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「クルマのサービス化」日本の勝機はどこに

テクノロジーの地政学:次世代モビリティ(シリコンバレー編)

2018年7月4日(水)

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 「Software is Eating the World」。

 この言葉が示すように、近年はソフトウェアの進化が製造業や金融業などさまざまな産業に影響を及ぼしています。そこで、具体的に既存産業をどのように侵食しつつあるのか、最新トレンドとその背景を専門外の方々にも分かりやすく解説する目的で始めたのが、オンライン講座「テクノロジーの地政学」です。

 この連載では、全12回の講座内容をダイジェストでご紹介していきます。

 講座を運営するのは、米シリコンバレーで約20年間働いている起業家で、現在はコンサルティングや投資業を行っている吉川欣也と、Webコンテンツプラットフォームnoteの連載「決算が読めるようになるノート」で日米のテクノロジー企業の最新ビジネスモデルを解説しているシバタナオキです。我々2名が、特定の技術分野に精通する有識者をゲストとしてお招きし、シリコンバレーと中国の最新事情を交互に伺っていく形式で講座を行っています。

 今回ご紹介するのは、第3回の講座「次世代モビリティ:シリコンバレー」編。ゲストは、シリコンバレーで働き、現地の動向を日本に発信する有志のプロジェクト「シリコンバレーD-Lab」のメンバーも務めるデロイト トーマツ ベンチャーサポートの木村将之氏です。

2大トレンド「AI活用とMaaS」のゆくえ

木村将之氏
大学院修了後、有限責任監査法人トーマツに入社、スタートアップの株式公開やM&Aのコンサルティングに従事。2010年よりデロイト トーマツ ベンチャーサポートの第2創業に参画し、スタートアップと大企業のオープンイノベーションによる新規事業開発事業を立ち上げ、世界20カ国でのスタートアップ支援体制を構築。2015年からシリコンバレーでマネジングディレクターを務め、モビリティ、金融、製造業関連企業のシリコンバレーでのオープンイノベーションプロジェクトを多数手掛ける。

 トヨタ自動車やホンダ、日産自動車のようなグローバルなメーカーが複数ある日本では、自動車関連のニュースを目にする機会が多いでしょう。近年の注目領域である「電気自動車(以下、EV)」や「自動運転」についての情報も、多く出回っていると思われます。

 しかし、今、各種モビリティの進化で最先端を走っている場所を挙げるなら、日本ではなくシリコンバレーになるでしょう。その背景を読み解くカギは、この地で研究開発が進むソフトウェアやインターネットの技術と、モビリティの融合にあります。

シバタ:木村さんが参加している「シリコンバレーD-Lab」が2017年3月にまとめた、自動車業界の最新トレンドに関するレポートは、今までに17万ダウンロードもされたそうですね。

木村:はい。思っていた以上にダウンロードしていただきました。面白いことに、レポートを自動車業界以外の方々にもたくさん読んでいただきました。自動車業界で起こっているデジタル化の流れは、他の業界にも共通しているからだと推測しています。

シバタ:今日は、ぜひその「自動車に起こっているデジタル化の流れ」について詳しく聞かせてください。

木村:いくつかトピックスを挙げると、一つ目のトレンドはやはり人工知能(以下、AI)の活用です。今まで人間がやってきた「運転」という行為を、AIを使って自動化したり、地点間の移動を最適化するようにサポートするようなものを「次世代モビリティ」と呼んでいて、主に

  • 超人的な副操縦士として運転者を助ける
  • 人間では不可能な運転が可能となる
  • 人々の移動を革新する
  • 都市部で無秩序に増える駐車場の必要性を引き下げる
  • 人手不足の地方の運転手問題を解決する

 といったことを目的に開発が進んでいます。日本の方々にもなじみのある事例だと、トヨタ自動車が発表したモビリティサービス専用EV構想「e-Palette Concept」などがあります。

自動運転技術を活用して移動や物流、物販などさまざまなサービスに対応していく構想だというトヨタの「e-Palette Concept」

シバタ:次世代モビリティを語る上で、もう一つ大事な流れがMobility-as-a-Service(以下、MaaS)だと思うのですが、木村さん、解説をお願いしてもいいですか?

