• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

株主総会も1点差の試合も“怖い”から楽しい

植木義晴・JAL会長 vs 岩出雅之・帝京大学ラグビー部監督(上)

  • 日経BP出版局

バックナンバー

[1/4ページ]

2018年6月20日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 組織トップとして倒産のどん底からリーダーシップを発揮し、驚異的なV字回復を果たした植木義晴・JAL会長、大学ラグビーで前人未到の9連覇を継続中の岩出雅之・帝京大学ラグビー部監督。二人に共通するのは、業界の常識を次々と壊し、いまの時代に合った最強の組織と人材をつくりあげようとしていることだ。経営もラグビーも1回なら、時の運で勝つことができるが、勝ち続けるのは容易ではない。リーダーは勝ち続けるために、どのように組織や文化を変革していったらいいか、語り合ってもらった。(写真:厚地健太郎)

ピンチを楽しめる人こそ本物のリーダー

岩出:ラグビーなどのスポーツをすることをプレーと言いますよね。本来、プレーの定義は、何か無理をして言われたことをやるのではなく、それまでにスキルや準備を十分に積み重ね、難易度のやや高いことに対して、自分の感性を生かして創造性を発揮しながら挑戦することだと思うんですよ。僕は、試合で負けていて、選手たちが固くなっているなと思うとき、「いま楽しいだろ」ってよく言うんですよ。

植木:楽しいですよね。ピンチは。

岩出:「ここから楽しいぞ。その時間はすごく短いから、大事にしたほうがいいよ」とハーフタイムで言う。大学選手権の決勝では、1年間やってきたことが後半40分でもう終わってしまうわけですから。フロー状態に入ったら時間感覚がなくなり、あっという間に終わってしまいます。

植木義晴(うえき・よしはる)氏
日本航空代表取締役会長。京都府出身。1975年航空大学校卒業後、操縦士として日本航空入社。DC10運航乗務部機長、執行役員運航本部長、専務執行役員路線統括本部長などを経て、2012年2月から代表取締役社長。2018年4月より現職。父親は昭和の大スターで俳優の片岡千恵蔵さん。

植木:フライトの前日、予想天気図を見ると航路に二つ台風がいる。パイロットの中には、「何で明日、フライトが入っているんだろう」と嘆く者と、「明日台風だ、うれしいな」と喜ぶ者がいる。これはパイロット時代の話ですが、僕なんか、もう楽しくて、わくわくして仕方がない。

岩出:いまこそ、自分の腕の見せ所だと。

植木:「ここで実力を発揮するんだ、この状況で飛べるのはオレだけだ」と考える。いまだったらわかりやすいのは株主総会ですよ。どの社長に聞いても、「いやだ」「憂鬱だ」と言う。僕は、株主総会は「自分のショー」だと思っているんです。ぞくぞくする楽しさがある。それは怖いところがあるからですよ。だけど、それで成功したとき、ほかでは得られない喜びが得られる。

岩出:普通の人はそこをストレスと言うんですが、ストレスじゃないんです。ロッククライミングとか、危険と隣り合わせのスポーツは、フローになりやすい。危険性があってぞくぞくする。それが、普段は隠れている人間の潜在力を存分に引き出してくれると思うんです。ラグビーの試合でも、1点差の試合はすごく面白い。大勝しても、充実した楽しさがあまりないんですよ。ただし、大舞台の試合でピンチを楽しもうと思ったら、普段の練習やトレーニングで技術や体力を高いレベルまで引き上げるのと同時に、自分の心理状態をコントロールできるように普段から訓練したうえで、試合の時期に合わせて、自分の身の回り、心、身体を整えていかないといけない。鍛えるというよりも、整えるという言葉のほうが適切だと思います。たぶん、台風の時にも十分に整えて、飛んでいらっしゃると思うんですけど。

植木:そういうときのために普段から努力を重ね、120%の準備をします。

岩出雅之(いわで・まさゆき)氏
帝京大学ラグビー部監督、帝京大学スポーツ医科学センター教授。1958年和歌山県新宮市出身。1980年日本体育大学卒業後、教員となり、滋賀県教育委員会、公立中学、高校に勤務。1996年より帝京大学ラグビー部監督。2009年度全国大学ラグビーフットボール選手権大会で創部40年目に初優勝以来、9連覇を続けている。最新刊は『常勝集団のプリンシプル』(日経BP社)。

岩出:高いスキルを持つ人が高いチャレンジにトライしたとき、フローに入りやすくなることがわかっています。高いチャレンジを前にトライするか、逃避するか。スキルが足りないと自覚している人は逃避する。だから、ピンチを楽しむにはスキルを磨き、十分な準備をしないといけない。未知の局面に出合ったときにこそ、本当の面白さがあるんですが、その局面に出合うまでにどんな経験と準備を積んできているかが問われます。

植木:監督の本にも書いてあったけれど、困難を前にして「できるような気がする」と思う人と、そうじゃない人がいる。僕だって昔から困難を楽しんでいたかというと、そうじゃない。僕らで言えば、チェックフライトというのがあるんですが、自分の実力が100あったとしても、どう頑張っても最初のうちは50か60しか出ない。どうしたら自分の実力を出し切れるか、トライアンドエラーを毎回重ねていき、あるときにずどんと突き抜けて、100どころか120を達成する時が来る。それを経験した途端、二度と恐れがなくなるんですよ。ピンチのときのほうが、いい自分を発揮できるというふうに変わっていく。

 僕がいま、株主総会で一番いやなのが練習です。実際の会場で練習するんですが、小っ恥ずかしくて、あの時間はたまらなくいやですね。ぶっつけ本番でも、必ず120%の自分を演じてみせる自信はあります。

オススメ情報

「「最強の変革リーダー」対談」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

70年なんてまだひよっこ。100年、200年続く会社にしないといけない

森 雅彦 DMG森精機社長