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「てんや」がどんどん元気になった理由

会社の仕組みは「現場」のためにあるんです

2016年11月18日(金)

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 2012年の年明け、東日本大震災のショックはすこし薄れつつありましたが、世の中の雰囲気はまだまだ暗く、しかも、牛丼価格戦争に巻き込まれて4年が過ぎて、「てんや」の売上高は前年割れが続いていました。そんな中、私はてんやを経営するテンコーポレーションに、親会社のロイヤルホールディングスから2012年4月、社長として赴任しました。

 当時の外食は、といいますか当時の日本企業は、やりたいことをやる、というよりは、「我慢せよ」「脇を締めていけ」と、縮んで冬をなんとかやり過ごそうという構えだったと思います。てんやもそうでした。

 たとえば店舗を回ってみると、やはり若干痛んでいるんです。もともと油と粉を多く使い、油煙でべたべたして汚れが付いたりするので、劣化が起きやすいんですね。改装や掃除にコストを掛けたいところを、なんとかなるうちは“我慢”してきた。そして、新規出店も抑えて「それより、固定費を抑えるために賃料を交渉しよう」とやってきた。私が来た2012年に予定されていた新店は、1年以上前から決まっていた大型施設内のお店だけでした。新店は、家主さんにお願いしてOKをいただいてから半年から1年はかかりますからね。

 どれも経営側から見れば、もっともな施策です。でも、店を預かる店長たちの気持ちはどうなんでしょう。彼ら彼女らは、どんな顔をして私を迎えてくれたか。実のところ、最初の店長会議で顔を見ながら「若干元気がないかな?」とは思いました。それはそうですよね。体力に勝る牛丼チェーンに価格競争を仕掛けられ、新しい投資は抑えられ、業績は前年比マイナス、これでは盛り上がらないのは当然です。

 でも、前回も申し上げましたが、天丼、天ぷらはその世界だけで見れば競争相手がほぼ存在しない、非常に強いコンテンツです。「油」「揚げ物」へのマイナスイメージを突破して、とにかくお客様に一度お店に来て召し上がっていただければ、リピートしてもらえる魅力を持っている。現場が、その自信を失っていなければ成長する力は十分にある。これをなんとか伝えねばいけない。で、思わず、

「店長たちがしっかりお店を作っていけば、必ず良くなる。それに何より、私はいろんな職位、例えば店長、エリアマネージャーに、課長、部長、社長までやってきたんだけど、一番面白くてやりがいがあるのは店長と社長だ。ちょっと極端に言えば、会社の仕組みは、店長が主役になるためにできているからね」

店長と社長が一番楽しいワケ

 と、店長たちの顔を見ながら言ってしまいました。何を言い出すんや、という店長たちの目を見ながら、脳内では「言い切っちゃったけど、けっこうこれは正しいぞ」と自分で納得していました。社長と店長は結構共通点が多い。まず、店長は人を採用する権限がある。採用した人たちを教育し、調理・接客などでパフォーマンスを発揮してもらうのが大きな仕事。これがうまくいくと、お客様が喜んでまた来てくれる、繁盛店ができる。

 お客様が喜び、増えて、店の評判と売上が上がる。このサイクルの仕事ができるのはフルサービスの醍醐味です。ある種、商売の本質みたいなところがありますよね。

 社長は、残念ながら目の前にお客様が居ないのですが、その代わりに従業員を面接し、人事制度や研修で育てていって、社業に合わせて能力を発揮してもらい、全体では、会社を世の中に役立つようにしていく。結構似ていると思うんです。

 なおかつ、社長と店長の間にいる人達って、ここはあえて誤解を恐れずに言えば、店長というか、現場のサポート、店をよくするためのサポート部隊です。

 会社がどんなに立派でも、お客様には全く関係ありません。社長が多少面白くても、味やサービスには関係ない。てんやならば天丼、天ぷら。おいしくてサクサクで熱々の天ぷらが食べられること。それが一番大事であって、そういう意味では、店長たちこそが、お店こそが、てんやのブランドを作る根幹。その結果、業績が上がって社長が助かる。そういう意味で、一番面白いのは、店長と社長。他の人達はそれを助ける役目。

コメント2件コメント/レビュー

「満足」と「感動」のお話、とても腑に落ちました。
そして今、まんまと「てんやの日」の列に並んでいます。
スタッフも6名でスムーズに回っているようですね。(2016/11/18 12:37)

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「「てんや」がどんどん元気になった理由」の著者

用松 靖弘

用松 靖弘(もちまつ・やすひろ)

テンコーポレーション社長

1955年、大分県生まれ。'77年3月に同志社大学経済学部を卒業し、ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)入社。2011年にロイヤルホスト常務を経て、2012年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「満足」と「感動」のお話、とても腑に落ちました。
そして今、まんまと「てんやの日」の列に並んでいます。
スタッフも6名でスムーズに回っているようですね。(2016/11/18 12:37)

30代女性です。
社長の語り口がいかにも美味しそうで,先日はじめてお店に伺い,「黒マヨ鶏天丼」をいただきました。

正直なところ,店構えから世の中にたくさんあり和食系ファストフードの一つ,と認識しておりましたし,揚げ物に対する油の多さやカロリーの高さが気になって,足を運ぶ機会がなかったのですが,実際に食べてみて,この値段でこの味!?とびっくり。

これだったら多少カロリー過多でもいい!と思えるほどの美味しさでした。

今度の新作も気になっていますので,また伺いたいと思います。
これからも連載を楽しみにしております。(2016/11/18 09:17)

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