切り札」になったということだろう。これは国際社会からも世界の民主主義を安定的に発展させようとする立場からは歓迎すべきことではないだろうか。
 結局,石油の値段は「石油」を「双方向のカード(切り札)」として機能するように外交交渉が戦われるステージに入ったということだ。すると日本も,「市場(需要)」というカードを使えることを意味する。この「需要」というカードを有効に活用する戦略の内国的側面で「節約」と「代替」の推進がある。「代替」は進めすぎれば「需要」というカードを弱体化させる。一方で,これを国外へ使うことを考えると「代替エネルギー(技術・開発)支援」で海外の「需要」を抑制すれば内国のそれは戦略的価値を高める。・・・
 もしかするとこの記事は日本に外交的な新たな発想をそろそろ用意しておくように促しているのかもしれない。(2018/05/31 11:14)

エネルギーが問題になる時は何時も投稿しているが、日本と日本人の殆どには『エネルギー安全保障』が考慮されていない。かつての金余り状態なら供給不足になっても『金を出せば買える』と高を括っていた。今でこそアメリカはシェールガス開発で輸出国に転じたが、それまでは中東で何かと紛争に乗じては有利な立場を得ようと画策していた。米軍によるイラク侵攻はクエート救済とか大量破壊兵器の存在などにこじつけて行われたが、イラクがなんの資源もない地域であれば手出しはしなかったろう。中国の南太平洋からインド洋進出もエネルギー安全保障との関連が一番の動機になっているはずだ。それ程エネルギー源の確保は国の存立にとって重要な課題なのだ。日本の取るべき道は、と言えば、軍事力を強化することではない。戦後70年経ったとは言え、日独伊の三国は平均以上の軍事力を持つことは避けざるを得ない。となれば、『自前のエネルギー源の確保』だが、中東で『採掘権』を高い金を出して買ったところで、次の契約更新でどうなるか分からない。そんな他人依存よりは、国内にある世界有数のエネルギー源である地熱を最大限有効に使うしか無い。上記溜まりの高温蒸気を利用する現行技術の地熱発電でも原発10基分の発電は可能だし、高温岩体発電に代表される次世代地熱発電まで利用すれば、全ての電力需要を賄って余りある発電が可能だ。そうなれば自動車の多くもEV化してガソリンや軽油の消費も大幅に減らせる。何れ、全ての車両の電動化も夢ではないし、その事でEVのリーダーにもなり得る。エネルギー安全保障の前では、国立公園の景観や温泉枯渇などは『取るに足りない』ほどの問題でしか無い。温泉枯渇に関しては、本当にそうなったら発電で利用を終えた温水の一部を回したら済むことだし、景観の問題も、発電所の半地下化やデザインの工夫で悪影響を出来るだけ抑えれば良い。資源の少ない日本は産油国や大国のエゴに巻き込まれないようにする事こそ重要なのだ。かつては、『天然資源はなくとも誰よりも働く人的資源が豊富』なんて鷹揚に構えた時期もあったが、現在は『人材貧国』に落ち込んでしまった。せめてエネルギー安全保障くらいは解決したいものだ。(2018/05/29 10:14)

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市川 典男 象印マホービン社長