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“クレーム一番店”の店長が社長賞を取った理由

「成長したい、役立ちたい」は、万国共通の気持ちです

2017年1月26日(木)

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 2017年最初の「めしばな」です。ご挨拶が大変遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。

 昨年末にお話し(「『一流になる2つのコツ』をお教えしましょう」)した「てんやの年越し天ぷら」は、大晦日の風物詩として今回も大変多くのお客様にご購入いただきました。私も都内、都下で10店ほど回りまして、多くの行列に「ありがとうございます!」と、思わず手を合わせてまいりました。行列になってしまいお客様にはご迷惑をお掛けしますが、外食に携わる身としては、たくさんのお客様を見て心が震えてしまうことは、お許しいただきたいと思います。

 お正月は浅草のお蕎麦屋さんで、縁起物の獅子舞に頭を噛んでもらいました。もちろん、てんやの家内安全と商売繁盛を祈ってです。ええ、験は担ぐ方だと思います。あちこちにお参りに行って「世界と日本の平和」そして「てんやの成長」をお祈りしております。

 お正月といえば、もしかしててんやに行かれた方もいらっしゃるでしょうか。実は、元旦にお休みをいただいたてんやの店は、昨年より25店増えて、85店になりました。半分近い店舗が閉めていたことになりますね。

 大晦日という「1年で一番天ぷらが売れる日」を越えて、お客様が一段落することもあり、元日にお客様が少なくなる立地の店舗を中心に、お休みをいただくことにしました。

 ニュースで報じられたのでご存知かもしれませんが、ファミリーレストランチェーンのロイヤルホスト(編注:用松氏は同チェーンの親会社、ロイヤルホールディングスの執行役員・外食事業担当でもある)は、今月(2017年1月)末で、2店舗だけ残っていた24時間営業を完全に取り止めます。

 「人手不足への対応」という文脈で語られがちなんですけれど、実はもう6年前、2011年ごろからこの方向に舵を切っていました。ちょうどこちらでお話しした、ロイヤルホスト再建の一環として、「我々がこのレストランチェーンでお客様に提供しているのは何か」を問い直した結果なんです。当時の矢崎社長、黒須副社長が中心となって推進してきました。

「いつでも、どこでも、誰にでも」が我々の“常識”だった

 そもそもの話、チェーン店であることの意義は「いつでも、どこでも、誰にでも」利便性を提供することにありました。あちこちに店があり、色々な時間帯やシーン、気軽なお値段で使っていただけるようにすることで、より多くの人に豊かな生活を提供し、それによってビジネスも成長していく、というものです。これは個人店では無理で、外食の産業化を目指したチェーン店だからこその使命だったのです。私もそれを信じて仕事をしてきました。

(ちょっと余計な豆知識を申し上げますと、「ファミレス」は「ファミリーレストラン」の短縮形ですが、平日は家族でいらっしゃるお客様は案外少なく、週末に集中しています。「ファミリー」ではなく「ファミリア(familiar)」、お馴染みの、手頃なレストラン、のほうが正しい言葉なんじゃないか、と、たしかファミリーレストラン台頭期の1978年くらいの外食業界誌に書かれていたのを読んで、「そういうことなのか!」と、それ以来ずっと心に留めています)

 しかし、これはもう私が要約する必要もないくらい、時代が大きく変わりました。一律ではなく、チェーンごとに、どんなお客様に何を提供するのかを自ら定義しないと、生き残ることは難しい。ロイヤルホストの場合は「洋食を中心としたおいしい食事を楽しみたい方」がメインのお客様で、その方々に安定したサービスと商品を提供してくことが使命。そのためにも、従業員の働く環境をよくしていかねばならない。その取り組みを進めていく中のひとつとして「営業時間の見直し」があって、6年がかりでゆっくりと実施してきたわけです。

 「チェーン店としていつでもどこでも誰でも気軽にご利用いただく」というのは、我々にしっかり根付いた“常識”です。それを改めるのは、非常に大きな努力と時間が必要です。最初は、それを疑うだけでも「常識外れ」と思われてしまいますからね。ロイヤルホストの再建という、大きな転換期があったことが今につながっていると思います。

「ホスピタリティは、対等だから生まれる」

 かっこつきの“常識”といえば、飲食業で働く我々は、どうしても「お客様が主人(マスター)、我々は召使い(サーバント)」という、上下意識を持ちがちなんですよ。

 そんな我々に「ホスピタリティとは、お客様と我々が対等なパートナーシップを結ぶもので、対等であってこそ、心からのおもてなしが実行できる」と言って下さったのが、ずっとロイヤルグループのカスタマーサービスを指導してくださっている力石寛夫先生(※注)です。従業員が気持ちよく働けることが、お客様の満足度を上げ、企業の利益になるのだ、と。1980年頃最初にお会いした時は「お客様満足が一番で、従業員満足は二番」という感覚を持っていた私には「ん?」という感じでしたが、働いてくれる人が減り始める時代になって、その正しさがひときわ身に染みます。

(※)力石寛夫(ちからいしひろお)氏:トーマスアンドチカライシ代表取締役。経済産業省「おもてなし経営企業選」「産学連携サービス経営人材育成事業」の選考委員長、審査委員長を勤める。早稲田大学卒業後、米国ポールスミス大学ホテル&レストラン経営学部へ留学。卒業後、米国西海岸のマーク・トーマス・エンタープライズ社にて、マネジメント・トレーニングを受ける。帰国後、ホテル・外食・レジャー企業に対するコンサルティングとサービス業の人材育成を手掛ける。著書に『ホスピタリティ~サービスの原点~』(商業界)など。

コメント3件コメント/レビュー

CS重視のマニュアル対応では可もなく不可もなくを超えられないでしょう。
働いている人を大事にすることで内発的な改善を促していくことは重要だと思います。

大規模展開されている会社の経営者がESを意識してくれるのは明るい社会を作る原動力になりますので、今後も応援していきたいです。(2017/02/15 15:42)

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「“クレーム一番店”の店長が社長賞を取った理由」の著者

用松 靖弘

用松 靖弘(もちまつ・やすひろ)

テンコーポレーション社長

1955年、大分県生まれ。'77年3月に同志社大学経済学部を卒業し、ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。2011年にロイヤルホスト常務を経て、2012年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

CS重視のマニュアル対応では可もなく不可もなくを超えられないでしょう。
働いている人を大事にすることで内発的な改善を促していくことは重要だと思います。

大規模展開されている会社の経営者がESを意識してくれるのは明るい社会を作る原動力になりますので、今後も応援していきたいです。(2017/02/15 15:42)

接客・調理・レジという仕事で従業員が分かれているというのは人事の革新的問題に近いところです。会社の中で経営と社員とパートという分類は判りやすいが、実は従業員の中でも管理・営業、若年・中年・高年と分類される。特に年齢での社員の中での分断は非常に人的資源の有効利用と企業の継続性にとって大きな問題。しかし、これまでの企業経営者は人手不足という構造的問題に直面してこなかったからこれらの問題は放置されていたか、企業業績の悪化に伴うリストラというほかの原因の解決処理として見られていた。全ての社員と会社が共通の目標をもてない限りは解決されない。クレームが減少したことと調理のスタッフが接客に回ったことがその店舗と会社に寄与したなら、その店の従業員の収入の増加にも寄与したのでしょうか?そこのところが説明されていないとダメなのです。(2017/01/26 12:58)

これ、外国人を障害者に置き換えても同じことが言えるでしょうね。(2017/01/26 11:31)

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