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「社会保障」「地方再生」失敗の轍を抜けるには

日本が沈み切る前に、打つべき手を考える賢人会議(前編)

2016年12月26日(月)

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 識者5人による「賢人会議」をお届けする。「少子化」「超高齢化」時代における「社会保障」「地域再生」はいかにあるべきか。日本労働組合総連合会会長の神津里季生氏、東京大学 政策ビジョン研究センター特任研究員の藤田正美氏、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏、個人投資家で作家の山本一郎氏が、森田朗所長率いる国立社会保障・人口問題研究所に集い、現実を直視しながら、「次の一手」を探る。その前編。

(写真=鈴木愛子、以下同)

森田:皆さん、お忙しい中、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)にお集まりいただき、ありがとうございます。今回は識者の皆さんと一緒に、人口減少時代の社会保障と地方再生のあり方について考えていきたいと思います。では山本さん、進行をお願いします。

勝った政党が改革を進めるべき

山本:恐縮です。ではまず「民意」を確認するという意味で、少々遡りますが、7月の参議院選挙の振り返りからいきたいと思います。獲得議席は自民党・公明党あわせて70、野党は全体で51、民進党単独では32議席でした。民進党を支持する立場であった労働組合の中央団体「連合」として、神津会長は選挙結果をどう見られましたか?

神津:安倍(晋三)総理を支持しているというよりも、他の選択肢がないから自民党に投票した国民が多かったのだろう、と感じました。このことは、世論調査でも明らかになっています。投票率も54.7%と、依然として史上4番目の低さにとどまりました。

神津 里季生(こうづ・りきお)日本労働組合総連合会 会長

山本:野党側は共闘体制で挑みましたが、国民の支持を大きく広げるには至りませんでしたね。

神津:メディア的に言えば共闘だったかもしれませんが、実情としてはそうではありません。民進党を軸に統一名簿をつくる構想も、途中で断念せざるを得なかった。積極的に政策でまとまって、国民の目から見て投票してみようと思ってもらえる選択肢にはなれませんでした。

山本:この選挙で特徴的だったのは、各種メディアでの「投票先を決める時に重視する政策は?」というアンケートの結果において、概ね「年金・医療などの社会保障」が「景気・雇用対策」を抜いてトップになったことです。これは注目すべき変化だと思うのですが、森田先生、いかがでしょうか。

森田:社会保障は現在、国民の大きな心配事となっています。でも選挙の場では、これまであまり表立って扱ってこなかった。2011年、2013年の選挙では与野党ともあえて争点から外しましたよね。当時の野田(佳彦)首相も、安倍首相も、社会保障の財源問題を解決するためには消費税を上げざるを得ないと知っていたけれど、先送りしてそれ以外の争点で戦いました。

森田 朗(もりた・あきら)国立社会保障・人口問題研究所 所長

山本:2012年に制定された社会保障制度改革推進法は、どうなっているのでしょうか。社会保障と税の一体改革を進めますよ、という方針はもう決まっているんですよね?

森田:そう、本来は勝った政党がこの改革を進めるべきです。でも虎の尾を踏みたくないから、逃げ腰になっているのかなという感じですね。社人研では、昨年の国勢調査に基づいた人口推計をやっています。そしてそれに基づいて、年金の再計算をする。それを踏まえて、政策もまた変わってくるのかどうなのか、注視しています。

地方消滅で一番打撃を受けるのは

山本一郎(やまもと・いちろう)個人投資家・作家

山本:ここ数年、自民党の勢力が強くなっていますよね。また、比較的若年層が自民党を支持しています。いまの安倍政権や自民党の政策がいいかどうかは別として、野党側の経済政策がうまく浸透せず比較対象になれないのが問題なのではないかと。

神津:民主党政権時に掲げたものも含めて、民進党もやはり分配に力を入れています。それは大事なことだと思います。この20年間、経済格差は開くばかりです。下を上に引き上げていくことが急務だということに間違いありません。同時に、従来構造だけで物事を考えてはいけないとも考えています。以前、安倍総理がアベノミクスの効果として、倒産件数が減っていると話していました。たしかに、東京商工リサーチの調べによると、2015年の企業倒産は25年ぶりに9000件を下回りました。しかし、その裏には2万5000件以上の休廃業・解散があるんです。後継者がいなかったり、業績がジリ貧になったりして、事業継続を断念している中小企業がたくさんある。ただ事業の延命をはかるのではなく、もっと生産性の高いところに集約を図るなど、将来を予測して時代に対応していかないといけません。

山本:後継者が不足して事業継承が困難、といった話は地方経済の維持・発展において大問題なのではないでしょうか。地域政策系の業務に携わり、地方創生の現場を日々目の当たりにしている木下さんから見て、地方の政治はどうなっていると思いますか?

