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AI活用の勝敗分ける「データと人材」獲得競争

テクノロジーの地政学:人工知能(シリコンバレー編)

2018年6月20日(水)

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「Software is Eating the World」。

 この言葉が示すように、近年はソフトウェアの進化が製造業や金融業などさまざまな産業に影響を及ぼしています。そこで、具体的に既存産業をどのように侵食しつつあるのか、最新トレンドとその背景を専門外の方々にも分かりやすく解説する目的で始めたのが、オンライン講座「テクノロジーの地政学」です。

 この連載では、全12回の講座内容をダイジェストでご紹介していきます。

 講座を運営するのは、米シリコンバレーで約20年間働いている起業家で、現在はコンサルティングや投資業を行っている吉川欣也と、Webコンテンツプラットフォームnoteの連載「決算が読めるようになるノート」で日米のテクノロジー企業の最新ビジネスモデルを解説しているシバタナオキです。我々2名が、特定の技術分野に精通する有識者をゲストとしてお招きし、シリコンバレーと中国の最新事情を交互に伺っていく形式で講座を行っています。

 今回ご紹介するのは、第1回の講座「人工知能:シリコンバレー」編。ゲストは、ベンチャーキャピタル(以下、VC)の米Draper Nexusでゼネラル・パートナーを務める前田浩伸氏です。

次の覇者争い、カギは「データの精緻化」に

前田浩伸氏
大学を卒業後、1999年に住友商事へ入社。2004年からの約2年間、同社が米シリコンバレーに設立したベンチャーキャピタルPresidio Venture Partnersで働く。その後、2006年に米Globespan Capital Partnersへ転職。2014年にはベンチャーキャピタルの米Draper Nexusを立ち上げ、General Partnerに。現在は約250億円のファンドを運用しながらベンチャー投資を行っている。その過程で数々のスタートアップを見ており、近年は人工知能関連の企業動向にも精通する。

 人工知能(以下、AI)の進化がビジネスに与えるインパクトは、次世代モビリティ、ロボット、フィンテック、通信関係、エネルギー、IoT(モノのインターネット)など、多方面に及びます。そう遠くない将来、多くの産業に破壊的イノベーションをもたらすのは間違いないでしょう。

 ただ、そんなAI技術に過剰な期待を寄せる人が見受けられる一方、2018年現在はまだそこまでの進化を遂げていません。そこでまずは、AIビジネスの現在地と、解消するべき課題は何なのか? という点を前田さんに伺いました。

前田:Draper Nexusは現在、60社くらいに投資をしています。VCというのは、1社投資するまでに100社くらい見て判断するんですね。その中でもここ数年は、AIの技術をベースにしたビジネスを展開しているスタートアップを数多く見てきました。

吉川:スタートアップ界隈の動向調査を行っている米CB Insightsが2017年に出したレポート「THE STATE OF ARTIFICIAL INTELLIGENCE」によると、AI分野に対する投資案件は過去5年で4.6倍に伸びているそうです。AI関連のスタートアップが過去5年で受けた投資総額は$13,191 Million(約1兆4000億円)で、2016年だけでも約5000億円となっています。

前田:日本のスタートアップへの投資額は全体で3000億円弱くらいと言われているので、それよりも多いお金が、AI分野に投資されているというわけですね。ただ、年間で700件近くの投資案件がある中、VC業界でよく言われているのが、「このうちの多くは“スネークオイル”だろう」ということでして。

これは日本語で言う「ガマの油」で、何にでも効く万能薬として広まったものの、実際は何の効能もなかったという意味です。今は本当に多くの企業がAIを使ったサービス開発を進めているので、そのうちどれが“スネークオイル”で、どれが本物なのかを見極める目利き力が問われます。この分別は、我々VCの責務の一つになるでしょう。

シバタ:僕は2011年まで米スタンフォード大学で研究員をやっていたのですが、アカデミックな世界では僕が離れた後、つまり2012年くらいからディープラーニングの研究が本格化していたはずです。前田さんは、いつ頃が人工知能ビジネスの分岐点になったと思いますか?

前田:僕らが日ごろウォッチしている会社の中で、人工知能関連のスタートアップが急激に増えてきたのは2013~2014年ごろでした。ただその頃は、まだまだ眉唾だった気はします。成果が出始めたのは、2015年くらいからです。

 実際、Draper Nexusが投資した会社の中でも、うまくいっている会社と、そうでもない会社があります。この「当たり外れ」を通じて感じている課題の一つは、人工知能のビジネスは、きちんとしたデータフィードがあって初めて成立するものだということです。

 業界によっては、AIを学習させるのに必要なデータがまだまだ精緻化されておらず、余計なノイズが入ってしまっていることもあります。AI技術でビジネスをしていく上では、このデータをしっかりときれいな形で整えていくのが実はとても難しい。

 また、これに関連してもう一つ、VCの間でこの1年くらい非常に盛り上がっている話題があります。AIの進化に必要なデータを本当に細かいレベルで精緻化していく作業が、ユーザーのプライバシー保護の観点から非常に難しくなってきているということです。

 それゆえ、各社がどういう種類のデータを保持していて、そのデータの特性はさまざまな法的制限とどのようにかかわっているのか? をちゃんと理解した上でデータサイエンスを行っていく「データのガバナンス」が大事になっています。

 AIを使ったサービスを提供する際の倫理問題についても、まだ誰が責任を取るのかという線引きがあいまいですから、ここも整備しなければならないでしょう。

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「AI活用の勝敗分ける「データと人材」獲得競争」の著者

吉川 欣也

吉川 欣也(よしかわ・よしなり)

Golden Whales Inc. 創業者兼CEO

現在、Miselu社とGolden Whales社(米サンマテオ)の創業者兼CEO、GW Venturesのマネージングディレクターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

シバタ ナオキ

シバタ ナオキ(シバタ・ナオキ)

SearchMan共同創業者

自らシリコンバレーにてスタートアップを経営する傍ら、「決算が読めるようになるノート」も執筆中。経営者だけではなく、ビジネスパーソン(特に技術者)にも最新の決算が読めるノウハウを伝授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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