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時代錯誤の価値観より「今」を教えよ

大山健太郎 アイリスオーヤマ社長

2018年5月1日(火)

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リーダーが語る教育論の第2回は、アイリスオーヤマの大山健太郎社長。19歳で家業を継ぎ、ペット用品から家電まで手掛ける異色企業に育てた。今年7月に社長の座を長男に譲る背景にも、自身の教育哲学がある。

(日経ビジネス2018年2月12日号より転載)

(写真=野口 勝宏)
Profile
1945年 大阪生まれ。漢方医の祖父から漢詩などを教わる*1
58年 父が大山ブロー工業所を創業し、8人兄弟姉妹の長男として中学生の頃から仕事を手伝う
61年 大阪府立布施高等学校に入学。映画部に入り、脚本を書き8ミリ映画を撮影した*2
64年 布施高校を卒業後、同年7月の父の急死で家業を継承し、大山ブロー工業所の社長に就任*3
71年 法人化に伴い、代表取締役社長に就任。養殖用のブイや育苗箱などを開発し、ヒットさせる
89年 本社を仙台市に移転
2013年 大阪R&Dセンターを開設。大手家電メーカーの退職者を受け入れる
18年 長男である大山晃弘取締役が7月1日付で社長に昇格する人事を発表
*1
*2 二列目右から2番目が大山
*3

 7月1日付で社長の座を長男の大山晃弘取締役に譲り、私は会長に退きます。1964年当時、19歳だった私はアイリスオーヤマの前身である大山ブロー工業所の社長に就きましたので、半世紀ぶりの社長交代となります。

 当社は株式を公開せず、創業の理念をきちんと引き継いでいくことを重視しています。3人の兄弟が経営幹部として会社を支え、会社は私たちの「家業」そのものです。当然、長男に経営者としての自覚や能力が身に付いたら、社長を引き継ごうと決めていました。

 私は仕事ばかりしていたので、子供の教育にはあまり関わってきませんでした。それでも、子供に言い聞かせてきたことがあります。それは、「今を知る」ことの重要性です。

 今は時代の変化がとてつもなく速い。オフィスコンピューターからパソコン、スマートフォンへと、昔だったら100年くらいの変化が10年くらいで起きています。AI(人工知能)が普及していくと、社会はもっと劇的に変わるでしょう。そのような時代に、過去の経験則はあまり役に立ちません。だからこそ、今起きていることを報じるニュースやその解説をしっかり読んで、過去よりも今、そして未来と向き合うことが何よりも重要だと教えてきました。

転ばぬ先の杖を与えるな

 私が過去より今を重視するのは、私自身の半生と密接に関係があります。
 私が若くして社長を継いだのは、会社を経営していた父を亡くしたからです。5人の工員と8人兄弟姉妹の家族が残され、長男だった私がみんなを養わなければならなくなりました。

 経営のことなど、何も分かりませんでした。父から経営の話を聞く機会は限られていましたし、助言してくれる人も周りにはいませんでした。経験に頼りたくても、できないのです。朝から晩まで、今、目の前で起きている課題に向き合い、自分で考え、がむしゃらに働く道しかありませんでした。

 当時は下請けの仕事が多く、経営は安定しませんでした。下請けから脱却しなければ会社を存続できないと考え、世の中は今、何を求めているかを必死に考えました。

 ヒントは身の回りにありました。私にとって最大の学びの場は、家庭でした。結婚したばかりの妻が庭いじりが好きだったので、妻の不満や要望をヒントに植木鉢やプランターなど様々な園芸用品を考えてヒットさせました。子供たちが犬を飼いたいと言い出した際には、市販の犬小屋はどれもベニヤ板でできていることに気が付きました。そこでカラフルで水に強いプラスチック製の犬小屋を作ったところ、爆発的に売れました。

 教育も同じでしょう。社会が求めている現実のニーズを知り、それにどう応えていくかを考えること以上に、大切な学びはあるでしょうか。

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「時代錯誤の価値観より「今」を教えよ」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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