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起業家を目指すあなたに

成功には展開力を

  • 宮内 義彦

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2017年6月26日(月)

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 今回は、若きベンチャー経営者と、それを目指す大学生も含めた起業家志望の方々に向けて筆を執っています。かつて日本にはソニーやホンダ、京セラなど急成長で大企業になる例が多くありましたが、最近では少ないようです。米国と比べると若手経営者の成功例も、そもそも起業の事例もかなり見劣りすると言われます。この背景には大学生や若手のビジネスパーソンの職業観が影響していると考えられます。そこで起業のため、そしてその成功のためには何をすべきか、大学時代の過ごし方からベンチャー企業を軌道に乗せる方法までを考えてみました。

宮内義彦(みやうち・よしひこ)氏。オリックス シニア・チェアマン。1960年8月日綿實業株式会社(現 双日株式会社)入社。64年4月オリエント・リース株式会社(現 オリックス株式会社)入社。70年3月取締役、80年12月代表取締役社長・グループCEO 、2000年4月代表取締役会長・グループCEO 、03年6月取締役兼代表執行役会長・グループCEO、14年6月シニア・チェアマン(現任)。著書に『私の経営論』(日経BP社)

家業と事業は異なる

「日本は本当に起業家が多いですね」

 ある外国人からこのような指摘をされたことがあります。起業大国と言えば、シリコンバレーに代表される米国であり、日本はむしろ起業が少ない国と言われています。それがなぜと思いましたが、理由は街角にありました。喫茶店、パン屋、クリーニング店、書店など日本各地の商店街には多くの商店が並んでいます。それが外国人には「小さな起業」と映り、驚くようです。確かに、その意味では日本には起業家精神を持つ人々が多いとも言えます。

 一般に「起業家=IT(情報技術)長者」のイメージが強いですが、視点をサービス業に転じてみると、このような別の風景が浮かび上がります。

 人気があり繁盛している喫茶店は多いのですが、だからと言って店主が2店目を開くとは限りません。繁盛しているガソリンスタンドでも、オーナーにとっては「土地の有効活用でやっているだけ」という場合もあるのです。従業員は家族や親戚ばかりという場合も少なくありません。

起業に満足しないこと

 お伝えしたいことは、起業自体に満足しては、会社としての成長はできないということです。小さな起業はあくまで小さい経営に過ぎず、家業が生まれただけで事業とは異なります。

 起業する方は、それぞれに専門性やテーマを持っていると思います。そのアイデアを実行して形にするのは素晴らしいことですが、それだけでは持続的発展につながりません。「うまく事業が立ち上がったら、次はどのような手を打つのか」。このような展開力こそが、ベンチャー企業にはとても大切なのです。そうでないと、同業のライバルが出てきたり、唯一の事業に陰りが出てきたりしたときに手が打てないばかりでなく、上手くいったとしても家業にとどまってしまうのです。

 創業の精神はとても大切ですが、そればかりにこだわらないことも必要かもしれません。重要なのは展開力を高めることです。オリックスが高級ふぐ料理店を経営していることをご存じでしょうか。私自身もふぐ料理に関わるとは考えたこともありませんでした。しかし事業を広げるうちに手掛けることになりました。リース業からいきなり展開したわけではありません。リース事業をすると設備や資産の所有の仕方に詳しくなります。そこからさらに法人金融事業にも詳しくなっていきます。このようにして隣接する事業の知見を得るという「横展開の連続」で、思いもよらない飲食店経営にも乗り出したわけです。

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