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燃料電池車の普及に動き出した上海市の思惑

トヨタ・ホンダにも好機、中国全体が「EV一色」ではない

2017年12月21日(木)

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EVで出遅れている上海汽車もFCVには早くから研究開発に取り組み、2014年の北京モーターショーでFCV「栄威950(Roewe950)」を一般公開した(写真:Imagine China/amanaimages)

 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーⅡ』で描かれた30年後の未来を現実に迎えた2015年10月21日、トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」が米国で発売された。主人公マーティ役のマイケル・J・フォックスと天才科学者ドク役のクリストファー・ロイドを起用したプロモーションビデオは、「YouTube」の再生回数が数百万回を超えるなど、注目の高さをうかがわせた。

 そのFCVに今、激しい逆風が吹いている。世界各国で新エネルギー車(新エネ車)を推進する規制が相次ぐ中、世界の主要自動車メーカーがFCVではなく、電気自動車(EV)へとシフトしているからだ。

 2016年に米国を超え、世界一の新エネ車市場へと躍進した中国においても、その動きが鮮明となっている。中国自動車工業協会の統計によると、2016年の新エネ車販売台数は50.7万台で、その内訳はEVが8割、プラグインハイブリッド車(PHV)が2割となっている。一方、中国国内で販売実績がほとんどないFCVは統計データすら存在しない。

 今年に入り外資系自動車メーカー各社も、中国国内における新エネルギー車の生産・販売の計画を矢継ぎ早に発表しているが、その中心はEV、PHVだ。グループ全体の売上高の約4割を中国で稼いでいる独フォルクスワーゲン(VW)は2025年に中国で150万台のEVを販売する目標を掲げた。

 米ゼネラル・モーターズ(GM)は2020年までに新エネ車を10車種投入予定で、2025年までに年間販売数50万台を目標に掲げている。ルノー・日産アライアンスも東風汽車と合弁会社を新設し、中国市場向けにEVの共同開発を行う計画である。

 EV一色に染まっているように見える中国であるが、個別の都市に目を向けると異なる様相が見られる。例えば、上海市で進むFCV普及計画だ。

「上海市燃料電池車発展計画」の概要

 2017年9月20日、上海市発展改革委員会、上海市科学技術委員会、上海市経済・情報化委員会が連名で「上海市燃料電池車発展計画」を発表し、短期、中期、長期の具体的数値目標が明らかとなった。

 短期(2017-2020年)目標では、FCVのバスやトラックのテスト普及を積極的に推進し、水素ステーションを5~10か所、FCV乗用車模範エリアを2カ所建設し、FCV普及台数を3000台にする。また、FCV関連企業を100社以上集積させ、水素エネルギー・燃料電池技術の研究開発センターとFCVテストセンターをそれぞれ1カ所ずつ設け、関連産業で年間生産額150億元(約2500億円)以上を目指す。

 中期(2021-25年)目標では、水素ステーションを50カ所建設し、FCV乗用車を2万台以上、バスやトラックなどの特殊車両を1万台以上にする。また、国際的に影響力のある完成車メーカーを1社、動力系統企業を2~3社、コア部品企業を8~10社育て、世界トップ3に入る研究開発および公共サービス機関を2社にし、関連産業で年間生産額1000億元(1兆7000億円)以上を目指す。

 長期(2026-30年)目標では、上海を国際的に影響力のあるFCV都市にまで育て上げ、中国全土のFCV産業の高度成長をリードする。また、関連産業の年間生産額を3000億元(5兆1000億円)以上にまで高め、全国の燃料電池商品の多様化を目指す。

 野心的な目標であるが、上海は達成に向けて動き始めている。

 全世界的なEVシフトが起こる中、上海はなぜFCVの普及を積極的に推進しようとしているのであろうか。その理由の一つとして、上海市政府および関連企業の思惑が一致し、官民挙げた取り組みにまで発展したのではないかと考えられる。

コメント8件コメント/レビュー

この記事にもあるように上海市の新エネ車巻き返しの
観点だけでなく、中国全土で水素エネルギーに関心が
高まっていることを踏まえる必要があります。

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/10/10-31238.html

また、年末の日中省エネフォーラムにおける中国
自動車工業協会の発表もFCVに軸足があり、今後の
中国側の関心が浮き彫りとなった格好です。(2018/01/05 14:20)

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「燃料電池車の普及に動き出した上海市の思惑」の著者

西村 友作

西村 友作(にしむら・ゆうさく)

対外経済貿易大学 教授

1974年熊本県生まれ。2010年に中国の経済金融系重点大学である対外経済貿易大学で経済学博士号取得後、日本人としては初めて同大専任講師として正規採用される。同副教授を経て、2018年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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この記事にもあるように上海市の新エネ車巻き返しの
観点だけでなく、中国全土で水素エネルギーに関心が
高まっていることを踏まえる必要があります。

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/10/10-31238.html

また、年末の日中省エネフォーラムにおける中国
自動車工業協会の発表もFCVに軸足があり、今後の
中国側の関心が浮き彫りとなった格好です。(2018/01/05 14:20)

国家資本主義により強力に進められる一部の研究は、健全な自由競争による淘汰がない中で、一方的な独占、もしくは危機的な崩壊を引き起こさないのだろうか。中国の金に任せた独占的志向はなんだか怖い。(2017/12/21 17:37)

EV製造会社がFCVを作るのは困難だろうけどその逆は簡単そう。
言うなれば両睨みできるポジションとも言えるので、中国だけに「奇貨居くべし」という考え方もあるかも?(2017/12/21 16:22)

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