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孫崎享氏、対米・対IS戦争を同時に迫られる日本

「トランプ政権の“憂鬱な8年”とはならない」

2017年2月2日(木)

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 1月20日、トランプ米新政権が発足した。トランプ氏にばかり目が向けられるが、この日はオバマ政権が終了する日でもあった。オバマ政権は、米国の歴史においてどのような意味を持つのか。オバマ大統領は何を成し遂げようとし、何を実現したのか。そして、何を成すことができなかったのか。オバマ政権を総括することで、トランプ政権を評価するものさしも見えてくる。

 外交官として、防衛大学校の教授として、米国の動向をウォッチしてきた孫崎享氏に聞いた。今回はその後編だ

(聞き手は森 永輔)

(前回はこちら

自衛隊に、対イスラム国の新たな任務が加わる日は来るか(写真:AP/アフロ)

ここからはトランプ大統領についてうかがいます。オバマ氏が掲げた理想に対して、トランプ大統領はどんな理想を持っているのでしょう。

孫崎:就任演説を聞きました。理想も中身も全くないものでした。そして、就任演説を含む一連の言動から、オバマ氏とは逆の方向に行こうとしているのを感じます。オバマ氏が有色人種や女性を重視したのに対し、トランプ大統領は彼らを無視するかのような発言をしてきました。外交では、イランとの核合意を反故にしようとしています。

孫崎 享(まごさき・うける)
1943年生まれ。1966年東京大学を中退し外務省に入省。駐ウズベキスタン、国際情報局長、イラン大使を歴任。その後、防衛大学校教授を務める。著書に『日米同盟の正体』『情報と外交』など

 就任演説の後、驚いたことがあります。ホワイトハウスのホームページにこれから進める政策の概要をアップしたのです。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉などが挙げられています。これはトランプ大統領の政策チームが充実しており、彼が選挙中に口にしたことを実行する体制を、我々が考えていた以上に整えているということです。油断はなりません。

 トランプ大統領が抱えるこれからの課題は、同大統領を当選させた支持層――貧困層、労働者、中間層――を代表する政策を実行できるかどうかですね。私は実行できないと考えています。すると、これらの支持層が不満を高める。トランプ大統領は貿易戦争をまき散らすことで、彼らの目をそらそうとするでしょう。

なぜ、支持層を満足させる政策を実行できないのでしょう。

孫崎:理由の1つは閣僚名簿を見れば分かります。数多くの企業経営者が名を連ねています。

国務長官への就任が米上院外交委員会で承認されたレックス・ティラーソン氏は米石油大手エクソン・モービルのCEO(最高経営責任者)でした。米金融大手ゴールドマン・サックスのゲーリー・コーン前社長兼COO(最高執行責任者)は国家経済会議の委員長に就任します。

孫崎:おっしゃるとおりです。過去最高の富豪政権と言えるでしょう。この政権は、「ウォール街を占拠せよ」に参加した人々が言う「1%の富裕層」の代表なのです。

 政策を見ても明らかです。富裕層に有利な減税案、オバマケアの修正もしくは廃止などがずらりと並んでいます。

 これでは貧困層、労働者、中間層が不満をためる。そこで「我々はあなたたちのための政策を実行している」と見せるため、外国を悪者に貿易戦争を仕掛けようとしています。トヨタ自動車に対して「米国で生産するか、多額の国境税を支払うべき」とツイッターでつぶやいたのはその一端です。

コメント12件コメント/レビュー

>この政権は1%の富裕層のための政権です。

なんか安部政権発足の際にもそんな感じのことを言ってたよね。(笑)(2017/02/03 10:10)

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「孫崎享氏、対米・対IS戦争を同時に迫られる日本」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>この政権は1%の富裕層のための政権です。

なんか安部政権発足の際にもそんな感じのことを言ってたよね。(笑)(2017/02/03 10:10)

孫崎氏の意見に全く同感。トランプが富裕層をますます金持ちにする方向を向いているのに、何故「貧困白人層」の多数が彼を支持したのか不思議でならなかった。騙されたとしか言い様がない。そういう意味でトランプはあまり賢くない大衆を騙すプロなのだろう。正しく不動産での成功事例をそのまま水平展開したに違いない。響きの良いキャッチコピーで大衆を惹きつけ、そのまま取り込んでしまう。不動産物件で言えば、キャッチコピーで顧客を現地や店に来させ、両脇を営業員で固めて客をその気にさせて一気に契約まで落としてしまう。トランプタワーなども、彼が大統領になった事で値段が上がったろうから所有者は今の内に売り逃げで利益を確保すべきだ。「価値が上がった!」と喜んで悦に入っていると、今に痛い目に合う。孫崎氏の指摘している、カナダがいろいろな策を講じてNAFTAを実現した話は知らなかったがとても興味深い。他の記事への意見でも述べた事だが、今回のトランプ大統領実現で一番がっかりしているのは、こんな程度の意悪い人間を大統領にしてしまう程アメリカ国民の程度が悪くなった事だ。これは曲げようのない事実だ。IT技術でも金融でも世界をリードしPCやスマホの普及率も高いアメリカの国民がかくも容易く騙されてしまう事が情けない。わたしの尊重する個人主義でも日本より遥かに先を行っているはずのアメリカ国民の多くが「溺れる者」として藁を摑まされている事実は笑えない。真逆私の友人達までもが「溺れる者」の一部なんて事はないと信じたい。(2017/02/02 16:48)

トランプ氏がこんなにも子供じみているとは思わなかった。大国の大統領としての見識に小さな期待を持っていたが、砕かれた。さほどショックでもないが。こんな政権が長く続くとは思わないというのは、同意です。まあ、民主的手続きによる独裁国にならない限りですが。(2017/02/02 14:26)

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