木村:MaaSをひと言で説明するなら、「クルマを含むモビリティ自体をサービス化させる」という取り組みです。あらゆる移動手段を活用し、地点間の移動を最適化させるようなサービスを指します。

 例えば、日本でも知られているライドシェアサービスの米Uberなどは、MaaSの代表例でしょう。彼らは、複数のコンピュータ端末同士が自律的に通信するPeer to Peerをベースに、ある人がA地点からB地点に移動するプロセスを最適化していますよね?

 日本だと、実際に移動手段を提供しているわけではありませんが、移動を最適化するという観点から、ナビタイムジャパンが提供しているルート案内サービスの「NAVITIME」なども、MaaSに含まれます。

 そして、近年はこのUberとNAVITIMEを合わせたような「複合型」も台頭してきました。フィンランドに拠点を置くMaaS Global社は、A地点からB地点の行き方を入力すると、その経路にあるシェアバイクや公共交通機関をすべて最適化してレコメンドし、利用する交通手段の決済までやってくれるアプリ「Whim」を提供していて、世界の注目を集めています。これなんかは、まさにエンド・トゥー・エンドでいろいろな移動手段を複合して提供するというMaaSの最新形だと思います。

吉川:確か、アメリカの自動車業界でビッグ3の一つである米Ford Motorは、今後の成長戦略の軸にMaaSを掲げていましたよね?

木村:そうですね。2014年7月からMark FieldsがCEOに就任してからこの概念を提唱し始め、2015年のCES(毎年1月にアメリカで行われる国際的な先端技術見本市)で「クルマの製造会社からMaaSの会社になる」と宣言したのは記憶に新しいです。

シバタ:MaaSが今以上に広がりを見せると、これまで自動車メーカーが持っていなかった(もしくは持っていたが強くはなかった)ソフトウェアやAIアルゴリズムの開発力がとても重要になりますよね?

 そんな背景もあってか、シリコンバレーでは2015年くらいまで比較的静かな印象だった自動車関連のスタートアップも、この1~2年で急に活性化しています。

木村:おっしゃる通りです。私がシリコンバレーで活動を始めたのが2015年からで、翌年の2016年初頭にトヨタ自動車がTRI(Toyota Research Institute)という研究所を作ったんですね。これは、シリコンバレーのスタートアップが持つAIをはじめとした最新テクノロジーが、次世代モビリティ開発に必要不可欠だという考えの表れだったと思うんです。

 実際、膨大な量のクルマの走行データを解析して自動運転支援システムを提供しているシリコンバレーのAI企業Nauto(ノート)には、トヨタの他、独BMWや日本のソフトバンクなども出資しています。こうして世界の大企業がシリコンバレーの自動車関連スタートアップに目を向け始めたことで、出資や提携が進み、エコシステム(産業を取り巻く環境、生態系のこと)全体が盛り上がってきたのだと思います。

コメント3件コメント/レビュー

自動車メーカーの権利を制限する内容の法案が出てきていますよね。そこら辺がどうなるか注目したい。(2018/07/04 20:26)

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「「クルマのサービス化」日本の勝機はどこに」の著者

吉川 欣也

吉川 欣也(よしかわ・よしなり)

Golden Whales Inc. 創業者兼CEO

現在、Miselu社とGolden Whales社(米サンマテオ)の創業者兼CEO、GW Venturesのマネージングディレクターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

シバタ ナオキ

シバタ ナオキ(シバタ・ナオキ)

SearchMan共同創業者

自らシリコンバレーにてスタートアップを経営する傍ら、「決算が読めるようになるノート」も執筆中。経営者だけではなく、ビジネスパーソン(特に技術者)にも最新の決算が読めるノウハウを伝授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

自動車メーカーの権利を制限する内容の法案が出てきていますよね。そこら辺がどうなるか注目したい。(2018/07/04 20:26)

煽り運転なんてものが存在しない世の中が待ち遠しいです。(2018/07/04 14:38)

バスに乗りたい人がアプリを操作してルートも時刻表が刻々と変わる、という新サービスが面白い。日本の田舎の方でこそ役に立つサービスだろう。デジタル格差を考慮して、スマホを持たない人用にバス停や家庭へ呼び出しボタンを置き、音声ガイドで行先を訊いて調整するとか、直ぐにでも出来そうですが…(2018/07/04 12:28)

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