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超不人気会社を超人気会社に変えた2つの言葉

グリット=努力・根性・忍耐・情熱を嗤うな(3)

2016年12月15日(木)

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 米国ではここ数年、成功を収めるための最も重要な要素として「グリット」が注目を集めている。その意味は、努力・根性・忍耐・情熱。人生で成功するには、IQの高さや天賦の才よりも、グリットのほうが重要であることが、科学的にも裏付けられている。米国でも(日本でも)、かつては、グリットが尊重されていたが、つい最近まで、天賦の才や優れた容姿、富を持った人が称賛され、努力や忍耐は軽んじられる傾向にあった。しかし、その流れが変わりつつあるという。『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』の共著者のリンダ・キャプラン・セイラー氏に、グリットを職場に定着させる方法を聞いた。

(肥田美佐子=NY在住ジャーナリスト)

 企業の経営者やリーダーにとって、部下にグリットを持って仕事をしてもらいたいと思うのは当然のことだろう。そのためには、まず、成功を自分だけの手柄にしないことが非常に重要だ。私も実践していたことだが、アイデアのヒントのみを投げ、誰かが(私と)同じアイデアを提案してくるまで、数分待つ。チームの誰かが、そのアイデアを提案してきたら、「素晴らしい」と、言葉をかける。

 なぜか。これは自分が出したアイデアだと、その人に思ってもらいたからだ。クライアントと仕事を進めていく際、一緒にプロジェクトを進めているという姿勢で常に臨んでいた。自分がどれだけクリエイティブなアイデアを持っていても、スタッフたちの意見を取り入れ、「あなたのおかげで、数段よくなった。私たちみんなで成し遂げたのだ」と労をねぎらうことが欠かせない。

リンダ・キャプラン・セイラー
1997年に広告代理店キャプラン・セイラー・グループをロビン・コヴァルと共同で創業し、CEOに就任。パブリシス・キャプラン・セイラー(現・パブリシス・ニューヨーク)の会長も務めた。コダック・モーメント、アフラックのアヒルのCMなど、有名な広告キャンペーンを数多く手がけ、アメリカの「広告の殿堂」入りを果たす。リンダたちが手掛けたアフラックのアヒルのCMによって、アフラックの知名度は3%から96%に跳ね上がった。現在は、長年続けた広告代理店の仕事から離れ、大学などで主にグリッドに関する講演活動を行っている。最新刊は『GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」』(ロビン・コヴァルとの共著、日経BP社)。

アフラックのアヒルCM誕生秘話

 アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)は、アヒルのキャラクターですっかりおなじみだ。15年前、テレビコマーシャル制作のコンペに加わらないかと同社から電話をもらったとき、その社名を知る米国人は、ほとんどいなかった。広告に巨費を投じていたにもかかわらず、国内での知名度は、わずか3%だった。

 テレビコマーシャルの長さは30秒。会社側からは、保険契約のことはもちろん、同社と加入家族との関係、保険の重要性など、いろいろな要素を盛り込みたいという要望があった。

 私は、アピールしようとすることが多すぎるから広告の成果が上がらないのだと考えた。広告で訴えることは、1つにとどめるのがいい。

 同社とのミーティングを終え、私は、ダン・アモスCEO(現在はCEO兼会長)にこう尋ねた。

 「会社のことで、夜も眠れないくらい心配なことは何ですか」

 すると、アモスCEOはこう答えた。

 「友達も親せきも社名を覚えてくれないことだ」

 これで訴求ポイントが一つに絞りこまれた。

 「米国中の人たちが『アフラック』の名前を覚えてくれるようなキャンペーンを考えてみせます」と言うと、アモスCEOは、「屋根の上でイカれた男が踊りを踊る広告でもかまわない。みんなが名前を覚えてくれそうなアイデアなら、君の会社に任せるよ」と言ってくれた。

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「超不人気会社を超人気会社に変えた2つの言葉」の著者

肥田 美佐子

肥田 美佐子(ひだ・みさこ)

ニューヨーク在住ジャーナリスト

「ニューズウィーク日本版」編集などを経て1997年、渡米。米広告代理店などに勤務後、独立。08年、ILOメディア賞受賞。米経済、大統領選など幅広く取材。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官