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「北京の空を青くした」中国クルマ革命の凄み

テクノロジーの地政学:次世代モビリティ(中国編)

2018年7月11日(水)

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 「Software is Eating the World」。

 この言葉が示すように、近年はソフトウェアの進化が製造業や金融業などさまざまな産業に影響を及ぼしています。そこで、具体的に既存産業をどのように侵食しつつあるのか、最新トレンドとその背景を専門外の方々にも分かりやすく解説する目的で始めたのが、オンライン講座「テクノロジーの地政学」です。

 この連載では、全12回の講座内容をダイジェストでご紹介していきます。

 講座を運営するのは、米シリコンバレーで約20年間働いている起業家で、現在はコンサルティングや投資業を行っている吉川欣也と、Webコンテンツプラットフォームnoteの連載「決算が読めるようになるノート」で日米のテクノロジー企業の最新ビジネスモデルを解説しているシバタナオキです。我々2名が、特定の技術分野に精通する有識者をゲストとしてお招きし、シリコンバレーと中国の最新事情を交互に伺っていく形式で講座を行っています。

 今回ご紹介するのは、第4回の講座「次世代モビリティ:中国」編。ゲストは、上海を拠点に日中でのスタートアップ支援と大企業向けオープン・イノベーション支援のアクセラレーター事業を展開している「匠新(ジャンシン)」の創業者CEO、田中年一氏です。

EV「普及と発展の震源地」が生まれた理由

田中年一氏
東京大学工学部・航空宇宙工学科を卒業。Hewlett Packardで大企業向けエンタープライズシステム開発・販売に従事した後、デロイト トーマツに転職。12年間、M&Aアドバイザリーや投資コンサルティング、IPO(株式上場)支援、ベンチャー支援、上場企業監査などに従事。うち2005年~2009年の4年間はデロイトの上海オフィスに駐在し、中国企業の日本でのIPOプロジェクトや日系現地企業の監査、投資コンサルティング業務などを手掛ける。2013年に独立して「匠新(ジャンシン)」を創業。米国公認会計士、中国公認会計士科目合格(会計・税務)。

 トヨタ自動車やホンダ、日産自動車といった世界的大手が名を連ねる日本では、電気自動車(以下、EV)の話題も国内メーカーや米Teslaのような欧米のメーカーが中心になりがちです。

 しかし、EVの普及率を見れば、現在は中国のマーケットを外して語るわけにはいきません。その理由と、現地で台頭するEVメーカーの動向を田中氏に聞きました。

シバタ:中国自動車工業協会が2018年1月に発表した調査内容によると、中国の2017年新車販売台数は約2888万台で9年連続世界一となっています。

 その中でも、EVを中心とする「新エネルギー車」の販売台数は、対前年比53.3%増の78万台と大きく伸びているようです。ただ、販売台数全体の中で、新エネルギー車が占める割合はまだ2%未満。この現状をどう見たらいいのでしょう?

田中:2%という数字を低く感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、中国はマーケット規模そのものが大きいので、現段階でもグローバルなEVシェアでは中国が約半数を占めています。

 この勢いは2018年に入ってさらに強まっており、1月~3月の第一四半期でのEV販売台数を見ても、全世界で中国だけが対前年同期比で2倍以上の伸び率となっています。

シバタ:中国政府は、大気汚染対策に力を入れる一環で、EV販売率を2025年までに20%台に引き上げるという計画を発表しています。この伸び率の背景には、政府の発表の影響もあるのですか?

田中:そうですね。近年は中流階級の人たちが自動車を買い始めているので、マーケット全体が伸びていて、ガソリン車も相当売れています。それで大気汚染問題が顕在化し、規制がかかるようになった一方、EVは購入時に補助金が出るなどの支援を受けています。だからEVの購入率も加速度的に伸びているのです。

 「新能源汽车行业研究报告地域」という調査レポートによると、中国国内における2017年上半期の新エネルギー車販売台数でトップ6に入っているのは、北京市、上海市、深圳市、杭州市、広州市、天津市なんですね。この6都市は「限定購入」といって自動車の購入について月間販売台数などが制限されており、一方でガソリン車による空気汚染の問題を解消するため「EVであればそういった購入規制の対象外とします」というのをやっているんです。

シバタ:中国は人工知能(以下、AI)分野やモバイルペイメントの開発・普及でも注目されていますが、これらの分野もEVの普及と同じく、何らかの国策の下で発展してきました。中国は、こういう「地政の作り方」が非常にうまいですよね。

田中:問題を解決しつつ、新しい分野の産業を上手に成長させていますよね。例えば、深圳では公共バスが100%EV化していて、これを支えているのは深圳に本拠がある自動車メーカーのBYDです。

シバタ:こうした状況ですから、中国ではEV関連のスタートアップもたくさん出てきています。お二方が特に注目している企業はどこですか?

