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「数字」で見る日本の労働力の現状

「人手不足」解消のカギは自由競争の促進

  • 小宮 一慶

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[2/3ページ]

2018年5月17日(木)

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 次に、都道府県別の就業者数の増減を見てみましょう。2002年と2017年を比べて就業者数の増加が多いのは、1位が東京都の135万人増、2位が神奈川県の46万人増、3位は愛知県の25万人増となっています。

就業者数と人口の推移 増加数上位10都道府県
就業者数(千人) 2017年人口
(千人)
2002年 2017年 増加数
東京都 6,330 7,682 1,352 13,515
神奈川県 4,387 4,851 464 9,126
愛知県 3,715 3,964 249 7,483
埼玉県 3,621 3,792 171 7,267
千葉県 3,103 3,251 148 6,223
大阪府 4,208 4,339 131 8,839
兵庫県 2,592 2,710 118 5,535
福岡県 2,383 2,501 118 5,102
沖縄県 573 691 118 1,434
京都府 1,271 1,313 42 2,610
出所:総務省

 このほか、大阪府、兵庫県、福岡県、沖縄県などが増加しています。つまり、主に増えているのが、表にある人口を見れば分かるように、沖縄を除いては大都市圏だということです。

 逆に、就業者数が減少しているのは、1位が北海道の8.9万人減、2位が新潟県の8.5万人減、3位が長野県で7.7万人減となっています。北海道や新潟、長野などの比較的人口の多い県も人口減少ですが、よく見ると、人口の少ない県は、減少数は小さいものの、母数が小さいため比率的には大きな人口減少が進んでいると言えます。

就業者数と人口の推移 減少数上位10都道府県
就業者数(千人) 2017年人口
(千人)
2002年 2017年 減少数
北海道 2,665 2,576 -89 5,382
新潟県 1,250 1,165 -85 2,304
長野県 1,187 1,110 -77 2,099
秋田県 564 488 -76 1,023
福島県 1,040 978 -62 1,914
山形県 627 566 -61 1,124
青森県 697 648 -49 1,308
岩手県 703 655 -48 1,280
山口県 728 684 -44 1,405
長崎県 705 664 -41 1,377
出所:総務省

「道州制」で都道府県が競争する仕組みに

 都道府県別の就業者数を見ると、人口の多い都市部ほど増加数が多く、人口の少ない地域ほど減少していることが分かりました。経済が比較的盛んで、仕事のあるところに、より人が集まり、逆に経済がそれほど活発でない地域からは人が減り、より経済が不活発になるということです。これは同一都道府県内でも同じ傾向がみられます。このままでは、人口がある程度増え続ける都市部とゴーストタウン化してしまう地域との二極化が進みかねません。

 では、どのような手を打てばよいのでしょうか。私は、各都道府県の間での競争を促すべきだと考えています。例えば、米国であれば州によって税制や法律が大きく異なりますので、各州の特徴や姿勢が明確に現れていますね。雇用を増やそうと企業を呼び込みたい州は、独自の判断で大胆な優遇策を採ることも可能です。

 それに対して、日本では、地方自治体が法律の範囲内で条例を制定することは可能ですが、内容にはほとんど差がありません。つまり、各地域は、アクセスの利便性や観光資源などといった地理的な差くらいしかないのです。

 そこで各都道府県が、それぞれ税制や法律などの特徴を出せるようにして、自由競争をさせるようにすべきです。究極的には道州制にして地方分権を強化し、中央政府は米国のような、国防、外交、ナショナルミニマムの福祉政策を中心に行う政府にすることが、地方活性化において有効なのではないかと私は考えています。つまり、地方独自の「知恵」を出しやすくするのです。

 その上で、政府としては「日本はどの産業を重点的に伸ばしていくべきか」を考えなければなりません。都道府県ごとの競争を促しながらも、日本全体では海外と競争していかなければならないからです。

 すでに、優秀な人材が海外に流出したり、日本企業も生産拠点を海外に移したりといった産業空洞化の流れが進んでいます。それを阻止するためにも、どの産業に注力すべきか、「選択と集中」が必要です。

