• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「中国すごい」の底にある個人情報への鷹揚さ

プライバシーへの寛容さは「量」の社会ならでは

2018年10月18日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 しばらく連載の間が空いてしまいました、お詫びを申し上げます。
 単行本の加筆・編集に追われておりました。

 連載では心機一転、さらにさまざまな角度から「スジか、量か」というテーマについて書いていきますので、どうか引き続きお付き合いをお願いしたく存じます。

 で、今回は中国人、中国社会のプライバシー(中国語で「隠私」)の話である。
 「スジか、量か」という判断基準の違いは社会のさまざまな領域に影響を与えていると申し上げてきたが、プライバシーに関する議論もその例外ではない。

 生活の急激な都市化やIT化で、プライバシーや個人情報の管理に対する考え方は、中国のみならず、他の国でも大きく変わりつつある。日常的なさまざまなものごとを「スジ=原理原則」よりも「量=現実的影響」の大小で判断し、行動する傾向の強い中国人社会が時代とともに大きく揺れ動いている様子が、プライバシーにまつわる議論からだけでもよくわかる。

効率のためなら喜んで個人情報を差し出す

 今年3月、中国でNo.1の検索エンジン「百度(Baidu=バイドゥ)」の董事長兼CEO、ロビン・リー(李彦宏)が北京で開かれたフォーラムで行った発言が大きな議論を呼んだ。

 Baidu と言えば、アリババ(Alibaba)やテンセント(Tencent)と並んで「BAT」という言い方があるくらい、中国のインターネット企業の頂点に立つ存在の一つである。しばしば「中国のGoogle」とまでたとえられる存在(もっともBaiduに思想や理念は感じられないが)であって、中国でインターネットにつながる人ならその検索エンジンを使ったことがない人はいないだろう。総帥であるロビン・リーの言葉は社会的にも大きな影響力がある。

 彼の発言とはこんな趣旨である。

 「中国のユーザーはプライバシーに対して敏感ではない。プライバシーと効率を喜んで交換する」

 この発言は興味深い。10億人近いユーザーを持つ中国有数のインターネット企業のトップが、要するに「中国のユーザーは自分にとって便利になる状況があれば、プライバシーを譲り渡すことに抵抗がない。それどころか、むしろ喜んで提供する」と認識していることになる。

 さらに彼は続けてこうも言っている。

 「ユーザーが提供してくれたデータが、より多くの便利さをユーザー自身にもたらせば、ユーザーはますます多くの情報を提供してくれるようになる。それによって我々はより多くの情報を活用できる。このことが我々の“やるべきこと”と“やってはいけないこと”を判断する基準になっている」

 つまり彼自身、ユーザーの個人情報の扱い方を、基本的に「便利になるか、ならないか」という基準で判断していることがわかる。

コメント26件コメント/レビュー

今回こそは、中国人の"面子"について書いてくれると思ったのに
又、お預けですね
結局、中国人の"面子"を潰さずに、中国人の"面子"を解説するのは無理なんでしょうね(2018/10/25 21:50)

オススメ情報

「「スジ」の日本、「量」の中国」のバックナンバー

一覧

「「中国すごい」の底にある個人情報への鷹揚さ」の著者

田中 信彦

田中 信彦(たなか・のぶひこ)

BHCCパートナー

90年代初頭から中国での人事マネジメント領域で働く。リクルート、大手カジュアルウェアチェーンの中国事業などに参画。上海と東京を拠点にコンサルタント、アドバイザーとして活躍している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回こそは、中国人の"面子"について書いてくれると思ったのに
又、お預けですね
結局、中国人の"面子"を潰さずに、中国人の"面子"を解説するのは無理なんでしょうね(2018/10/25 21:50)

 私が思うに、中国人も日本人もプライバシーに対する意識は低いと思います。ヨーロッパなんかと比べれば、日本では「プライバシー」という言葉を日本語に訳せていないわけですから。ただ中国と日本で差が出てくるのは過去の経済状況(戦後から現在に至るまでの)に差があったからでしょう。恵まれた日本においては犯罪や信用不安は起こりにくく、監視や個人情報の提供は必要ないと考えるようになる。犯罪が日本と比較して多い中国では、生きていくためにそれはやむおえないと考える。どちらも置かれた環境に適応するため損得勘定していることに変わりはないでしょう。故に、日本は中国の真似をすることはできないしその必要もない。しかしそれでは中国企業とのグローバル競争に勝つことはできないわけで、日本人も中国人と同じように損得勘定で「世界」という環境に適応しようとすれば、プライバシーの軽視を合理的に行わなくてはならなくなる。だがそれでは監視社会になってしまう。今が時代の岐路であることを感じさせられました。
 コメントに「1984年」を挙げてる人がいましたが、私の場合、伊藤計劃の「虐殺器官」が思い浮かびましたね。まあどちらも同じことですが(2018/10/25 20:29)

資本主義の水を飲んで育った人間にとっては、中国の蟻地獄のような勢力圏にだけは取り込まれたくないでしょうね。台湾や香港の人だってそう思っているから精一杯の抵抗をしているんです。
欧州では個人情報を取り戻そうと大手IT企業と戦いをしていますし、スコアが全て蓄積される仕組みでは、一旦道を誤った方がその後更生しても立ち直れなくなりかねません。
私自身、IT機器で不要な機能はオフにするなどプライバシーが漏れないように設定していますが、特定のSNSを強要してくる輩程、相手の立場になって物事を考えようとせず、持論をごり押ししようとするから性質が悪い。
こういう記事を読むと、多少不便でも自由万歳 資本主義万歳と声を大にして叫びたくなります。(2018/10/23 14:38)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

やることなすことうまくいって会社が楽しくなりました。

前澤 友作 ZOZO社長