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「アベノミクス」唯一の景気刺激カードとは?

麻生発言と日銀指値オペを読み解く

2016年11月29日(火)

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トランプ効果でドル高円安に

 米大統領選でトランプ候補が勝利した後のユーフォリア(高揚感)的な「トランプラリー」の中で、株高・債券安とともにドル高が大幅に進み11月28日午後3時時点では、対円で約112円となっている。

 そうしたあわただしい動きの中で、市場ではまったく注目されなかったものの筆者が気になったのが、11月11日の閣議後記者会見での為替相場に関する麻生太郎財務相発言である。マスコミ各社が報じていたわけだが、ここでは時事通信の記事を引用したい。

米国大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した後、為替相場はドル高円安に進んだが、麻生太郎財務相は「乱高下が少なく、安定しているという状態が一番だ。緊張感を持ってみていかないといけない」と話した。(写真:ロイター/アフロ)

麻生財務相、為替乱高下をけん制=「5円も動くのは異常」

 麻生太郎副総理兼財務・金融相は11日の閣議後記者会見で、米大統領選でのトランプ氏勝利に伴う円相場の乱高下について、「1~2日で5円も動くのは異常だ。乱高下が少なく、安定しているという状態が一番だ」と述べ、荒い値動きをけん制した。また、「米国がドル高を嫌っていたのは11月8日までは感じていた」とも明かし、次期政権の動向を見極める姿勢を強調した(後略)。

時事通信 2016年11月11日付

 米大統領選挙投票日(11月8日)までは、米国(オバマ政権)が「ドル高を嫌っていた」という話は、ルー米財務長官の度重なる発言や米財務省が議会に提出した為替政策報告における日本についての記述内容から筆者を含む市場の側が推測していた。たとえそれがスムージングオペ(市場の一時的な変動を均(なら)して落ち着かせるための介入)であっても日本の当局による円売りドル買い介入を米財務省は容認しないという、かたくなな姿勢と重なり合う。

 オバマ大統領には、年明けの新議会開会前にレガシーとしてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の議会承認を取り付けたいという強い思いがあり、議員たちを悪い方向で刺激する恐れが大きい日本の円売り介入はやめてほしいということだったのだろう。

コメント4件コメント/レビュー

「1~2日で5円も動くのは異常だ。乱高下が少なく、安定しているという状態が一番だ」と述べるなら荒い値動きを制限する国際的な仕組み作りに努力すべきだが、発言はするが責任を持って世界をリードする動きを見た事がない。為替相場は単純な需給による変動ではなく、それを加速させる「為替で儲ける」人達によって恣意的に変動させられている。そう行った動きを制限する事自体間違ってはいない。「自由な市場活動」の枠を超えているのだから。日銀による「超」が付く金融緩和を横から応援している。この「円安誘導」が実は日本経済の生産性向上を大きく阻害している。円高で競争力が下がると「無届け残業」でタダ働きをする事で見掛け上の生産性を上げている。これは自分の体験からよく理解できている。自分は二流大学卒だが、何故か一流企業に入社したため、同年代の人達の「高い能力」に追い付くために平社員の時からサービス残業が多かった。そういう生活を十年もしていたら自分より「良い大学」卒業の人達と横並びになれたと自覚出来た。殆どの人は何らかの努力を続ければ生産性は上がるし、同時に仕事に対する能力そのものが上がる。この能力向上を組織立って実施している企業がどれ程あるのだろうか。生産現場では単能工を多能工に育てる事で、需要ミックスの変動にも効率よく対応する事で能力、効率を上げることに成功したが、間接部門や営業部門では旧来の方法から飛躍することなく生産性が停滞している。「円安誘導」は生産性向上のための努力を不要にしてしまう。詰り、アベノミクスの唯一の景気刺激カードは日本経済の底上げには貢献せず、停滞に力を貸すことにしかならない。卑近な例で生産性向上の方法を内外で比較すると、参考になると思うが、その一つに「ごみ収集」がある。欧米では大きな容器に入れて収集車の後ろに引っ掛けて機械でひっくり返してゴミを取り込んでいるが、日本では人力で投げ入れている。ガソリンなどの燃料を運ぶタンクローリーは一両でも日本より大型なのに2両連結のトレーラーで運ぶ事が一般的だ。要は、大型化と自動化で効率を上げる方法が広く普及している。私は国家主義者とは反対の「個人主義」を信条としている者だが、社会インフラの効率向上は個人の権利よりも優先すべきと考えている。(2016/12/01 09:59)