 さらには、思い切って法人税を大幅に減税したり、大胆な規制緩和を行ったりといった「成長戦略」を打ち出すことが肝要です。

 例えば、先ほどの業種別の就労者数の中で私が気になったのは、「農業、林業」です。2002年3月の242万人から、2018年3月は204万人まで、約15%減少しています。このままでは、近いうちに200万人を切るでしょう。

 2017年の農業就業人口の平均年齢は66.7歳。このまま10年も経てば、日本の農業が衰退していくことは間違いありません。

 政府は、「強い農家」をつくる政策を考えなければなりません。これまでの日本の政策は、「弱い農家をどう守るのか」ということに主眼がおかれ、毎年多額の補助金を支給してきましたが、そうではなく日本の農家が作る農産物を世界的に競争力あるものに生まれ変わらせる必要がある。安心安全な日本の農産物が世界でも通用するような輸出産業に育てていけるよう大幅なコスト改革をすべきではないかと思うのです。

 日本の農産物そのものは、味もよく極めて高品質ですから、世界的に見ても競争力があります。ただ、やはり価格も高いですから、今後は効率化を図って価格を下げることが課題になるでしょう。そこで農地の集約化を進めるため、集約化のために土地を供出するなど協力してくれた農家には補助金ではなく年金を出すなどの政策も、一つの手ではないでしょうか。そして、その農地で働きたい限り働いてもらえばいいのです。

 農産物が「売れる」ようになれば、日本を代表する輸出産品になる可能性も大いにあります。そうなれば、今まで以上に若い人たちが農業に参入してくれるでしょうし、農業人口も増えていく可能性がある。すると、さらに強い農業になるという好循環に入るのではないでしょうか。

 政策全般に言えることですが、弱者を守ることは確かに正しいことです。しかし、産業的に弱いものを、弱いままに守ることが本当に日本経済にとって良いことなのかどうか。私は、もっと産業を強くする努力をすべきなのではないかと思います。

コメント15件コメント/レビュー

現政権など明らかにそのように見えるが、人口が激減することへの短期的な手立ては不可能にも関わらず、「夢よもう一度」と言わんばかりに経済規模の維持~拡大を目指すのは無理がある。GDPは人口見合いで縮小すれば良くて、むしろ中身(より比率の下がった就労人口でも稼げる高生産性化の追及≒世界に討って出られる光る産業の育成等)の充実をどう進めるのか、それにより人口オーナス期を耐えて乗り越え、新たな成長期に繋げるような、長期的な視点が欲しい。(2018/05/18 11:26)

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現政権など明らかにそのように見えるが、人口が激減することへの短期的な手立ては不可能にも関わらず、「夢よもう一度」と言わんばかりに経済規模の維持~拡大を目指すのは無理がある。GDPは人口見合いで縮小すれば良くて、むしろ中身(より比率の下がった就労人口でも稼げる高生産性化の追及≒世界に討って出られる光る産業の育成等)の充実をどう進めるのか、それにより人口オーナス期を耐えて乗り越え、新たな成長期に繋げるような、長期的な視点が欲しい。(2018/05/18 11:26)

歴史を見ていくと、軍隊の維持費が大きくなり過ぎて生産とのバランスが取れなくなり崩壊した国家というのが散見されますが、戦後の日本は、この軍隊の代わりに社会保障が大きくなり過ぎて崩壊した国家と後世の研修者から評されるのだろうなと思っています。
道州制は、数十年前ならともかく、今では推進するエネルギーが各共同体に残っていないと考えます。
その事は、地方で再生を果たした代表例のニセコが、外国資本・外国経営者・外国労働者・外国人顧客で構成された経済共同体なことからも示唆されます。(2018/05/18 09:14)

磯山さんのコラムにも書き込みましたが、つい6年前の平成22年3月までは帰国支援金を払って日系人に帰って貰っていた現実を、経営者の方々はすっかり忘れた振りをするんですよね。今でも国の財源が厳しいのに、これ以上同じ過ちを繰り返して後世代の負担を重くしてどうするんですか。
景気サイクルも、もうそろそろ不況期に突入してもおかしくありませんし、その時に高齢者は雇用の調整弁になって貰うとして、日本語を覚える気のない外国人はスポーツ選手とその延長上の指導者だけで十分でしょう。(2018/05/17 18:12)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官