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「オシコシ」的イベントは米国だから可能、か?

飛行機を自作する文化は日本にもちゃんとあった

2018年9月14日(金)

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 航空のすべてがあるイベント「EAA AirVenture Oshkosh」――主催者は、実験航空機連盟(EAA:Experimental Aircraft Association)という非営利の民間団体だ。1953年設立。現在では国際的に支部を持ち、全世界で20万人以上の会員がいる巨大組織となっている。

オシコシの空に描かれたEAAの文字。AirVenture Oshkoshでは時折、空に航空機が文字を描く。

 日本の感覚だとまずExperimental(実験的)という単語にひっかかりを感じるだろう。自作航空機(ホームビルト機)愛好家の団体なのに、なぜそこに「実験」が関係してくるのか。

 この「実験」は、米国の航空関連法制度の中で定義されているものだ。航空法では、航空機を様々なカテゴリーに分類し、それぞれが満たすべき要件を定めており、その中でExperimentalというカテゴリーが定められている。これは新たな技術開発や試験を行う航空機のカテゴリーだ。例えば政府組織(NASAなど)やメーカーが製作して飛ばす技術試験用の機体が、このExperimentalに該当する。

自作機の制度設計で航空産業を発展させている米国

 が、それだけではない。

 実は、自分で作るホームビルト機は法制度上、このExperimentalのカテゴリーに入る。つまり個人が作る航空機は「個人による技術開発、実験である」ということになるわけだ。

ホームビルト機には、Experimentalという文字が書き込まれている。これは米航空法におけるExperimentalのカテゴリーで機体登録ナンバーを取得していることを意味する。

 Experimentalカテゴリーの機体は、1機ごとに米連邦航空局(FAA)の認証を取得し、「この機体はきちんと飛べる」ということをオーソライズされて、機体ナンバーを取得して「飛んで良い機体」になる。運用にあたっては市街地上空を飛行できないなどいくつかの制限が付くが、基本的には量販されている自家用機と同じ手順で運用することができる。
 このExperimentalというカテゴリーが法的に確立していて、しかもExperimentalの機体を飛ばすまでの社会的手続きが明確に規定され、実効的に運用されていることにより、ホームビルト機という趣味は社会的に確立したものとなっているわけだ。

 自作を公的に認めることにより、航空技術の幅広い裾野を形成すると同時に、技術開発をやりやすくして、航空技術の進歩を加速する――そういう制度設計である。

EAAはホームビルダー(自宅へ飛行機を製作する人のことをこう呼ぶ)向けに、認証取得のノウハウをまとめたガイドを販売している。
提出用書類、チェックリスト、機体に貼るシール類など、至れり尽くせりの内容である。

コメント8件コメント/レビュー

無いものねだりをしていても始まらない。
琵琶湖のバードマンラリー+北海道+特区制度で自作機のフライインができないかな。(2018/09/19 20:05)

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「「オシコシ」的イベントは米国だから可能、か?」の著者

松浦 晋也

松浦 晋也(まつうら・しんや)

ノンフィクション作家

科学技術ジャーナリスト。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

無いものねだりをしていても始まらない。
琵琶湖のバードマンラリー+北海道+特区制度で自作機のフライインができないかな。(2018/09/19 20:05)

国民性と言ってしまっては元も子もないが,道路交通法とその運用を見れば米国のような航空環境が望みにくいことがわかる。
日本の道路交通法は,その第一条 目的で「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」と規定している。つまり,主目的は「安全」と「円滑」の二つである。しかし,運用実態を見れば,「安全」のための規制ばかりである。
事例としては,最近増加している「絶対に青にならない右折分離信号」が挙げられる。安全とのためと称して,対向直進車が無く右折が可能である状況でも,矢印が出ていないので右折できない。これに対して,米国では赤逆三角形の「YIELD」標識のあるところでは,交差方向や歩行者が優先ではあるが右折(日本の左折にあたる)可能である交差点が多い。
その他の運用でも,「規制して安全を図る」という意識が強過ぎて,運転者の意志の尊重や交通の円滑化は二の次である。

これは,規制する側だけの問題ではなく,「規制してもらう」側の問題であることは,最初のコメント者の言う通りである。(2018/09/18 20:57)

>1953年といわずとも1955年(昭和30年)ぐらいまでに、EAAに相当する非営利組織が立ち上がって、ホームビルト機を日本社会において趣味として定着させる運動をしていれば、日本の航空産業は今とは大分違った様相になっていた可能性はあるだろう。
>そうならなかった時点で、一大国家プロジェクトだった国産旅客機YS-11のビジネス的失敗と、その後の後継旅客機開発の迷走は不可避だったのかもしれない。

「YS-11」の商業的な失敗と、ホームビルド機の関連性が全くわからん。
ホームビルド機を作ると、飛行機を販売の営業に何か役にたつことがあるのかね?
そうそう「YS-11」の後継機については1970年代にワンチャンあったんだよね。
海上自衛隊のPX-L・・・P-2J対潜哨戒機の後継機・・・選定の際、いったん選定された川崎重工のGK520って機体案がありまして。
ターボファン4発の哨戒機。
3発~4発の機体が珍しくなかった当時であれば、民間機への転用も可能だったんじゃないかな?
後に英国のBAe146がそこそこ売れた事を考えると。
残念ながら、田中政権下で選定が覆され、海上自衛隊はロッキード社製のP-3Cを導入する事になったのだけどね。(2018/09/15 01:56)

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