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「「アベノミクス」唯一の景気刺激カードとは?」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「1~2日で5円も動くのは異常だ。乱高下が少なく、安定しているという状態が一番だ」と述べるなら荒い値動きを制限する国際的な仕組み作りに努力すべきだが、発言はするが責任を持って世界をリードする動きを見た事がない。為替相場は単純な需給による変動ではなく、それを加速させる「為替で儲ける」人達によって恣意的に変動させられている。そう行った動きを制限する事自体間違ってはいない。「自由な市場活動」の枠を超えているのだから。日銀による「超」が付く金融緩和を横から応援している。この「円安誘導」が実は日本経済の生産性向上を大きく阻害している。円高で競争力が下がると「無届け残業」でタダ働きをする事で見掛け上の生産性を上げている。これは自分の体験からよく理解できている。自分は二流大学卒だが、何故か一流企業に入社したため、同年代の人達の「高い能力」に追い付くために平社員の時からサービス残業が多かった。そういう生活を十年もしていたら自分より「良い大学」卒業の人達と横並びになれたと自覚出来た。殆どの人は何らかの努力を続ければ生産性は上がるし、同時に仕事に対する能力そのものが上がる。この能力向上を組織立って実施している企業がどれ程あるのだろうか。生産現場では単能工を多能工に育てる事で、需要ミックスの変動にも効率よく対応する事で能力、効率を上げることに成功したが、間接部門や営業部門では旧来の方法から飛躍することなく生産性が停滞している。「円安誘導」は生産性向上のための努力を不要にしてしまう。詰り、アベノミクスの唯一の景気刺激カードは日本経済の底上げには貢献せず、停滞に力を貸すことにしかならない。卑近な例で生産性向上の方法を内外で比較すると、参考になると思うが、その一つに「ごみ収集」がある。欧米では大きな容器に入れて収集車の後ろに引っ掛けて機械でひっくり返してゴミを取り込んでいるが、日本では人力で投げ入れている。ガソリンなどの燃料を運ぶタンクローリーは一両でも日本より大型なのに2両連結のトレーラーで運ぶ事が一般的だ。要は、大型化と自動化で効率を上げる方法が広く普及している。私は国家主義者とは反対の「個人主義」を信条としている者だが、社会インフラの効率向上は個人の権利よりも優先すべきと考えている。(2016/12/01 09:59)

円安と株高・経済成長に相関関係が有るのは分かりますが、どっちが因でどっちが果かをはっきりさせたデータは見たことが有りません。
また、仮に円安が経済成長をドライブして2012年度名目GDPを470兆円程度から現在500兆円程度に押し上げたとしても、500兆円以上の領域でどこまで押し上げられるかも疑問です。
個人的には、日本経済は470兆円~510兆円程度の間を世界経済の動向によって行き来するボックス型と見ています。
トランプが保護主義に移行するのか、移行したとして経済がどうなるのかは今後のデータ待ちですね。
アベノミクスで金融政策主体でのデフレ脱却が不可能な事を実証してくれたように、トランプもなにがしかのデータを提供してくれるでしょう。(2016/11/29 15:20)

アベノミクスに景気刺激策がないというけれど、建設3法改正で建設業界に従事する人たちの収入も増えたし建設業界も潤っている。建設業界が潤ったがために、デフレだった民間建築の赤字受注もなくなり利益がでるようになったじゃないですか。言っていることは理路整然としているけど、自分が見ている範囲内での説明力が高いだけに思える。更に言うなら、世の中を隈なく観る眼がないと思う。(2016/11/29 07:40)

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小田嶋 隆 コラムニスト