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政府が「クレジットカード手数料下げ」要請へ

さらに強まる市場経済への「政府介入」

2018年11月6日(火)

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日本の経済政策が政府による介入色をさまざまな部分で強めており、いわば「社会主義化」している。(写真:PIXTA)

 世耕弘成経済産業相は10月19日の閣議後記者会見で次のように述べて、クレジットカード会社に対して手数料の引き下げを要請する意向を表明した(共同通信の詳報から引用)。

 「日本がですね、このキャッシュレス対応の世界のトレンドに少し遅れているというのが事実でありますので、これを政策的にしっかり後押ししていかなければいけないというのが、これは消費増税に関係なくですね、進めていかなければいけない政策であります」

 「また一方でですね、これから具体的な対策の検討は行ってまいりますけれども、消費税にあわせてですね、キャッシュレスでポイント還元とか、あるいは値引きということが今、検討されているわけでありますけれども、ともかく導入しやすい環境を整えなければいけないというふうに思っています。日本で、いわゆるクレジットカードの導入などが進んでこなかった背景にはですね、やはり手数料負担が重いということもあったわけでありますので、今度、具体的にはこれから決めますけれども、いろんな選択肢を準備をしていく、キャッシュレス対応をしやすい環境を整えていく、中小の商店でもそういった対応ができる環境を整えていくという議論の中でですね、手数料を引き下げるなどの措置も検討しなければいけない。その際には、関係事業者にもですね、協力をお願いしなければならないというふうに思っています」

 世耕経産相は、①日本はキャッシュレス対応という世界のトレンドに少し遅れているから政策的に普及を促進する必要がある、②消費増税対策の一環としてキャッシュレス決済ならポイント還元・値引きをするための環境整備でクレジットカードを使える中小小売店を増やしたい、以上2つの政策的な狙いを踏まえて、クレジットカード会社に(小売店から受け取る)手数料の引き下げをお願いする、という論理構成をとった。

キャッシュレス対応に釈然としない理由

 だが、そうした考え方に、筆者は釈然としないものがある。

 まず①についてだが、世界的に伸びているキャッシュレス決済の手段は、スマートフォンを用いたものである(例えば中国におけるQRコード決済の普及)。

 雨宮正佳日銀副総裁は10月20日の講演で、「現在、急速に進む技術革新を背景に、各種のキャッシュレス決済手段、とりわけ、スマートフォンなどのモバイル端末を利用するモバイルペイメントが、世界的に拡大しています」と述べた。

 さらに、②について言えば、手数料の引き下げがテコになり、仮に中小小売店の側でクレジットカード決済用の端末を置く動きが広がったとしても、それによって消費者がそれらの店舗でクレジットカード決済を選択するケースが劇的に増加するとは考え難い。

 なぜなら、キャッシュレス決済になじみが薄い高齢層による決済手段選択が、そうした環境整備だけで、すぐにクレジットカードに大きくシフトするとは考え難いからである。そのことは、後ろの行列が長くなっていても気にせずに、スーパーのレジでお財布から小銭を一生懸命取り出して支払おうとしている高齢女性の姿を見れば、すぐに理解できるのではないか。

コメント41件コメント/レビュー

キャッシュレスについて、レシートが電子化されて保存でもされない限り、内税として消費税額は、顧客にはわかりにくくなる可能性が高い。そこに軽減税率が導入されたとすると、顧客から10%の消費税を取っておいて、軽減税率で申告すれば、小売店側が差額をポケットに入れる手口が考えられる。
現在でも輸出免税を悪用して消費税の不正還付をしたり、税制の盲点を突いて消費税を脱法的に還付する人間もいるので、税制や仕組みを複雑にすれば、必ずと言っていいぐらい脱税の手口が考案されるのが常である。
いつも後追いで、対応を迫られる間抜けな税制では、正直者が損をする社会にしかならないと思う。(2018/11/09 12:48)

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「政府が「クレジットカード手数料下げ」要請へ」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

キャッシュレスについて、レシートが電子化されて保存でもされない限り、内税として消費税額は、顧客にはわかりにくくなる可能性が高い。そこに軽減税率が導入されたとすると、顧客から10%の消費税を取っておいて、軽減税率で申告すれば、小売店側が差額をポケットに入れる手口が考えられる。
現在でも輸出免税を悪用して消費税の不正還付をしたり、税制の盲点を突いて消費税を脱法的に還付する人間もいるので、税制や仕組みを複雑にすれば、必ずと言っていいぐらい脱税の手口が考案されるのが常である。
いつも後追いで、対応を迫られる間抜けな税制では、正直者が損をする社会にしかならないと思う。(2018/11/09 12:48)

支払いサイトを投稿したものですが、クレカ使用者のほうは末締めの翌月15日引き落としとかの場合が多いと思います。つまりクレカ会社にとっても支払いサイトは最大で45日ぐらいはあるわけで、ここを短くしない限りは加盟店への支払いサイトも縮まりようもありませんね。
オランダやフランスの事情を書かれてあったように、日本には既にJデビッドというデビッドカードのシステムがあります。加盟店もわずか0.2%の手数料です。オランダやフランス同様、支払いサイトを考えたらこちらを本命にすべきだと思うのですが、障壁は何でしょうか?
クレカのほうが利用者としてはポイントも溜まり支払いは後ろに回せるから普及しやすいということでしょうけど、ポイントの原資やその間の利息、与信管理に手数料が使われている事を考えると、現金の流通コストよりも有利とは言えないのでは。
むしろ、販売店だけが手数料を課される今のクレジットカードの契約条項に手を入れた方が、デビッドカードによる決済も普及させやすいですし、受益者負担の原則に添います。外国にはサーチャージを取って良い国もあるのですし。

>クレジットカードでの納付で別立てで手数料を取られるのはおかしい

仮に取られなくなったとしてその手数料はどこから出るの?というと税金になりますよね。
それはどうかと思いますが。
やはり受益者負担が原則じゃないですか?
納付率を上げるために手数料を負担している自治体もありますが。
あと、某コンビニであれば国保はクレカでチャージした電子マネーで払えますよ。手数料無料で。5万円ずつの決済になるのでレジの人が慣れてないと少々面倒、ポイントはあまり期待できませんけどね。
あと国民年金は既に2年まとめてクレカで払えます。この方が安くなるのでおススメです。(2018/11/08 16:52)

フランス在住です。オランダの方も書いてますが、フランスでも日常の決済は「カルト・ブルー」というクレジットカード機能もついた「デビットカード」です。スーパーや小売店で1ユーロ程度の買い物からこのデビットカードを使い、同時引き落とし。クレジットカード会社ではなく銀行が直接カードを発行しているせいか、店舗の手数料負担は0.3%程度に抑えられていると思います。ということで小売店ではほとんどがキャッシュレス決済可能、少額ならばカードをタッチするだけで決済というレジも増えています。ただし、カードを利用している我々が銀行に毎月数ユーロの手数料を払っていますが・・・。他の国の事情はわかりませんが、キャッシュレスが進んでいる国にはそれなりの「仕組み」の違いがあると思うので、単純に手数料の話だけしてもダメかと思います。また記事の中で政府誘導の問題点を指摘されてますが、たいていの国では政府が誘導していると思います。(2018/11/08 09:25)

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