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なぜ医者の態度はいつも冷たいのか

特別編4回 多忙な医者とうまく会話するコツ

2018年6月7日(木)

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激務がもたらす弊害

 医師が患者さんに「医者は冷たい」と感じさせてしまうのには、いろいろな医師の状況が影響しています。

 中でも、「医者は、患者さんとコミュニケーションを取る時間が制限されている」のが重要な点です。では、どんなふうに時間が制限されているのか。具体例でお話しします。

 一つめは、タイトなタイム・スケジュールです。

 我々医者は、どんな科の医者であっても、きっちりと決まったタイム・スケジュールの中で動いています。外科医であれば、朝9時には手術室へ行かねばなりません。手術室では、その日に合わせて入院した患者さんが、麻酔をかけられて待っています。さらには、手術室の看護師(1件の手術で最低2人はいます)、臨床工学技士、そして助手の外科医といったスタッフが時間を合わせてスタンバイしています。

 一人の外科医が、「すみません。担当患者さんが不安を抱えていたので、詳しい説明をして遅れました」というのは許されないのです。こうなると、朝7時半からの回診で、患者さんと詳しいお話をすることはできません。矢継ぎ早に質問をされても、「ええと、すみません。時間がないので、看護師に相談して、後日、私のアポを取ってもらってください」と先送りしてしまうでしょう。初めての入院で不安を抱えた患者さんにしてみれば、「冷たい態度だ」と感じるかもしれません。

医者は分刻みのスケジュールの上、いつも誰かを待たせています

 2つめは、外来診察での業務過多です。

 医者は1日に何十人もの診察をします。一人の患者さんとお話しできる時間は10分あればよいほうです(科によっても違いますが、外科であればそのくらいです)。

 しかも患者さんとお話しするだけで、診察が終わるわけではありません。まず診察をカルテに記入します。

 さらにお薬の処方、次回の外来の予約などがあります。一人の医者がパソコンで入力するのですから、時間がかかります。これに検査の予約もあります。そして傍には「待ち患者さん」の大量の外来ファイルが積まれていく……。

 言い訳がましいといわれそうですが、この状況で詳しく患者さんが理解できるよう説明を繰り返すというのは、ちょっと無理があるのでは、と私は思います。

多忙な医者とうまく会話するコツ

 最近は、業務過多を打開するために「代行入力」というシステムが入ってきました。これは、パソコン入力作業は事務の方が代行し、医者は患者さんとのコミュニケーションに集中するもの。残念ながら、まだ一部の病院、しかも一部の医師限定(部長など)で導入されているのが現状です。代行入力が広まれば、もっとゆっくり患者さんとお話ができるようになるでしょう。

 では、時間がない医者への対策として、患者さんは何ができるでしょうか。私は次のことを提案させていただきたいのです。それは、

「あらかじめ医師に聞きたいことを、箇条書きでメモしておく」

 非常に単純な話なのですが、メモするだけでずいぶん違います。「何が聞きたいのか」「何が不安なのか?」。医者がメモを見ればすぐにお答えできます。

 ただし、初めての受診では「医師に聞きたいことさえ分からない」こともあります。そういう時には、下のシートを使ってください。病院によっては問診票がある場合も多いのですが、追加でこのシートも使うとより伝わりやすいでしょう。

【初めて医者にかかる時に使うシート】
  • どんな症状が (             )
  • いつから (               )
    ・ だんだん良くなってきた ・ 悪くなってきた ・ 同じくらい
  • 一番辛かったのはいつ?
    ・ いま ・ (  )日前 ・ (  )時間前
  • どんな時にその症状は悪くなる? (         )
  • いま一番困っていることは? (            )
  • お医者さんに聞きたいこと (           )

コメント23件コメント/レビュー

医者という職業が、
・技術職なのか、
・接客業なのか、
というところをしっかりと考えるべきだと思います。

もちろん、技術があって、その上"コミュ力"が有れば最強なのはどこの技術職でも同じです。

ですが、人間早々いろいろな方面に対してどれもこれも得意という訳にはいきません。
技術的に優れている技術屋が、"コミュ力"が低いために低評価なのは、患者にとって幸せでしょうか。


患者側も、
・病人として病気や怪我を直してほしいのか、
・<客>として不安を和らげほしいのか、
をはっきりさせ、
・腕のいい医者か、
・優しい医者か、
を選べるような仕組みがあるといいですね。

製造業のように分業でもい良いかもしれません。
・・・こう考えると、相手が人間の職業というのは難しいですね。
私にはとてもできそうにありません。

診断治療AIも期待されていますが、
私としてはメディカルコンサルティングAIの登場を期待します。
こちらも気を使わないで済むので。(2018/06/13 16:26)

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「なぜ医者の態度はいつも冷たいのか」の著者

中山 祐次郎

中山 祐次郎(なかやま・ゆうじろう)

外科医

1980年生まれ。聖光学院高等学校を卒業後、2浪を経て、鹿児島大学医学部医学科を卒業。その後、都立駒込病院外科初期・後期研修医を修了。2017年2~3月は福島県広野町の高野病院院長、現在は郡山市の総合南東北病院で外科医長として勤務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

医者という職業が、
・技術職なのか、
・接客業なのか、
というところをしっかりと考えるべきだと思います。

もちろん、技術があって、その上"コミュ力"が有れば最強なのはどこの技術職でも同じです。

ですが、人間早々いろいろな方面に対してどれもこれも得意という訳にはいきません。
技術的に優れている技術屋が、"コミュ力"が低いために低評価なのは、患者にとって幸せでしょうか。


患者側も、
・病人として病気や怪我を直してほしいのか、
・<客>として不安を和らげほしいのか、
をはっきりさせ、
・腕のいい医者か、
・優しい医者か、
を選べるような仕組みがあるといいですね。

製造業のように分業でもい良いかもしれません。
・・・こう考えると、相手が人間の職業というのは難しいですね。
私にはとてもできそうにありません。

診断治療AIも期待されていますが、
私としてはメディカルコンサルティングAIの登場を期待します。
こちらも気を使わないで済むので。(2018/06/13 16:26)

私も「名医本」に載っている内科医を知っている。近所なので、十年以上にわたって風邪のときくらいに行くのだが、聴診器を持っているのを見たことが無いし、胸をぽんぽんとかやられたことも無い。「風邪? はい、クスリ出しときましょう」で終わり。ところが、うちの女子社員がたまたま勤務中に風邪で具合が悪くなったので、その医院に行ったら、なんと、胸をはだけさせ、ぽんぽんとやったそうな。私は唖然とした。その後、あるとき待合室でふとテーブルの本を見たら、「日本の名医100選」という本が置かれていて、そこにその内科医院が紹介されているのを発見し、私は再び唖然としたのだった。(2018/06/12 11:52)

なぜ医者の態度はいつも冷たいのか?
それは、「たいしたことのない」病気だからでしょう。
本当に重病で難治性の疾患で、患者が一生懸命に頑張っているなら、冷たい態度であることはありえない。

軽くあしらわれる、軽症であることは幸せなことです。(2018/06/11 19:11)

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