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医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか?

特別編7回 医者が考える2つの可能性

2018年6月28日(木)

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 こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。京都大学大学院でただいま勉強中です。

 こちら京都では梅雨はどこ吹く風、凄まじい暑さが襲っています。気温は他の土地と変わりませんが、「風がない」「湿度が高い」のが特徴的です。

 実は医学的には「暑さ」とは「暑さ指数」として熱中症の危険度として表現され、気温だけでなく風速・湿度・日射量で決まります。

 さらに専門的には、

WBGT(暑さ指数)=0.735×Ta+0.0374×RH+0.00292×Ta×RH+7.619×SR-4.557×SR2-0.0572×WS-4.064(環境省の「熱中症予防情報サイト」より)

と算出します。Taは気温(℃)、RHは相対湿度(%)、SRは全天日射量(kW/m2)、WSは平均風速(m/s)です。

 さて、この連載は前々々々々々回から、特別編「医者の本音」シリーズとして全8回で毎週お送りしております。

 「余命3カ月のがんが治った! 奇跡の食事法」

 本屋さんに行くと、健康本コーナーが必ずあります。そしてそこには、こういった扇情的なタイトルの健康本が所狭しと並んでいます。インターネットを検索しても、「これでがんが完治した!」「抗がん剤はがんを増やす」のようなページが出てきます。テレビでも、「がんから奇跡の生還」なんて番組がありますね。

 がんからの奇跡の生還。こういったものを、現場の医者はどう見ているのでしょうか。

 私はがんの専門ですから、数多くのがん患者さんにお会いしてきました。その中には、まれですが医者にも信じられないような良い経過をたどった方もいます。

 医者がそういう患者さんに会った時、考えることは2つ。

  1. チャンピオンケース
  2. 誤診

 このお話は、できることならしたくありません。「なんて冷酷なんだ」と思われるかもしれないですし、患者さんの方の希望を奪うことになるかもしれないからです。しかし、感じたことを正直に書きたいと思います。

 もしこれをお読みの方で、現在闘病中の方やそのご家族などは、不快に感じる情報が含まれている可能性があります。本記事はあくまで医者である私がどう感じているか、そして「奇跡的に治る」頻度はどのくらいかを示しているものです。

たまたまうまくいったのでは?

1. チャンピオンケース

 これは医者同士でよく使う言葉です。「たくさんいる患者さんの中で極めて珍しく、すごく治療がうまくいった人」という意味です。多くの患者さんの中で「チャンピオンのように」素晴らしい結果だったので、チャンピオンケースと呼ぶのでしょう。ちょっと抵抗を感じる呼び方ですが。

 学会で、治療が素晴らしくうまくいった患者さんの事例を発表すると、「いや先生、それはチャンピオンケースですから」などと突っ込まれることがあるのです。その突っ込みには、「その方は治療がたまたまうまくいったけど、だからといってすべての患者に当てはまるわけじゃないですよね」くらいの意味が込められているのでしょう。

 うーん。果たしてそうなのでしょうか。

 現在の病気の治療法は、実に多くの先人の犠牲によって開発されてきました。無数の屍の上に成り立っているといっても過言ではありません。

 治療法の多くは、実に慎重に開発されています。

コメント21件コメント/レビュー

血液中に癌遺伝子は検出されます。正確に言えば、血中遊離核酸は健常者にも通常あるのですが、それを最近の技術で詳しく調べることで癌細胞由来の変異遺伝子を検出できるわけです。
しかしその変異遺伝子が検出されなくなったことは癌が完全に治ったことを意味するのではなく、単に検出限界を下回っているだけです。
癌が小さくなったことは示唆しますが。明らかな癌患者であっても検出限界を下回ることもあります。
検査には限界があることはこのコラムでも述べられていると思います。(2018/11/30 21:30)

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「医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか?」の著者

中山 祐次郎

中山 祐次郎(なかやま・ゆうじろう)

外科医

1980年生まれ。聖光学院高等学校を卒業後、2浪を経て、鹿児島大学医学部医学科を卒業。その後、都立駒込病院外科初期・後期研修医を修了。2017年2~3月は福島県広野町の高野病院院長、現在は郡山市の総合南東北病院で外科医長として勤務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

血液中に癌遺伝子は検出されます。正確に言えば、血中遊離核酸は健常者にも通常あるのですが、それを最近の技術で詳しく調べることで癌細胞由来の変異遺伝子を検出できるわけです。
しかしその変異遺伝子が検出されなくなったことは癌が完全に治ったことを意味するのではなく、単に検出限界を下回っているだけです。
癌が小さくなったことは示唆しますが。明らかな癌患者であっても検出限界を下回ることもあります。
検査には限界があることはこのコラムでも述べられていると思います。(2018/11/30 21:30)

がんの治癒率は標準医療でもかなり上がっていて,
種類によってはステージ4からでもけっこうな確率で5年生存(とりあえず転移の心配なしとみなす)できることをまず書かないと,かなりの誤解を生じると思います。

今回のコラムは,
がんが専門のお医者さんですらがんは奇跡に頼らないと治らなくて,通常の治療で治癒率を上げる努力が気休め程度のものなのだと言っているように読めて,関係ないような人がコメ欄に色々沸いている感じですが,多くの患者をきちんと治している事実をまずきちんと示すべきかと。

昨年私の叔父が甲状腺がんのステージ4(がりがりに痩せて声も出ない状態)から,義母が大腸がんのステージ2から元気に復帰してきて,医学の発展はすごいなと思ったものです。(2018/07/02 18:22)

免疫機構ですが,例えば同じがん細胞でもその細胞のどの部位に対して抗体ができるかでも,がん細胞を効率的に攻撃できるか否かが変わってくるように思います。それが,T細胞等に若干の異変や奇形があるお陰なのか,たまたまできにくい抗体ができたのか,等を解明するしかないのかも知れませんね。いずれにせよ,何らかの免疫機構が絡まない限り腫瘍が消滅することなどあり得ませんから,そっち側からのアプローチが必要なのでしょう。

とはいえ,それはあくまでも研究医の仕事。臨床医としては,都度標準治療の中から適切な治療方法を検討・選択し,適用するしかないわけですよね。患者が変な民間療法に引っかからないようにするのは大変だと思います。特に理屈が通じない患者には手を焼くことでしょう。中山先生におかれても大変な作業だと思いますが,しっかりと患者に寄り添いつつ厳しい判断をこれからもお願いします。(2018/06/29 11:46)

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