木下 斉(きのした・ひとし)一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事

木下:いわゆる「地方消滅」で一番打撃を受けるのは、実は政治家と行政マンなんですよね。これはある種の“不都合な真実”です。一般住民からすると、より広域行政化することでサービスを維持したり、移住する先にサポートをまわしてもらったりするほうが合理的だと感じている。そういう声もよく聞きます。でも地域を再編すると、政治家・行政マンの仕事がなくなる。だから、今の行政区をいかに守るか、議会などの行政組織をいかに維持するか、という方向に政策が展開されてしまう。既存のシステムを維持するために予算が割かれてしまうわけです。

山本:本末転倒と言うかなんというか……。

木下:若い人ほど移動が容易だから、過疎地域を見捨ててどんどん都市圏に若者が集まっています。そして人が少なくなればなるほど、残された人の仕事のほとんどが行政関連、そして所得のほとんどが年金という状況に。市場や産業はなくなります。若い人にとっては、ある種の利権的なヒエラルキーに入らないと、地方の過疎地域にはブラックな仕事しかない。その状況も、さらに移住を加速していくというスパイラルになっていると思います。

コメント4件コメント/レビュー

記事中「政治家が」というところを「国民ひとりひとりが」に直すと問題点が浮き彫りになると思います。民主主義というのは、政治家にお任せするのではなく、国民ひとりひとりが真剣に考えることを言います。自分で真剣に考えないから政治家を批判するだけになってしまう。いまや批判もできていないように思います。いつの時代も責任をとる(付けを払う)のは国民です。政治家や首長や社長が責任をとったことは歴史上皆無です。辞任することは責任をとることになりません。もっと皆考えましょう。先ずは教育改革から。(2016/12/27 10:03)

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「「社会保障」「地方再生」失敗の轍を抜けるには」の著者

森田 朗

森田 朗(もりた・あきら)

国立社会保障・人口問題研究所所長

行政学者。東京大学大学院法学政治学研究科教授、東京大学公共政策大学院教授、同大学院院長、総長特任補佐、東京大学政策ビジョン研究センター長、学習院大学法学部教授などを歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

崎谷 実穂

崎谷 実穂(さきや・みほ)

ライター/編集者

北海道札幌市生まれ。人材ベンチャーでコピーライティングを経験後、広告制作会社で新聞広告を担当、100名近くの著名人などに取材。2012年に独立。ビジネス系の記事、書籍のライティング・編集を中心に活動。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

記事中「政治家が」というところを「国民ひとりひとりが」に直すと問題点が浮き彫りになると思います。民主主義というのは、政治家にお任せするのではなく、国民ひとりひとりが真剣に考えることを言います。自分で真剣に考えないから政治家を批判するだけになってしまう。いまや批判もできていないように思います。いつの時代も責任をとる(付けを払う)のは国民です。政治家や首長や社長が責任をとったことは歴史上皆無です。辞任することは責任をとることになりません。もっと皆考えましょう。先ずは教育改革から。(2016/12/27 10:03)

相当現実的な分析で現在から将来に渡っての日本の直面する問題点を描いている。後編が楽しみだ。
特に夕張の話で、人口がゼロになるまで借金の返済が続くのは恐ろしい話だ。SF以上の恐怖を感じさせられる。(2016/12/26 23:33)

日本とほぼ同じ面積しかないドイツですら人口8000万人しかいないのに
日本は無駄に人口を増やしすぎましたね。
増えたものを強制的に減らすのは中国と北朝鮮くらいしか出来ないですし
民主主義を採用してる日本は、
残念ながら一回破滅してリセットする以外に道はないと思います。(2016/12/26 10:46)

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