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五輪を機に生まれた「幸せへの投資」事業とは?

ロンドンに見る五輪レガシー〜幸せへの投資編(上)

2017年1月10日(火)

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 2012年のロンドン大会を通じて五輪の「レガシー」について考えるシリーズ。「ボランティア編」と「地域開発編・巨大滑り台」の動画のバックには、「White Light(ホワイト・ライト)」という曲を使用している。これは、オリンピックにインスパイアされて書かれた曲だ。作曲したのはロンドン在住のアーティスト、ベン・ブリックスリー氏(30歳)。本名はベン・ブラウン氏だ。ブラウン氏は2012年ロンドン大会における文化プロジェクトに自作した「ホワイト・ライト」を提供するなどして貢献。英エリザベス女王やポール・マッカートニー氏から表彰された。こうした活動をきっかけに聖火リレーにも参加している。

 五輪にインスパイアされて生まれたもう一つの曲「Indelible Fire(忘れ得ぬ炎)」を演奏してもらった。(動画)

 ロンドン大会は人生を変え、また辛い時期を支えてくれたものでもあったとブラウン氏は語ってくれた。現在、五輪を契機に生まれた事業「スピリット・オブ・2012」というNPOに、ブラウン氏は勤務している。「幸せに投資」するというこの事業は、一体どんなものなのか。前編は、2012年当時、まだ学生だったブラウン氏に聞く。

まず、「Indelible Fire」という曲について教えてください。

ベン・ブラウン氏(以下ブラウン氏):Indelible という言葉には「足跡を残す」という意味もあります。ロンドン大会の締めくくりを飾るための文化イベント用に依頼された曲でした。いろいろな比喩はあるのですが「五輪の炎が消えても、その火花は人々をインスパイアし続ける。そして、その人たちがまた何かを成し遂げ、それがまた誰かをインスパイアしていく」というものです。Indelible Fire の中には、「世界は太陽の周りをめぐる/人生の光を紡ぐ」という歌詞があります。めぐりめぐる光の糸とでも言うのでしょうか。炎は世界各地で受け継がれ、人々をインスパイアし続けていく。この曲は大会の集大成として、イングランド北西部で演奏しました。

どんなことをイメージして書いた曲なのでしょうか?

ブラウン氏:光に関連する多くのことですね。消えゆく炎と、そこから派生していく火花たち、そこからさらなる光が生まれていく。歌詞には「瞳の中の炎/男の子と女の子の目/それが世界をつないでいく」というものがあります。それは、大会を見てインスパイアされる人たち、参加する人たち、そして、その人たちがもっと多くの人々をつないでいく姿をイメージしました。

 人生は困難なもので、一人ひとりが歩む道のりは楽なものではありません。しかし、私は「自分の中の光が、導きとなるように」と書きました。「炎を灯せ」という言葉も歌詞に入れました。炎は永遠に、あなたの中で燃え続ける、という意味を込めて。火花は自分の外側から受け取るものですが、内なる心に火を灯し、そして他の人たちをインスパイアしていくのです。

 曲の中盤では、大会中に実際に起きたことを基に書いています。「湖に命の火が灯り」というのは、北部イングランドであった花火のことで、湖がライトアップされていました。「夜空に浮かぶ虹」というのは、(北部の街)プレストン上空にかかった虹。「不死鳥が再び舞う」というのは、大会がまた他の国で開催され、消えない炎を起こすこと。五輪がさらに人々をインスパイアし続けることを意味します。

草の根の活動が認められて聖火ランナーに

ブラウンさんは、楽譜が読めないのですよね?

ブラウン氏:耳で作曲しています。リバプールのパフォーミング・アーツ研究所で音楽を学びましたが、楽譜は読めないのです。読めるようになりたいのですが(この曲を譜面にしてくれと言われても)できないのですよ、書けないのです。あれが譜面になっていて、目の前にあっても分からないと思います。

 ブラウン氏は6〜7歳の頃、ピアノを習い始めた。家には常に何かしら楽器があり、両親も音楽を志すことを勧めたと言う。大学生になったブラウンさんは、五輪開催に共鳴を受け「バルーン」という五輪の価値観について書いた曲を作曲し、友人らと共に大学で「バルーン・プロジェクト」を立ち上げた。歌や踊りなど、アートを通じて五輪の理念を、小・中学生や、若い人たちと共に共有しようというものだ。

 当初は2日で終わるはずだったが、次第に多くの人たちがコーラスなどで関わるようになり、3年にもおよぶ大プロジェクトに発展した。これがイングランド北西部の文化オリンピアード担当者の目に留まり、地域の五輪文化フィナーレのイベントの一部となるべく「忘れ得ぬ炎」の作曲を依頼された。

 この功績が認められて数々の賞を受賞するに到り、ブラウンさんは聖火ランナーにも抜擢された。

ブラウン氏:(聖火ランナーには)同僚に推薦されました。コミュニティに変化をもたらしている人を推薦するというキャンペーンがあって、ノミネートされたのです。幸運にも選んでいただき、走者となることができました。すごいことでした。

 当時運営していたプロジェクトが大きかったと思います。若い人たちを、アートを通じてインスパイアするもので、これからどう人生を輝かせるか。五輪の持つ価値観を反映し、モチベーションや献身性を養うといった試みに大勢の人たちが参加し、彼らを巻き込んでいたので、これが功を奏したのかなと思います。

聖火ランナーとしての経験はどんなものだったのでしょうか?

ブラウン氏: 二度とはない、一生に一度の体験ですね。数百人の人たちが応援してくれるという、ものすごい体験で象徴的なできごとでしたが、記憶がぼやけてしまっていてはっきり覚えていません。大勢の人たちが歓声をあげ、大きな誇りを感じたことを覚えています。自分のやっていることをこんな形で認めてもらうことはめったにないですし、英国の大会では、全国から様々なことを達成した人たちをノミネートするという状況だったので、とてもインスパイアされました。

 リレーでは、前の走者が自分のトーチに火を灯してくれます。この時「ものすごい瞬間だ」と感じました。人々の叫び声もすごかった。動悸も、そして走りも早すぎて、一瞬で終わってしまった気がします。とても誇りに感じた瞬間でした。できることならもう一度くらい走って、その感覚を記憶したいですね。

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「五輪を機に生まれた「幸せへの投資」事業とは?」の著者

伏見 香名子

伏見 香名子(ふしみ・かなこ)

フリーテレビディレクター(ロンドン在住)

フリーテレビディレクター(ロンドン在住)。東京出身、旧西ベルリン育ち。英国放送協会(BBC)東京支局プロデューサー、テレビ東京・ロンドン支局ディレクター兼レポーターなどを経て、2013年からフリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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