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対北朝鮮で「内部分裂」に陥ったトランプ政権

専門家らがなぜ米朝核戦争のフィクションを読むのか

2018年9月24日(月)

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この握手はいったい何だったのか?(写真:ロイター/アフロ)

ピョンヤンで9月18~19日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が南北朝鮮首脳会談を行いました。

高濱:北朝鮮の「非核化」に向けた大きな前進はありませんでした。「非核化」は当分足踏み状態が続きそうです。

 金委員長は文大統領だけでなく、中国とロシアの首脳を味方につけて、自信を持ち始めているのでしょうね。高飛車な態度を取っています。

 それにドナルド・トランプ大統領は、11月に実施される米中間選挙という閂(かんぬき)を掛けられていて、身動きできずにいます。米メディアも米議会も超党派で、「非核化」を棚上げにして「朝鮮戦争終結宣言」を出すことに反対です。トランプ大統領としては、北朝鮮の提案(寧辺の核施設、東倉里のミサイル発射台などの廃棄)を受け入れて「終戦宣言」を締結するわけにはいかない状況にあります。

 ちょっとショッキングな話をします。

 今、トランプ政権の対北朝鮮外交は「内部分裂」に陥っているのです。北朝鮮にどう対峙したらいいかをめぐって、トランプ大統領(個人)と政府高官との間に完全な食い違いが生じており、両者が対立している。同大統領に賛同しているのは忠臣であるマイク・ポンペオ国務長官ぐらいなもんじゃないですか(笑)

 トランプ大統領と政府高官との意見の食い違いは、同大統領が政府部内の北朝鮮政策担当者の助言を無視して史上初の米朝首脳会談に踏み切った時からこれまでずっと続いています。ですから同大統領は、「非核化」が膠着状態に入っても担当者たちを怒鳴りつけるわけにはいかない。また「米朝首脳会談は失敗だった」とは口が裂けても言えないのです。自業自得とはまさにこのことです。

北朝鮮よりも不協和音と不祥事

 米朝核交渉を取材してきた米主要紙のある外交記者はトランプ大統領の深層心理を筆者にこう解説しました。

 「トランプ大統領は、文在寅大統領がまるで金正恩委員長の『代弁者』のように振舞っていること、習近平(シー・ジンピン)国家主席やウラジーミル・プーチン ロシア大統領が陰で金委員長をけしかけていることを苦々しく思っている。腸の煮えくり返る思いだろう」

 「それに米国民にとって、米朝首脳会談も非核化入口論ももはや過去の出来事。非核化で突破口が開けない限り、この話はトランプ大統領にとって最大の関心事ではない」

 「『内憂外患』の状態にあるトランプ大統領にとっては、むしろ『内憂』のほうが大変だ。ロシアゲート疑惑をめぐる捜査が核心に迫る一方で、政権内の不協和音*1や自分自身の下半身の話*2まで露呈している。追い打ちをかけるように、大統領自身が指名した最高裁判事候補の性暴力疑惑*3がメディアの最大関心事として浮上している。眠れない日が続いているんじゃないか」

*1:ボブ・ウッドワード記者が、その著書『Fear』で、政府高官たちが大統領に対して抱くネガティブな評価や不満を暴露した
*2:不倫関係にあったポルノ女優が出版した暴露本にはトランプ氏とのセックスの様子が微に入り細に入り描かれている。
*3:トランプ大統領が最高裁判事に指名した保守派ブレット・カバノー氏が高校生だった時に暴行未遂を起こした容疑が浮上。上院司法委での指名承認が暗礁に乗り上げている

コメント11件コメント/レビュー

トランプ氏は自身の唯一と言って良い外交成果である米朝会談を否定できない。
となると意外に、トランプ政権がレームダック化した後の方が米は北に対して強硬に転じうるのか?

それにしても、米の専門化からそのような核戦争のシナリオが出てきているというのが恐ろしいですね。

そのシナリオで、北京・モスクワがどうなったのかが知りたいところです。

米朝で核戦争が起こっても、北京・モスクワは無事なのだとしたら、中国あたりは自分で核戦争の引き金を引くかもしれない。
北も潜水艦発射のIRBMを開発していると言うし、中国が北の潜水艦のフリをして、あるいはこっそり北領内にミサイルを持ち込んで先制核攻撃するかも。
そうやって駆虎呑狼、二虎競食、漁夫の利を狙うのは中華民族の伝統。

少なくとも、そういったことが可能かも、と誘惑を感じうる国の指導部が、ほぼ個人崇拝に近い独裁政権になりつつある、というのはなんとも不気味です。
単なる個人である国家指導者が、そういった誘惑に打ち勝つ事を前提にしか成り立たない世界は狂気です。(2018/09/25 11:22)

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「対北朝鮮で「内部分裂」に陥ったトランプ政権」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

トランプ氏は自身の唯一と言って良い外交成果である米朝会談を否定できない。
となると意外に、トランプ政権がレームダック化した後の方が米は北に対して強硬に転じうるのか?

それにしても、米の専門化からそのような核戦争のシナリオが出てきているというのが恐ろしいですね。

そのシナリオで、北京・モスクワがどうなったのかが知りたいところです。

米朝で核戦争が起こっても、北京・モスクワは無事なのだとしたら、中国あたりは自分で核戦争の引き金を引くかもしれない。
北も潜水艦発射のIRBMを開発していると言うし、中国が北の潜水艦のフリをして、あるいはこっそり北領内にミサイルを持ち込んで先制核攻撃するかも。
そうやって駆虎呑狼、二虎競食、漁夫の利を狙うのは中華民族の伝統。

少なくとも、そういったことが可能かも、と誘惑を感じうる国の指導部が、ほぼ個人崇拝に近い独裁政権になりつつある、というのはなんとも不気味です。
単なる個人である国家指導者が、そういった誘惑に打ち勝つ事を前提にしか成り立たない世界は狂気です。(2018/09/25 11:22)

相変わらず,トランプも安倍も気に入らん感満載の書きっぷりですね.まるで金正恩を応援してるかのよう.(2018/09/25 10:17)

トランプ大統領の思考は、多分「今までやってきたことは何も成果を出してない、ならば自分が成果を出そう」だろう。失敗ばかりしてきた者たちの言葉に、あのような人物が耳を傾けるわけがない。(2018/09/25 09:51)

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