吉川:僕はEVメーカーのBYTON(バイトン)とNIO(ニオ)です。両社とも、米Teslaの対抗馬として注目を集めていて、Tesla車より安いんですね。また、BYTONのクルマは液晶のインパネが広くて、面白い作りになっています。

BYTON車の液晶インパネ(同社Webサイトより)

 日本では、SUVのEVでTeslaに対抗するようなスタートアップが出てくる雰囲気すらありませんよね。でも、中国ではスマートフォンの時と同様に、世界のトップ企業と伍して戦おうと意気込むスタートアップが台頭しています。彼らの動きは非常に面白いです。

田中:この2社に加えて、2018年6月に上海で行われた「CES Asia」(毎年1月にアメリカで行われる国際的な先端技術見本市のアジア版)では、小鵬汽車(Xpeng Motors)というEVメーカーも注目されていました。同社には、中国EC大手のAlibaba Groupや台湾の電子機器メーカーFoxconn Technology Groupなどが投資をしています。

シバタ:Xpeng Motorsの例しかり、中国ではIT御三家と呼ばれる「BAT」(検索サービス大手のBaidu、EC大手のAlibaba、SNS大手のTencentの3社の頭文字を取った造語)の影響力がさまざまな産業に波及しています。EV分野でも、BATによる投資が盛り上がっているのですか?

吉川:はい。BATに加えて、中国のライドシェア最大手である滴滴出行(Didi Chuxing。以下、Didi)も加えた4社が、どんどんEV分野に投資をしています。

田中:BAT+DidiがEV分野にも積極的に投資しているのは、自動運転技術の開発とも密接に関係しているのではないかと思います。特にAI開発ができるエンジニアの採用など、そういったところで、自動車メーカーとIT企業はどんどん深い関係になっていると感じています。

コメント3件コメント/レビュー

「北京の空を青くした」という標題と中身が全く違う記事です。
北京の空を青くしたのはEVではなく、石炭を使用する旧式の発電所
と旧式の製鉄所を徹底的に取り締まったからでは?(2018/07/11 09:29)

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「「北京の空を青くした」中国クルマ革命の凄み」の著者

吉川 欣也

吉川 欣也(よしかわ・よしなり)

Golden Whales Inc. 創業者兼CEO

現在、Miselu社とGolden Whales社(米サンマテオ)の創業者兼CEO、GW Venturesのマネージングディレクターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

シバタ ナオキ

シバタ ナオキ(シバタ・ナオキ)

AppGrooves / SearchMan共同創業者

自らシリコンバレーにてスタートアップを経営する傍ら、「決算が読めるようになるノート」も執筆中。経営者だけではなく、ビジネスパーソン(特に技術者)にも最新の決算が読めるノウハウを伝授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「北京の空を青くした」という標題と中身が全く違う記事です。
北京の空を青くしたのはEVではなく、石炭を使用する旧式の発電所
と旧式の製鉄所を徹底的に取り締まったからでは?(2018/07/11 09:29)

自転車のシェアは日本でもやり方次第で受けると思うんですがね。
駅前の放置とか、膨大な駅前の敷地を個人の自転車の駐輪のために使うとか、無駄にしか見えない。
全部シェアにしてしまえばすっきりしそう。
自転車を販売している会社は、シェアに使う自転車のメンテとかに関わればいいのでは。

それから、中国は知財の扱いがとても雑なので、いい意味で次から次へとコピー商売するには障壁が無いんですが、知恵を絞った成果に結果がついて来ないので、自分では考えようとしないのではという点が気になります。

しかし、北京の空が青いのは画像加工ではないんですよね。号令かければ従わざるを得ない中国では、出来ないほうがおかしいと思います。(2018/07/11 08:59)

シェアの慣習で共有資産をお互いに大事に使おうという意識が中国人に芽生えれるかどうかが最大の関心点です。自転車のライドシェア、盗難・放置・破損。自分のモノではないから大事に使わないという国民性が是正されることは周辺国にも有難い。公共のモノは自分のモノ、しかしその面倒は公共が行うべきという、未発達な道徳観は世界に問題を広げている。新し物好きというのは理性ではない。持続して運用できるかが理性。理性の無いところには道徳は育まれない。(2018/07/11 07:35)

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