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小銭を返さない中国人は、何を考えているのか?

あるいは日本人は、なぜ小銭を返すのか?

2018年5月8日(火)

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 前回からお付き合いをいただいている「スジ」で考える日本人、「量」で考える中国人、おかげさまで初回は筆者の予想を大きく上回る反響をいただいた。今回は人間にとって命の次に大事だと言われるお金の感覚について、このフレームを使って考えてみたい。

日本のお金持ちが路線バスに乗る理由

 第1回でご紹介した「スジか、量か」という枠組みに、日本人と中国人のお金の使い方を当てはめると、その判断基準の違いは以下のようにまとめられる。

日本人の社会 → 論理で判断してお金を使う
(お金を使うか使わないかを「スジ」で判断する)

中国人の社会 → 払えるか払えないかで判断する
(お金を使うか使わないかを、使えるお金の「量」で判断する)

 具体的な例で説明しよう。

 少し昔の話になるが、私が中国人の配偶者と結婚し、日本で生活を始めて間もない頃のことだ。都内に借りたマンションから駅に向かうバスに乗った。周辺に高層マンションが次々と建ち始めた頃で、億を超える物件も少なくないと聞いた。

 あるバス停で2人の年配の男性が乗り込んできて、吊り革を手に世間話を始めた。「この間さ、息子に7000万円のマンション買ってやったんだよ」。

 配偶者は日本語がわかる。バスを降りた後、驚いた顔で言った。「息子さんに7000万円のマンションを買ってあげるような人が、なぜバスに乗っているの?」。

 少し説明が必要かもしれない。

 日本の社会では、お金持ちでもバスや電車に普通に乗る。それを恥ずかしいことだと感じる雰囲気はない。周囲の人も「バスなんか乗ってみっともない」などとは思わない。むしろ「お金持ちなのに偉ぶらないのがいい」などと褒められたりする。時折、「〇〇会社の社長は電車で通勤」などとメディアの話題になることもある。もちろん賞賛しているのである。

 そこにある考え方は、身体が健康で、特に天気が悪いわけでも、重い荷物を持っているわけでもなければ、バスや電車のほうがいい。なぜタクシーやクルマに乗る必要があるのか。歩いたほうが健康にいいし、エコであって社会のためにもなる――という「規範」、スジである。そして社会の大半の人がこの規範を共有している。だから、どれだけ収入や資産があるかに関係なく、特段の事情がない限り多くの人がバスや電車で移動する。

 このように、日本の社会には「お金はこう使うべき」という、社会に(かなりの程度)共有されている「べき論」があって、大半の人がその基準に従ってお金を使う。

コメント54件コメント/レビュー

日常で起こり得る観点から説明して頂いたので日・中の違いが大変理解しやすいと感じました。文化の違いは面白いですが、知っているのと知らないのでは本当に大きな違いが生じますね。

ありがとうございました。(2018/05/18 13:55)

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「小銭を返さない中国人は、何を考えているのか?」の著者

田中 信彦

田中 信彦(たなか・のぶひこ)

BHCCパートナー

90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で働く。リクルート、大手カジュアルウェアチェーンの中国事業などに参画。上海と東京を拠点にコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日常で起こり得る観点から説明して頂いたので日・中の違いが大変理解しやすいと感じました。文化の違いは面白いですが、知っているのと知らないのでは本当に大きな違いが生じますね。

ありがとうございました。(2018/05/18 13:55)

>なぜ日中,日韓だと「いい悪いじゃない。違いを知る。」という枕がつくのかというと,つまり,同じ北東アジアでくくれないにも関わらず,くくられている,或いはくくったほうがよい,くくるべき,という感覚が大なり小なり土台に敷かれているからなのかと思います

外から見て日中韓が十把一絡げの扱いをされるのはともかく、当の日本人がお互いの違いに気付いていない状態ですからねえ(だからこのコラムが有益と言えるのですが)。
ハンチントンが「文明の衝突」のなかで日本文明を中国文明(=儒教文明)とは別個の文明と捉えたのは慧眼でした。というのも中韓と日本の対立は、実は「神殺しを行った神なき儒教国家」vs.「言霊信仰と御霊信仰によって成り立つ宗教国家」という目に見えない形での宗教紛争ですから、根本的な意味で「解り合う」のは難しいと思います。(2018/05/15 10:47)

「スジ」と「量」、明示的に現実を反映している切り口で分かりやすいです。私も5~6年前にとあるプロジェクトで中国各地を回っていたのですが、全体的な印象はこのとおりだと感じています。

「スジ」を重要視する日本人は重箱の隅を突いたようなコメントを残すでしょうけど、そうなるとまさに筆者の思うつぼですね。(2018/05/15 09:10)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官