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2018年は「人間とは何か」が問われる年になる

不安の時代に問われる根源

2018年1月1日(月)

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(写真=Torsakarin/iStock / Getty Images Plus)

 新年あけましておめでとうございます。編集長の池田信太朗です。

 本年も日経ビジネスオンラインをどうぞよろしくお願い申し上げます。昨年初に続き、本サイトの連載陣に新年の行方を予測するコラムを寄稿いただきました(「人気連載陣が「2018年を読む」)。緊迫する北朝鮮情勢、米国と欧州に拡がる自国優先主義、日本企業に相次ぐ品質問題、求められる働き方改革――。本誌の特集「2018年大予測」や書店で発売中のムック「2018年徹底予測」も併せて、様々な視点の「予測」の競演をぜひご一読ください。

 これらの記事を読みながら思うのは、2018年はつくづく「人間」が問われる1年になりそうだ、ということです。

AIが問いかける「人間とは何か」

 背景の1つには、AI(人工知能)の進化があります。

 私たちはこれまで、「考える」あるいは「判断する」ことは、生命やそこに宿る知性に特有のこころの働きだと思っていました。というより、思おうとして来た、と言った方が正確かもしれません。しかしながら、2017年、情報を「記録する」ものとしてだけでなく、蓄えられた情報から「判断する」ものとしてのコンピュータが、にわかに私たちの前に現実として姿を現し始めました。

 人間が、優れた知性をもってほかの哺乳類とその強みを異とするとするならば、走る速さや泳ぐ速さを競い合うよりも、むしろチェスや囲碁などのゲームに打ち込む時、人間は最も人間らしい姿を見せているとも言えます。そこで人間がAIに敗れるのを目の当たりにして、私たちは否応なく「人間とは何か」という根源的な問いに突き当たることになりました。

 例えば花を見て「美しい」と思う時、私たちの魂がその花の姿に打ち震えているのでしょうか。それとも、美しいものとそうでないものを識別してきた学習の成果なのでしょうか。私たちの生命が地上に生まれた瞬間、まだ何も学習していない状態の私たちの魂は、花を見て美しいと思えるのでしょうか。

 「本能」という言葉があります。なるほどそれは生来のものにも思えます。けれども、例えば蛇のような細長い生き物の姿を見て「不気味だ」と感じるのは、長い年月をかけて蛇を不気味だと思わない個体が蛇に近づいて命を落とし、蛇を不気味だと思う個体が生き延びた結果、人間の多数がそのように感じるように「進化」した、ということかもしれません。つまり、本能とは天与のものではなく、世代を超えて遺伝子に成果の刻まれた「学習」と言えるかもしれません。

 判断する人間の魂を遡っていけば「学習」にたどり着くとするならば、人間もコンピュータも判断力を培うプロセスは同じということになります。およそ人間がタンパク質と生物電気によって成り立つ有限の肉体を持つ存在である以上、今後無限に性能を向上させていくであろうコンピュータに勝ち続けることはできません。

 それでもなお、人間がAIに勝る分野はあるのでしょうか。

コメント13件コメント/レビュー

古代ギリシャでは、労働は奴隷に任せて、市民は『哲学』したとか言います。
現代では、その奴隷がエンジンやコンピュータに姿を変えて、途方もなく強力に賢くなってきた。
しかしAIは、どんなに賢くなっても、所詮は過去データの延長線上に未来を描くのみです。
過去のしがらみに囚われないで創造性を発揮することはAIには出来ない。
芸術活動とか、宿命克服とかは、AIがどんなに進化しても対応できない領域ではないだろうか。
そこが、未来の市民が向かうべき『哲学』ではないだろうか。(2018/01/10 16:55)

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「2018年は「人間とは何か」が問われる年になる」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

古代ギリシャでは、労働は奴隷に任せて、市民は『哲学』したとか言います。
現代では、その奴隷がエンジンやコンピュータに姿を変えて、途方もなく強力に賢くなってきた。
しかしAIは、どんなに賢くなっても、所詮は過去データの延長線上に未来を描くのみです。
過去のしがらみに囚われないで創造性を発揮することはAIには出来ない。
芸術活動とか、宿命克服とかは、AIがどんなに進化しても対応できない領域ではないだろうか。
そこが、未来の市民が向かうべき『哲学』ではないだろうか。(2018/01/10 16:55)

記事になるように〝人間〟の存在感がますます問われる時代になったようですが、ここで大切なのは〝個〟の確立とトレンドに惑わされないことだと感じます。
ご指摘のようにAIの進歩は凄まじいものがありますが、一方でマスコミを含めてAIと大量データ処理を明確に意識しないで使っているのが心配です。 今AIと呼ばれているものの大多数は高速大量処理が可能になったコンピーターを使用した大量データ処理で、基本的には過去のデータの傾向で目の前の現象を判断していますので人工知能とは趣が異なります。 即ちこの手法では過去の傾向からの離脱ができないということですが、一方人間の知能は過去のデータから離れたアイデアや作品を作り出せることに特徴があります。
企業が宣伝としてAIを使用するのは構いませんが、マスコミ報道でも何でもかんでもAIと呼んでしまう傾向にあるのは疑問に感じます。
もっと、背景や状況を深く調査し、考慮した発信が望まれます。 さもなくば、SNSで発信されている根拠のわからないニュースと同一レベルになってしまうのではないでしょうか。
民主主義については様々な欠陥があり、いわゆる〝民主主義のコスト〟の強要することが大切です。
適切な解に至るまでの時間とコスト、オーバーシュート、アンダーシュート、トレンドに流されるリスクなどですが、それでも他に比べて優れたシステムだと思います。 ここでも〝個〟の確立が大切です。(2018/01/10 10:46)

人間とは何か。この根本の問いについて自分もここ数年考えてきました。
世間がICTを「操り富を増やせる」ことに舞踊り始めたころから、いつか人間はこうした技術に則られるのではないか、と一抹の不安を抱いていました。
著者のおっしゃる通り、プリミティブな時代は人下が機械化することで、様々な生産活動の効率が飛躍的に上がり、富が増殖していった。しかし、その富の増殖の背景には、豊かな地球資源・環境があったからこその前提。そして富あるところに人間の「欲」が増大し、争いが起こる。その争いにも「技術」が魔の手を伸ばし、人間は欲の果てに自らを死滅させる方向に突き進みつつある・・・。

では、原始に戻ればいいのか?それは無理。地球環境という資源が戻るためには、気の遠くなる時間が必要。それに太陽がもう寿命を迎えてくるので。

人は、いまこそ自分たちの置かれている環境を冷静に判断し、利権争いを即刻やめ、「共有」する世界の実現を考えるべき。(2018/01/10 09:50)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官