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人間の強靭な精神は「絶望」と「遠回り」が生み出す

小林喜光 三菱ケミカルホールディングス会長

2018年5月2日(水)

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経済同友会の代表幹事や東芝の社外取締役を務める小林喜光氏。エリート街道を歩んできたように見えるが、その道は挫折の連続だった。絶望からはい上がるプロセスにこそ、人間本来の強みが存在すると説く。

(日経ビジネス2018年2月16日号より転載)

(写真=北山 宏一)
Profile
1946年 山梨県生まれ
62年 山梨県立甲府第一高校入学。詩や哲学の本を読みあさる*1
65年 東京大学に入学。その後、相関理化学修士課程を修了
72年 イスラエルのヘブライ大学に留学*2*3
73年 イタリアのピサ大学に留学
74年 三菱化成工業(現三菱ケミカル)に入社、触媒や光ディスクの研究に携わる
2007年 三菱ケミカルホールディングス社長に就任。事業の選択と集中を進める
12年 東京電力とジャパンディスプレイの社外取締役に就任
15年 三菱ケミカルホールディングス会長、経済同友会の代表幹事、東芝の社外取締役に就任
*1
*2
*3

 三菱ケミカルホールディングス会長のほかに、経済同友会の代表幹事、東芝の社外取締役を務めています。福島第1原子力発電所の事故後に実質国有化された東京電力の社外取締役として、経営再建を進めました。

 いずれも難題が多く、様々な批判にさらされてきました。しかしそれは、覚悟の上です。誰も拾わないような火中の栗を拾ってこそ、経営者やリーダーの価値があると思っています。いろいろ理屈をつけて断るより、どんなに忙しくても仕事が来たらとりあえず受けてみます。逃げてはいけません。難題に直面すると負けん気が出て、気持ちが奮い立つのです。

 いろいろな組織や団体を運営して改めて思うのは、世界は徹底した競争社会だという現実です。その中で、日本の若者が、戦い抜けるのでしょうか。最近は、おとなしい秀才が増え、挑戦するという機運が減退しているように感じます。その象徴が東京大学の出身者ではないでしょうか。

 日本のぬるま湯の環境につかった東大の秀才の8割はリーダーになる資質がないと見ています。東大を出て大企業に就職しただけで満足しているようにしか見えない若者が多いですから。親から用意された塾などで効率よく勉強し、小手先でごまかしてきた秀才は、絶対にリーダーになれないでしょう。

 これまでの教育では、記憶力があればいい大学に行けました。今はもうスマートフォンで何でも検索できるようになったので、記憶力だけでは通用しません。さらにAI(人工知能)が記憶力だけではなく、判断力すらも備え、人間の能力を代替する可能性が出てきました。

 人間がAIにはない価値を生み出すためには、人間らしい経験を積むしかありません。人間らしい経験といえば挫折です。もっといえば絶望ではないでしょうか。AIは絶望できません。絶望からはい上がるプロセスにこそ、人間本来の強みが隠されているはずです。

コメント8件コメント/レビュー

内容に強く同感します。海外で働いたことがありますが、日本はどんどん緩い方向に向かっているようで心配です。

高齢化などの時代背景もあり、国全体で挑戦することに対する意欲が弱っている気はしますが、一方で、意欲さえあれば若くても会社を作ったりする環境は整ってきています。やる気のある若者にとっては夢のような時代でもあります。このような記事がそういう若者および指導者の後押しになればいいと思います。(2018/05/04 15:45)

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「人間の強靭な精神は「絶望」と「遠回り」が生み出す」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

内容に強く同感します。海外で働いたことがありますが、日本はどんどん緩い方向に向かっているようで心配です。

高齢化などの時代背景もあり、国全体で挑戦することに対する意欲が弱っている気はしますが、一方で、意欲さえあれば若くても会社を作ったりする環境は整ってきています。やる気のある若者にとっては夢のような時代でもあります。このような記事がそういう若者および指導者の後押しになればいいと思います。(2018/05/04 15:45)

 「頑張れ、もっと頑張れ、挫折しても頑張れ、個人の成長も国家の繁栄もその先にある」ということだろうか。
 まあ、本当にそうなのだろうけれど、こうも思う。
 「そんな風に頑張らなくても済む国には、いつなれるのだろう?」

 筆者はアメリカやイスラエルのような国をベンチマークにしているようだが、何週間もバカンスが取れて通勤ラッシュとも無縁で、かつ経済指標上位の国はほかにいくらでもある。
 「そんな国になりたい」という望みも、日本国民は抱いていたのでは?
 (若者が起業せずに「寄らば大樹の陰」とすることばかりでそれが達成できるとも思わないけれど。)

 「自分はこれだけ頑張ったのに、今の若い奴が頑張らずに済まそうとしているのが気に入らん」というのは、気持ちとしてはわかるけれど、それでは若者を見るといじめたくなってしまう中高年の条件反射(これを指す適切な名称はないのだろうか)と変わらない。

 どうも「眉を決して身を削った生き方をするのが偉い」という見方が、日本を疲弊させているように思える。
 リスクを取ったほうが楽しくて充実した人生が送れるよ、という考えが広まらないものだろうか。(2018/05/04 03:54)

非常に共感すると同時に、ためになるコラムでした。
日本の大学で学生たちを指導した経験と、現在海外の研究所で働いている経験から、日本の将来を背負って立つ若者たちには、競争心、そして、嫌が応にも戦わなければならないグローバル化が進んだこの世界で戦い抜く力や視点が欠けていると感じており、とても心配です。
日本の教育はスキルを磨くという点においては質が高くて素晴らしいのですが、個々に考え、戦い抜く力やリーダーシップを養う点では世界で遅れを取っていると思います。(2018/05/03 16:37)

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